「ニンジャズ・デン」#1・再放送Ver(実況なし)

ツイッター連載小説"ニンジャスレイヤー 第3部 「不滅のニンジャソウル/Ninjaslayer Never Dies」"より @njslyrによる再放送「ニンジャズ・デン」#1のまとめ(実況なし) 公式Twitterアカウント"NINJASLAYER/@njslyr" https://twitter.com/NJSLYR 公式Twitter再放送アカウント"NJSLYR SAYHOSO/@njslyr_r"(今後の使用はなさそう) 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(身代金の要求が無い。つまり俺よりカネを出す奴がいるんだ)ソゴは苛立たしげに言った。(決まってる……奴らだ。知ってるか、探偵?ピグマリオン・コシモト兄弟カンパニー、知ってるか、貴様?』彼が口にしたのは、人工知能分野で20256個の特許を取得している、謎めいた企業の名だった。35

2015-11-27 23:32:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(俺が進めているプロジェクト……クソッ!ヨナヨの革新性に嫉妬しやがったんだ!警戒してやがる!ヨナヨが世に出れば、奴ら、飯の食い上げになると……クソッ!)ソゴは頭を抱える。(おしまいなんだよ!奴らの横槍に負けてたまるかよ!)ニンジャスレイヤーを睨みつける。(絶対に連れて帰れ!)36

2015-11-27 23:36:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「お客さん?」バンブーの陰から現れたバラクラバ黒服男が、ニンジャスレイヤーにライトを当てた。「パス?」クチャクチャとガムを噛みながら、促した。その後ろには同様にバラクラバを被った男がサブマシンガンを構え、遠慮なく照準している。 37

2015-11-27 23:40:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

バンブー林の暗闇に複数の敵意の存在がある。既にここはブラッドバス・シアターの領域内だ。ニンジャスレイヤーが懐から無地のカードを取り出すと、黒服男はハンドスキャナを向け、情報を読み取った。ハンドスキャナの液晶に「寿」のカンジが点灯。「お客さんようこそ」黒服男がオジギをした。38

2015-11-27 23:43:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼らの一人に先導され、闇の中を進むうち、獣道は石畳に変わる。斜面を登り切った先、赤くペンキで塗られたフェンス門が現れた。「アイエエエ!」「アハハー!」悲鳴と嬌声。そして火炎放射じみたオレンジの明かりが空を舐めた。黒服男は平然としている。門の反対側の黒服に合図を出す。39

2015-11-27 23:45:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ギイイと音を立て、フェンスが開かれた。「タノシンデネ」厳かに呟いた黒服は、持ち場に戻ってゆく。ニンジャスレイヤーは庭園の光景を見渡した。「アイエエエ!」「アハハハー!」左を見ると、ドラム缶の焚き火を囲むヨタモノ達。犬の首輪をつけられた女を押しやり、囃し立てる。 40

2015-11-27 23:48:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アハハー!」薬物影響下にあると思しき半裸のヨタモノ達は、スピリタスを口に含んで焚き火に吹きつけ、火炎放射じみたエフェクトを楽しんでいる。虜囚が恐怖に身をすくませると、彼らの歓声はより騒がしくなる。右を見れば「あぼかど」と書かれた汚い屋台。蛍光緑に発光するカクテルを振る舞う。41

2015-11-27 23:53:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「兄さんスッキリしようよ」薄汚い女が隣に駆け寄って来る。「館行くの?館より外がいいよ」その顔には痣があり、目元が腫れている。「……」ニンジャスレイヤーは女を眺め、ヨナヨでない事を確かめると、無視して歩き出した。ドラム缶の隣に繋がれた女が泣き叫んだ。彼女も違う。 42

2015-11-27 23:57:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

道なりに屋台が並び、ヨタモノ達に酒や薬物や肉を供する。みな、目の焦点がおぼつかず、男女とも上半身はだいたい裸で、短絡的文言の刺青が誇らしげだ。途中、ゴミ食物ガラクタが無秩序に堆積する大穴の横を通過した。ゴミの中に頭蓋骨がある。確かにある。ニンジャスレイヤーは歩き続ける。43

2015-11-28 00:00:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

遠目にはノイシュヴァンシュタイン城じみていた「館」は、実際のところ、そうした城の形状を模して作られた退廃ホテルであった。正確にいえば、退廃ホテルの廃墟だ。朽ちかかった壁は石ではなくコンクリートで、ヒビ割れをごまかすように乱雑な白ペンキが幾重にも塗られている。 44

