2015年11月26日のTBSラジオ・Session22「どうすれば目が不自由な方も過ごしやすい社会になる?」書き起こしと関連情報のツイートまとめ #ss954
続)藤井:今私66歳なんですが、40代の終りの頃に一旦活字と決別をすると。その時は今でも覚えていますけれども文字が見えなくなるっていう恐怖っていいますかね、展望があまりないなと思って、ずいぶん不安な思いを経験しました。
2015-12-09 20:54:37続)藤井:…で今から5年ほど前に今度は光と完全に決別をしたっていう、まあそんな経過ですね。 荻上:活字と一旦決別、っていう話があったんですけど、今例えばニュースなどを読む体験というのは、どのような技術を使って普段はされているんですか?
2015-12-09 20:55:47続)藤井:私の場合は活字と別れた時にですね、丁度石川さんがおっしゃったように音声パソコンていうのが出てきましてね。私なんかは団体の仕事が中心ですから、書くことと読むことが中心なんですね。従って活字が見えないってことは致命的だったんですが、救われたのは音声パソコン。
2015-12-09 20:56:11続)藤井:音が出るパソコン。今目の前にあるんですけれども、これを使って入力をする、文字を打つ、原稿を書く、と。これを使ってその日の新聞を読む。音声で聞くと。これが今私にとっての一番の相棒っていいますかね。私の場合は音声の出るパソコンに随分救われた。
2015-12-09 20:56:41続)藤井:それからテレビ・ラジオの耳からの情報がメインですが、一般論で言われますのは人間の情報っていうのは目からが8割から8割5分、耳が10%位、残りは嗅覚・触覚ってことになるんだけど、80~85%の情報源が消えるってことは予想以上に厳しかったと思います。
2015-12-09 20:57:18荻上:石川さんのお手元にも点字パソコンがありますが、これはどういったアイテムなんですか? 石川:これはパソコン程の機能はないんですが、モバイルデバイスと言ったらいいでしょうか、点字の携帯端末なんですが、インターネットにつなぐこともできますし、…
2015-12-09 20:59:44続)石川:…フェイスブックだとかツイッターだとか色々なアプリケーションが入っていますし、皆さんが想像されているよりは色々なことができる多機能な端末でして、海外の企業と共同で開発したものです。
2015-12-09 21:00:17続)荻上:点字でデバイスに表示されるので、データでもらった書類を指でなぞって読むことができるんですね。 石川:日本の漢字やカナ文字の文章を点字に自動的に変換して表示したり、音声でも読み上げることができます。
2015-12-09 21:00:47続)荻上:デバイスの丁度手元にある部分に、点字が浮き上がるような部分があって、底がその都度でこぼこと形が変わっていく。そこをなぞることによって点字を読み続けることができる。 南部:織り機みたいになってますね。 荻上:上の部分に入力機の様なパートがついています。こちらは?
2015-12-09 21:01:17続)石川:これは入力するためのキーボードなんですけれども、点字というのは6つの点の組み合わせで文字を表現するんですが、左側に三つ・右側に三つと、更にバックスペースとエンターキーとスペースキーが、全部で9つのキーで構成されています。
2015-12-09 21:01:46続)荻上:実際にそこで文章を作成して、相手に送ることもできる。で点字の部分で自分が打ったものが正しいかどうか確認することができるという…。 石川:そうです。キーボードとディスプレイ、小さいながらも点字ディスプレイ、それから点字のキーボードが一体となっています。
2015-12-09 21:02:25続)南部:ツイッターで、せやれいさん「点字でメールってあるのかな?」という質問が来ていますが、まさにこうしたデバイスを使えばメールもやり取りできるわけですね。
2015-12-09 21:03:30続)石川:点字で入力はするんですけど、普通の漢字・カナ文字にテキストを返還してメールを送るので、見える人達とコミュニケーションが取れます。
2015-12-09 21:04:04続)荻上:藤井さんの音声読み上げのパソコンにあるように、普通のキーボードで入力しながら、音声で確認をすることもできる訳ですね。今はIT機器や様々な技術によって生活のさまざまな点がサポートされているという状況です。 藤井さんは作業所でどのような活動をされているのですか?
2015-12-09 21:06:14続)藤井:全国の作業所の連絡会の仕事をしながら、日本の障害者の団体をまとめる団体の役員をやっているので、作業所の経営問題や現場の取り組みが発展するように、主に政策面や制度面の改善に力を入れています。
2015-12-09 21:06:42続)藤井:それから日本障害者協議会には60団体が加盟していて、各団体に様々な課題があるので、政策面を中心に取り組んでいます。そうなると日常的に文を読んだり書いたりするのが仕事の8~9割を占め、後は折衝・交渉事が続くと。
2015-12-09 21:07:07続)荻上:きょうされんには以前、藤井さんの御案内で伺ったことがありますが、作業所の工賃の問題であるとか、障害当事者の所得や家庭状況などのデータを取って「こういうことに困っているんだ」「こうしてくれ」という提言を普段はされていますね。
2015-12-09 21:07:36続)荻上:今回はリスナーの声を交えながら提言まで進めて行ければ、と思っています。 さて今日は一つのニュースがきっかけでですね、徳島市の事件なんですけれども、…
2015-12-09 21:08:21続)荻上:…全盲の男性がバックしてきたトラックにはねられてしまって、盲導犬も犠牲になるという事件がありました。警報音が鳴る装置がついていましたが、そのスイッチが切られていたトラックにはねられた、という事件です。 石川さんはこの事件について、どうお感じになりましたか?
2015-12-09 21:08:42続)石川:意外だったのはトラックのような大型車両で、バックする際に警報音をオフにすることができる、ということに驚きました。もしそういうことがなければおそらく回避できていたのではないかと、残念に思います。 荻上:藤井さんはいかがですか?
2015-12-09 21:09:55続)藤井:もしこれが人のサポートであったら、恐らく人がついていればああいうことにならなかったんじゃないかと。勿論盲導犬もとても大事なことだと思うけれども、結局究極の支援は人的なサポートが基本であって、悔やまれてなりません。
2015-12-09 21:10:38続)藤井:その前には新潟の全盲の姉妹が車にはねられてしまうということがあって、一人が亡くなられました。だんだん社会に出ようとか地域で暮らそうということになってきているんだけれども、結果的にそういう怖さが待っているという。…
2015-12-09 21:11:21続)藤井:…皮肉にも、地域に出ることが命の危機に直面するという、そういう矛盾も随分感じましたね。 荻上:地域の側でできることというのは、様々に検討しなければならない状況にあると思います。 現在、視覚障害者の方はどの位いらっしゃるのですか?
2015-12-09 21:11:54続)藤井:厚生労働省の直近の調査では31万6千人。これは2011年の統計です。次の統計は来年です。人口の0.24%にあたる訳ですが、同じ国内で公益社団法人日本眼科医会の統計では164万人という数字が出ています。 荻上:ずいぶん開きがありますね。
2015-12-09 21:12:52続)藤井:統計の取り方にもよりますが、WHOの2010年の統計では(※筆者注:世界人口中)2億8500万人で、人口の4%。24人に1人が眼に障害をもっていることになります。
2015-12-09 21:13:44