佐々木俊尚さんsasakitoshinaoの「戦中の特攻は日本の未来には1ミリも関係のない無駄死だった」という若者の発言が物議を醸している。私は特攻を美化する気持ちはかけらもないが、この認識は少し考え直した方がいいと思った

戦死者と向き合うことを棚上げするのではなく、かといって戦死者の過剰な物語を紡ぐのでもなく、よりリアルに歴史と向き合う姿勢をとっていきたい。
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佐々木俊尚 @sasakitoshinao

ジャーナリスト。(株)SFプロトタイピング共同代表。アベマプライム、ニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」レギュラー出演。総務省情報通信白書編集委員。TOKYOFM放送番組審議委員。情報ネットワーク法学会員。東京長野福井の3拠点移動生活者。お仕事や取材のご依頼はsasaki@pressa.jpへ。

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佐々木俊尚 @sasakitoshinao

「戦中の特攻は日本の未来には1ミリも関係のない無駄死だった」という若者の発言が物議を醸している。私は特攻を美化する気持ちはかけらもないが、この認識は少し考え直した方がいいと思った。(続く)

2015-11-19 23:55:10
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

戦後、日本人は太平洋戦争について「軍部に欺された我らも被害者である」という認識を持つに至った。しかしその時に困ったのが戦死者、特に特攻の扱いだ。特攻の人々はただ欺されて死に向かった被害者だったのか?だとすれば彼らの死は犬死だったのか?(続く)

2015-11-19 23:55:20
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

日本人が軍部に欺されていたのだとすれば、特攻は犬死としか捉えられない。しかしそう捉えてしまうことは、日本のために亡くなった特攻の戦死者たちに対する裏切りでもある。その贖罪意識を回収できないままわれわれは戦後社会を過ごし、特攻に対してどう向き合えばいいのかを放置してきた。(続く)

2015-11-19 23:55:29
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

先の戦争を戦った戦死者たちとわたしたちはどう向き合うのか? その相克を避けてきたことが、あまりにも抽象的すぎる反戦平和勢力を生んだ。そしてその平和勢力の子孫が、特攻を無駄死だったと断じてしまうことに、歴史の残酷さを思う。(続く)

2015-11-19 23:55:38
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

一方で、逆に戦死者とわたしたちの相克を過剰な物語にしてしまうというような動きが2000年代に入って過度に進んでいて、これが「ネトウヨ」的な傾向になってしまっていることも私たちは警戒しなければならない。歴史はそのような安易な物語ではない。(続く)

2015-11-19 23:55:46
佐々木俊尚 @sasakitoshinao

戦死者と向き合うことを棚上げするのではなく、かといって戦死者の過剰な物語を紡ぐのでもなく、よりリアルに歴史と向き合う姿勢をとっていきたい。(終わり)

2015-11-19 23:55:55