2015-11-28 00:03:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

館の大扉の脇には、やはり黒服。「……」無言でスキャナを取り出す。ニンジャスレイヤーは頷き、先ほどの無地のカードを再び提示する。「寿」。「スゴイタノシンデネ」男はフジキドの肩を叩いた。45

2015-11-28 00:06:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

途端に、オレンジの温かい明かりと、ざわめき、グラスをぶつけあう音、稚拙なピアノとバイオリンの演奏、そうしたものが押し寄せ、迎え入れる。まるでオスモウ興行中の相撲バーじみた混雑と活気だ。だがここに居る者達が共有しているのはスポーツの楽しみではない。 46

2015-11-28 00:08:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

人々を避けながら、まずはバーカウンターを目指す。ステージ上では、椅子に縛り付けられ、猿轡を噛まされた男が、命乞いめいてくぐもった叫び声をあげている。革のマスクを被ったスモトリが、背後の壁にかけられた黒板に、チョークで数字を書いていく。もう一方の手には鎌バット。 47

2015-11-28 00:11:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「300!」「ハイ300きました」「302!」「302」「……330」「330だと?じゃあ332だ」「ズルイ!」「500!」「500だと……?」ステージのかぶりつきに用意された椅子にかける者達は、サイズの合わないスーツを着、全ての指にこれみよがしな宝石指輪をつけた中年達だ。 48

2015-11-28 00:14:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何にします」バーテンが尋ねた。「トックリ」ニンジャスレイヤーは答えた。バーテンは素早くトックリをカウンターに置いた。ニンジャスレイヤーは切り出した。「”オーナー”はどの部屋にいる」「……」バーテンは表情を動かさない。「オーナーですか。オーナーはお忙しいです」「用がある」 49

2015-11-28 00:16:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「用ですか?へええ……」バーテンはグラスを拭き始めた。「オーナーに用がある人は少ないです」「そうか」「つまり、用がある人は、そういうわけで、私なんかにオーナーの居場所、聞かないですよ」抑揚のない声でバーテンが言った。ニンジャスレイヤーはバーテンをじっと見た。「そうだろうな」 50

2015-11-28 00:19:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

バーテンは上階への階段を見た。「案内してくれるか」ニンジャスレイヤーは言った。バーテンは頷いた。「ええ、VIPルームに」「連れて行ってくれるのは、奴らか?」階段を足早に降りて来る身長2メートル超の黒服二人組。降りながら、邪魔な通行者の頭を掴み、手摺に叩きつける。「アバーッ!」51

2015-11-28 00:22:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ふらつく酔客を突き飛ばしながら、彼らは決断的足取りで近づいてくる。ニンジャスレイヤーは無言で立ち上がった。ステージではオークションが決着。黒板に「2055」とチョークで書かれ、ステージ上に上がった中年貴婦人にスモトリが鎌バットを手渡すと、ホール全体が湧き返る。「ワオオーッ!」52

2015-11-28 00:25:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

バーカウンターの彼らだけが大騒ぎに加わらない!やがて、降りてきた屈強な黒服男が、ニンジャスレイヤーの肩をグイと掴んだ。「お客さん奥行きましょうか!」ニンジャスレイヤーはその手首を掴んだ。「案内を」「グワーッ!?」黒服男が悲鳴を上げる。「してもらえるか?」「グワーッ!」53

2015-11-28 00:28:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは黒服男を握力で悶絶させ、腕を捻りあげて引きずり倒した。「イヤーッ!」「グワーッ!」豹のように素早く、もう一人のネクタイを掴む!「案内せよ!」「グワーッ!」他の客達はこのアサルトに気づかない。気づいたとしても、それが何だ?ここはブラッドバス・シアターだ!54

2015-11-28 00:30:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アハーハー!」ステージ上では貴婦人が鎌バットを生贄の顔面に叩きつけんとす!拍手と「コロセー!コロセー!」のゴア・チャントが響き渡る。顔面めがけ……「アイエエエ!?」貴婦人は得物を取り落とし、転倒した。傍らのスモトリが助け起こすと、貴婦人の手にはスリケンが突き刺さっていた! 55

2015-11-28 00:37:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アババーッ!?」貴婦人が床をのたうち回る!「ブー!ブーッ!」客のブーイング!スモトリは鎌バットを拾うと、自分が生贄を殺すべきか、オークション二番手に権利を譲るべきか、思案を始めた。スリケンを投げ終えたニンジャスレイヤーは黒服男の背中をどやし、スタッフルームに押し入った! 56

2015-11-28 00:42:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ニンジャズ・デン】#1 終わり。#2 に続く。

2015-11-28 00:43:15

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