ワールドトリガーに関する一考察

hirokiaitaさん(@shiorichannnnnn)のワートリに関する考察が面白かったのでまとめました。ワートリを(少年漫画の熱さを持ち、その文法は少年漫画のものなのに)「異質」と感じる理由が面白い。(関連する引用RTも少しまざってます)
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ひろきあいた @shiorichannnnnn

26.頭で考える力の"フロア(階層)"に属しますから、心の力の"フロア"にある「気持ち」の影響を受けないんです。 ただ、それを為す(困難という壁を登る)ことができるかどうか、だけを考えている。気持ちは介在しないんです。

2015-12-05 21:41:19
ひろきあいた @shiorichannnnnn

27.だから、例えば初めに「生身で登れる」と思って駄目だったとしても、「疲れた」とか「痛い」とは思っても、「つらい」とか「やめたい」とは思わないんです。「次はどうしたらいいか」を既に考え始めている。そして、登れる手立てをどんどん試していく。登り方を変えたり、道具を使ったりして、

2015-12-05 21:49:14
ひろきあいた @shiorichannnnnn

28.登れる方法が見つかるまでトライを繰り返す。もちろん無謀にじゃありません。体が動けなくなっては登れなくなってしまいますから、休息を取り、栄養を摂りながらトライしていく。筋トレが必要なら壁から離れますし、協力がお願いできれば登れる人に登り方を教えてもらう。

2015-12-05 21:53:52
ひろきあいた @shiorichannnnnn

29.そして、登っても得がない(登ることで得られるものよりも失うものが多い)と判断したときには、あっさり登るのを止めることができる。それが「考える力の理論」です。そこまでにどれだけ努力したかは問題ではないんです。為すべきことが為せるかどうか。ただそれだけが問題として扱われている。

2015-12-05 22:05:24
ひろきあいた @shiorichannnnnn

30.為すべきことができない、と判断した場合にも、意志は「為すべきことができなければどうするべきなのか」を考え続けます。そして、そこに気持ち=感情は関わってこない。 ゆえに頭で考える力は、現実においても極めてクレバーに課題に対処する力として機能します。

2015-12-05 22:13:00
ひろきあいた @shiorichannnnnn

31.ただ気持ちを介在させずに頭を回転させていますから、他の人からはアイデンティティのない人、まるで「中身のない人」に見えることはあります。でも、それは感情が消えた訳ではなくて、脳内の気持ちのパーティションが、行動に直結していないだけなんです。だから、頭で考える力を使っていても、

2015-12-05 22:19:53
ひろきあいた @shiorichannnnnn

32.感情は表に出づらいだけでちゃんとあるし、怒るときは怒ります(表情豊かに、という訳にはいきませんけど)。 僕は先程からワールドトリガーのあるキャラクターの話をしています。 それは三雲修です。

2015-12-05 22:26:37
ひろきあいた @shiorichannnnnn

33.修は物語の中で最も登場する回数の多い人物ですが、ほとんど感情を表に出しません(リアクションはでかいですけど)。自分の言いたいこと、とかやりたいことをしているシーンがほとんどない。物語中における修の行動原理は「やるべきこと」のみなんです。自分の「気持ち」が介在していない。

2015-12-05 22:44:45
ひろきあいた @shiorichannnnnn

34.だからだと思うんですけど、修って、作中で全然無駄な発言をしないんですよね。大抵話を進めるための発言をしているか、相手からの受け答えだけをしている。修から始まる無駄話なんて一つもありません。これは恐らく葦原先生が修を際立たせる為に、狙って行っていることだと思います。

2015-12-05 23:16:44
ひろきあいた @shiorichannnnnn

35.修という頭で考える「意思」を基軸とした人間を描くために、わざと「気持ち」の部分を外して描写しているんじゃないか、という気がします。(たぶん描かれてないところで、修もおしゃべりしたり、本編に関係ないことをしているんじゃないかな)。

2015-12-05 23:23:22
ひろきあいた @shiorichannnnnn

36.修と好対照な人物を挙げると分かりやすいかもしれません。 それは小南です。 小南は作中随一と言って良いほどの自由奔放な性格の持ち主です。言いたいことを言い、感情をガンガン表に出しています(表情も豊かです)。でも、記者会見の回で陽太郎と一緒になって根付さんを怒っていたように、

2015-12-05 23:32:36
ひろきあいた @shiorichannnnnn

37.小南はお子さまなんです(こなみクラスタの方ごめんなさい)。陽太郎にどら焼きを食べられたときも、5歳児相手に本気になって怒っている。17歳、もうちょっと大人になろうぜ…って感じですが、小南はこれでいいんです。だって困っていないから。

