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“マカロニウエスタン生誕50周年”『荒野の用心棒』雑学コラム「マカロニ・マシンガンは弾切れしないんだぜ。」蔵臼 金助

イタリア製西部劇研究家による、『荒野の用心棒』Blu-rayコレクターズ・エディション公式BBS連載・雑学コラムの再掲(一部書下ろし)です。
蔵臼金助 映画 西部劇 マカロニウエスタン
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蔵臼 金助 @klaus_kinske
“マカロニウエスタン生誕50周年” 『荒野の用心棒』Blu-rayコレクターズ・エディション公式BBS連載・雑学コラム。 「マカロニ・マシンガンは弾切れしないんだぜ」蔵臼 金助(マカロニ銃器研究家) pic.twitter.com/YsaFsbZF3i
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蔵臼 金助 @klaus_kinske
“『荒野の用心棒』完全版 製作50周年Blu-rayコレクターズ・エディション”ですが、今回のジャケット写真は一風変わっていますよ。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
ラバに乗ったイーストウッドが縛り首の木を見上げるポスターが日本では見慣れた印象でした。しかし、今回の写真はクライマックスの主人公登場時の全身像です。 pic.twitter.com/UvvImVfftt
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蔵臼 金助 @klaus_kinske
あまり西部劇のイメージがしないのは、カウボーイハットをかぶっていないせいです。何故、クライマックスでレオーネは“名無しの男”に帽子を被らせなかったのでしょう?
蔵臼 金助 @klaus_kinske
西部劇において、カウボーイやガンマンはハットにこだわります。ハットとブーツ、ガンベルトは、西部に生きる男の重要なアイデンティティなのです。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
イーストウッドの表情を見せたかったのかな。あるいは、より『用心棒』のイメージに近づけたかったのか。いずれにせよ、“名無しの男”はラモンに何度も言い放ちます。「心臓だ。心臓を狙え、ラモン」
蔵臼 金助 @klaus_kinske
もしこの時、ラモンが脂汗をだらだら流さず、冷静に“名無しの男”の額を一発で射抜いていたら…。 『殺しが静かにやって来る』は最初からハッピーエンド・バージョンで公開されていたかもしれませんね。ふっふっふ。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
『荒野の用心棒』が公開された1960年代の半ばと言うと、世界的に価値観の下剋上が起こり、思想的な運動(特に左的な)がワールドワイドで展開していた頃なんですな。ヒッピームーブメントから学生運動、革命…。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
ガチで思想にかぶれていた人達もファッションで乗っかった人たちもいたけれど、当時も今と同じように世の多くの人たちはノンポリ(※注:死語。政治的にポリシーを持たない、中庸な人たち)で占められていて、その世界の動きを右側でなくても苦々しく感じていたりしたわけだ。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
そんな折に公開された『荒野の用心棒』の主役である“名無しの男”は、国境近い町を二分する勢力のどちら側にも与することなく、「俺は真ん中だ」と言い張る。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
カッコいいよね。それは、頼るのも信じるのも自分自身だけ、ということなんだよ。思想にも宗教にも運動にも関係なく。それはオリジンの『用心棒』からそうだったし、さらに源流を遡ると、アメリカのハードボイルドの根底にも流れている、一匹狼の信条だ。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
そして、そんなクールで無表情な一匹狼が一瞬垣間見せる、憐れみ、優しさ、弱者に対する感情移入が観客の心を打つんだな。 それは当時の極右、極左に欠けていた人間的な要素でもあるんじゃないかと思っている。本当に強い者は、自分よりも弱い者を排除しないものなんだ。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
3.ガンマン愛用コルトの照星 pic.twitter.com/FoG4DasMjT
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蔵臼 金助 @klaus_kinske
『荒野の用心棒』の“名無しの男”が唯一、自分以外に頼りにしているのは、.45口径のシングル・アクション・アーミー 5.5インチ銃身のアーティラリー・モデルである。コルト社純正といきたいところだが、小道具調達事情に起因するのか、銃のベースは欧州製のレプリカ・モデルだ。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
『夕陽のガンマン』でも彼は同じ銃を愛用しているが、その時のベースはコルト社純正のものにグレードアップしている。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
そしてクリント・イーストウッドは、そのコルトの照星(フロントサイト)を両側から削り込み、頂点に向かって薄くなるよう加工しているのである。それは、標的を狙いやすくするためだ。 pic.twitter.com/V1Ji80hQTQ
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蔵臼 金助 @klaus_kinske
『怒りの荒野』のリー・ヴァン・クリーフは狙わずに、ただ抜きやすくするために照星を削り落していた。 pic.twitter.com/tXsVGRtgSj
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蔵臼 金助 @klaus_kinske
『ウエスタン』のヘンリー・フォンダはニッケルのキャバルリーのフロントサイトを、自分に合った形に削っていた。 ガンマンは、自分の命を託す拳銃をカスタム・アップするのだよ。 pic.twitter.com/mMyzGpfka1
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蔵臼 金助 @klaus_kinske
さて。『荒野の用心棒』だ。本作で“名無しの男”が持つコルトの照星がどのように加工されているか、画質の良くなったBlu-Rayで確認してみようじゃないか。 pic.twitter.com/g2K8B2Expm
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蔵臼 金助 @klaus_kinske
4.廃墟で癒してリベンジしましょう。 pic.twitter.com/jxioZ620x9
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蔵臼 金助 @klaus_kinske
ヴァーホーヴェン版『ロボコップ』で、悪役にボコにされてボロコップにトランスフォームされてしまったマーフィが、廃工場に隠れ、傷を癒しつつ“オート9”(ベレッタ93Rベース・ロボコップ専用銃)の練習をするシーンがあります。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
ベビーフードで栄養を補給し、銃撃でイカレてしまった照準装置を補正、ベビーフードの缶を標的に射撃練習をするのですが、これは完全に『荒野の用心棒』の廃坑のシーン、と言いますか…『用心棒』へのオマージュになっています。
蔵臼 金助 @klaus_kinske
『ラストマン・スタンディング』でもきっちりなぞっていましたが、ハードボイルド作品の主人公は一度ボコにされた後、歯を食いしばって復活、クライマックスで敵と対峙し、リベンジを経て大団円へと持って行くのがお約束なのであります。
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コメント

Ar @argon2018 2015-11-23 07:03:10
好きな人が好きな様に語ってるんだろうな。素晴らしい
真坂金太郎 @kintaro654 2015-11-23 10:10:09
『ジャンゴ 繋がれざる者』のデュマと三銃士のくだりにはそういう流れがあったのか。
蔵臼 金助 @klaus_kinske 2015-11-24 10:30:15
マカロニウエスタン大好きな私が好きなように語りましたw
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