なぜ世界にはいろいろな言語があるのだろうか?

国立民族学博物館で歴史言語学を研究する菊澤律子准教授のまとめツイートです。クラウドファンディングのプロジェクトページはこちら⇨https://academist-cf.com/projects/?id=19
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

最初にフィジー語の方言によって異なる文の例をお見せしました。 pic.twitter.com/Iri6hd92TS

2015-11-29 11:21:14
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

とっても違って見えますが、よく見ると、「誰」という語句と「あなたの名前」という語句がこの順で組み合わさっています。語句ごとに分けて表示してみました。 pic.twitter.com/MO0jQBxJQE

2015-11-29 11:25:58
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

このように分けて比べてみることで、例えば、「誰」という表現がBau(ンバウ)方言とBatiwai(ンバティワイ)方言では一緒だけれど、Kadavu(カンダヴ)方言では違っていたり…

2015-11-29 11:27:16
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

「誰」につく冠詞の形が o と ko で違っていたり…

2015-11-29 11:27:40
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

「あなたの名前」というところで、冠詞の na が使われていたりいなかったり…

2015-11-29 11:28:05
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

Bau方言とBatiwa方言では、yaca「名前」 とmu「あなたの」の順番が違うだけだけれど、Kadavu方言では、語句の構造がもっと複雑になっていたり、ということがわかります。

2015-11-29 11:29:33
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

歴史言語学では伝統的には、音の対応に基づく研究が中心で、文の構造や文法の規則がどのように変化したのかについては、たどることができないと考えられていました。けれども、最近では、多くの研究者がこのような比較・再建に関心を持つようになってきています。私もその一人です。

2015-11-29 11:30:55
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

フィジーにはたくさんの島があり、ひとりで必要なデータを収集するのはとても無理です。幸いにして、若いときにフィジーで研究をはじめ、各地で言語調査をされたポール・ギャラティ先生のフィードノートを使わせていただけることになりました。 pic.twitter.com/F1UKaslTV3

2015-11-29 11:38:17
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菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

現状では、フィジーのギャラティ先生の部屋のキャビネットに眠っている手書きのフィールドノートです。

2015-11-29 11:38:49
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

これを自分たちの言語が研究できるようになりたいと考えておられる現地の学生さんたちと一緒にデジタル化し、フィジー語の研究に生かせるようにしたいと思っています。そのために、学生さんたちのアルバイト代と私の渡航費が必要になり、クラウドファンディングで支援をお願いすることにしました。

2015-11-29 11:40:44
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

学生さんたちのアルバイト代は、そのまま学費の支援ということになります。

2015-11-29 11:41:06
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

ぜひぜひ、ご支援をよろしくお願いいたします。

2015-11-29 11:41:33
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

ギャラティ先生は、音対応と語彙の比較に基づき、(1) フィジー語ではもともと東と西で異なる言語が話されており、(2) 東の言語はトンガ語と関係が近い、という仮説を発表しておられます。

2015-11-29 11:43:47
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

ところが、文法構造をみると、少なくとも現在のフィジー語は東の方言も西の方言も、トンガ語とはずいぶんちがっていて、フィジー国内ではなされている方言どうしの方が似ているのです。

2015-11-29 11:44:26
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

でも先に見てきたように、「似ている」というのは直観であって、科学的な分析結果ではありません。

2015-11-29 11:45:08
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

私は一見、フィジーの中で完結しているように見える文法構造が、トンガ語と途中まで共有されていたものなのか、それとも、分岐した後に発達したのか、検証してみたいと思っています。

2015-11-29 11:46:29
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

その結果、もしかしたら、ギャラティ先生のデータをつかって、ギャラティ先生の仮説に挑戦することになるかもしれません!

2015-11-29 11:46:55
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

一方で、ギャラティー先生の仮説と同じ結論になれば、異なる二つの側面からの分析結果が一致したということで、学説としては非常に強いものになります。

2015-11-29 20:00:25
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

ギャラティー先生のキャビネットに眠るフィジーのことばの発達史と、そこに隠された先史の人の暮らしの解明に向けて、また、将来のフィジー語研究のために、ぜひぜひ、ご支援および情報拡散にご協力をお願いいたします!

2015-11-29 20:03:07
菊澤律子 Kikusawa Ritsuko @ReidLili

クラウドファンディングに挑戦しています! academist-cf.com/projects/?id=19 (銀行振り込みによる支援については info@academist-cf.com までご連絡ください。)

2015-11-29 20:22:09
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