2015-12-05 23:40:56
ひろきあいた @shiorichannnnnn

38.任務もちゃんとこなせているし(最強レベルの攻撃手です)、玉狛のみんなとも上手くやれています。勉強だって出来る。 修が大人にならざるを得なかったのは、為すべきことに対して自分があまりにも無力だとわかったからなんです。持たざる者であったが故に、麟児さんに置いていかれ、

2015-12-05 23:45:24
ひろきあいた @shiorichannnnnn

39.ボーダーに入隊できず、迅さんに助けてもらわなければならなかった。心のエネルギーではどうにもならなかった。それで、修は大人になろうとしたんだと思います。為すべきことを為すために。 「ぼくがそうするべきだと思ってるからだ!!」は作中屈指の名台詞ですが、

2015-12-05 23:52:52
さこ° @sakosa_ko

一連のツイ非常に面白く拝読しました。成熟のための物語か>RT 確かにワートリ感想は現実でもあるある、という内容も良く見ますね。最近で目立ったのは「社畜」かなw 因果と合理が世界の基盤。気持の強さ「だけ」では進めない、ならばどうする? 問題に抗うのではなく解決するための思考と試行。

2015-12-06 02:33:02
さこ° @sakosa_ko

「為すべき」と強靭な意志で決めた事柄がその身には大きすぎるから、突きつけられた現実に対応するために三雲さんは猛スピードでそれを身につけつつある。 感情による行動や無駄な雑談がほとんど描写されない、どこまでも進み続ける感じは、言わば常にお仕事モード…?息抜きも大事だよ三雲さん…

2015-12-06 02:51:04
さこ° @sakosa_ko

だからかな、ワクワクとした表情に、感情が大きく揺さぶられるのは。 彼が彼であるために必要とした成熟を目指して、駆け上がったその道の途中に置いてきてしまったかもしれない、と思われた「気持ち」達は、ちゃんと彼のそばに居るよと。周囲との関わりを通して見えたからかもしれない。

2015-12-06 03:16:09
さこ° @sakosa_ko

三雲さんの感情の発露で、大きなものはもう一つ「屋上の涙」があるけど、あれはもう、意志と感情だとか、過去と後悔とか、レプリカや遊真さんとの関係性だとか、諸々混然としていて個人的には到底言葉では収まりきらないレベルなので「考えるな、感じろ」ボックスに保管中。

2015-12-06 03:26:07
ひろきあいた @shiorichannnnnn

40.ここに修の感情は含まれていません。ただただ彼の意志だけがそこにある。このときはまだ幼かったけれど(無茶なことにも平気で突っ込んでいっています)、現在120話を超えて、修はどんどんと大人の階梯を登ってきているように見えます。

2015-12-06 19:13:00
ひろきあいた @shiorichannnnnn

41.眼前に聳える「遠征部隊に選ばれる」という高い壁を登りきるために、何が必要かを考え、必要な人物とコミュニケーションし、仲間に力添えを頼み、強い人間に教えを請うている。「やるべきこと」しか彼には見えていませんから、「やるべきこと」は修にとって必然であり、周りから見れば、それは

2015-12-06 19:28:35
ひろきあいた @shiorichannnnnn

41.高い目標を実現するための「最適ルート」をとっているように見えるんです。最短ルートではないんです。最短ルートというのは、目の前の壁をまっすぐ登りきるルートです。でも、大抵の場合、岩壁には「登れる」ルートがあります。脆いところや、手足の置き場のないところ、オーバーハングなど、

2015-12-06 19:34:41
ひろきあいた @shiorichannnnnn

43.確実に登れないところが出てくる。ここが登れると考えるのは、「心の力」で考えるやり方です。「最適ルート」は、多くの場合真っ直ぐじゃなくて、ぐにゃぐにゃ曲がっているんです。でも、登り終えるまでにかかる時間(と体力の消耗の合計)は、どのルートよりも少なくて済む。

2015-12-06 19:44:24
ひろきあいた @shiorichannnnnn

43.修は物語中で最適ルートを取ろうと模索しています。そしてかなり理想に近いルートを取れている(ランク戦では3試合でB級6位につけました)。 単行本を読み返してみると分かるのですが、ワールドトリガーはかなり濃密な物語です。本当に密度が高い。

2015-12-06 19:51:32
ひろきあいた @shiorichannnnnn

44.けれど詰め込みすぎではないし、決して読みにくくもない。それは、修が目的の為に最適ルートを取っているように、葦原先生もまた、目的の為に最適ルートを取っているからだと思います。 何の目的の為か。 それは、「子供たちを成熟させる」ため、それも、

2015-12-06 20:18:36
ひろきあいた @shiorichannnnnn

45.「力を持たない子供たち」を「今すぐに」成熟させるためなんです。 僕たちは何年か前に、自分の非力さを自覚する経験をしました。どうしようもないことがあることを実感し、また深く傷付きました。いまだにそれは僕たちの周りにあります。有象無象のかたちで。 僕はまだその時子供でした。

2015-12-06 20:33:19