『ジェントリー・グリーンブリーズ・オブ・ザ・モーメント』 #2

後編です。これでグリーンブリーズ~は完結になります。それとまた番号ミスが見つかりましたがいまではどうすることもできないので無視の方向でどうぞ。
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不幸鳥 @hukurou_nayuta

『ジェントリー・グリーンブリーズ・オブ・ザ・モーメント』 #2 #HkruNj

2015-12-26 15:02:12
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「こやつら、なかなかやる……仕方あるまい」ツートンキラーは何やら妙な構えを取った。「…?」イエローゲイルとブルーシートは思わず顔を見合わせた。「イヤーッ!」その構えから流れるように繰り出されるツキ!イエローゲイルはこれをガード!「何だ?ただのツキか?」1 #HkruNj

2015-12-26 15:04:35
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「侮るがいい、さすればこのイクサのあと、貴様の首はそこに落ちていよう」「抜かせ!」ツートンキラーはもう一方の手でパンチを繰り出す!これも同じようにガード…「ッ!?」イエローゲイルはよろめいた。何て…重さ。鋭さ。力強さ。先程のツキと比較しても、まるで別人のそれだ。2 #HkruNj

2015-12-26 15:07:30
不幸鳥 @hukurou_nayuta

イエローゲイルは片膝を突く。「グワ…ッ、嘘だろ…」ツートンキラーは畳み掛けるようにケリを放った。「イヤーッ!」だがそれを阻む青い布!「ちっ…目障りな!」ツートンキラーは悪態を吐く。「わりいな。ヤクザが全滅しちまったから俺と遊んでくれ。実際暇な」3 #HkruNj

2015-12-26 15:12:49
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「イヤーッ!」「イヤーッ!」目の前で繰り広げられる激しいカラテの応酬。イエローゲイルは、それに目を奪われていた。(…これがニンジャか。これが…イクサってわけかよ)閃く青。流麗な柔と剛。それらがぶつかり合う。思わず視線を己の手に向ける。そこには僅かに渦巻く風…。4 #HkruNj

2015-12-26 15:17:48
不幸鳥 @hukurou_nayuta

(レベルがまるで違う…俺にすらよくワカル…)拳を握り締めるイエローゲイル。「お前!そこで途方に暮れてる場合かよ?お前は強くならなきゃダメだぜ、イエローゲイル!」ブルーシートの叱咤に彼ははっと顔を上げる。「俺に出来ることは、あるのか!?」5 #HkruNj

2015-12-26 15:21:18
不幸鳥 @hukurou_nayuta

咄嗟に口を衝いた言葉。だが彼が今まで抱えて離すことが出来ずにいた疑問そのものでもあった。「俺に出来ることはあるのか」。ブルーシートはメンポの下でふ、と笑った。そして高らかに謳う。「お前にしか出来ねえぞ、風の騎士よ!」黄色のニンジャは立ち上がった。6 #HkruNj

2015-12-26 15:26:33
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「イヤーッ!」風を纏った跳び蹴りがツートンキラーを襲う!「ヌゥッ…!小僧め、小賢しい真似を」ツートンキラーが不穏な動きを取る!「イヤーッ!」いち早く察したイエローゲイルはしゃがみ回避!ツートンキラーの蹴りは空を切る。そこへブルーシートのパンチだ!「イヤーッ!」7 #HkruNj

2015-12-26 15:30:58
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「グワーッ!」命中!ツートンキラーはぐらりとバランスを崩す。「何故だ!先程まで無力だった小僧が!!」「テメーのカラクリ、何となく見破った…つまり」「イヤーッ!」襲い来る蹴り、突き、パンチ、チョップ!半ばヤバレカバレめいている!「右側が柔、左側が剛ってことだ」8 #HkruNj

2015-12-26 15:34:51
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ツートンキラーの強さの秘密とは?そう、イエローゲイルが指摘したように彼の右腕、右足から繰り出される攻撃は軽く…しかし流れるように速いものだ。反対に、左腕、左足から繰り出される攻撃は重く、鋭く、必殺の意思の込められたもの…相反する攻撃を自在に操るカラテだったのだ!9 #HkruNj

2015-12-26 15:38:25
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「上出来だぜ。さあ決着をつけよう。少々面倒なカラテではあるがね」ブルーシートはイエローゲイルに目配せをする。それは実際、見事なコンビネーションだった。「図に乗るな、裏切り者に泥棒小僧がァ!!」ツートンキラーは鬼めいた形相で吼えた。「イヤーッ!」迫る青と黄。10 #HkruNj

2015-12-26 15:41:45
不幸鳥 @hukurou_nayuta

しかし、ツートンキラーもまだまだ体力が余っている。カラテの秘密を紐解いたところで、油断ならない敵であることには変わりはない!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」再びカラテのぶつかり合いだ。だが、今はそのただ中にイエローゲイルもいる。11 #HkruNj

2015-12-26 15:46:55
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「無駄にタフだなテメー!いい加減死ぬなり何なりしやがれ!!イヤーッ!」彼のカラテと渦巻く風による斬撃、そしてブルーシートのカラテを受けて尚も足掻くツートンキラー。 恐るべきニンジャ耐久力である。「ニンジャってのはモータルと違ってタフだ。知らないなら覚えとけ」12 #HkruNj

2015-12-26 15:52:11
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「貴様!泥棒もどき!貴様のようなニュービーニンジャが!!」ツートンキラーの攻撃も苛烈さを増す!奴は確かに消耗している。だがイエローゲイルもまた同様にダメージと疲労が見える…「イエローゲイル、決めにいくぞ」「…ああ!」青い布がツートンキラーを目掛けて絡み付く!13 #HkruNj

2015-12-26 15:56:39
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「イヤーッ!」「グワーッ!」青い布は器用にツートンキラーを捕らえる!その動きはさながら蛇めいて!「遠慮はいらねえぞ…何なら布ごと斬り裂いちまえ!」「イヤーッ!!」ブルーシートの声を背に、風纏う黄色の騎士はカラテを振るう!「イヤーッ!」「グワーッ!」14 #HkruNj

2015-12-26 16:03:38
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」身動きひとつ出来ないツートンキラー!その様はサンドバッグという表現が最適だろう。ブルーシートは…イエローゲイルの奮戦を見守っている。15 #HkruNj

2015-12-26 16:10:36
不幸鳥 @hukurou_nayuta

そして「イヤーッ!」…決定的な一撃が加えられた。勝敗は決した。「サ、サヨナラ!!」ツートンキラーは爆発四散した。クローンヤクザのバイオ血液飛び散るこの場に、残ったのは青と黄であった。「……」ブルーシートはスーツ姿に戻っていた。徐にタバコに火を点け、くわえる。16 #HkruNj

2015-12-26 16:14:22
不幸鳥 @hukurou_nayuta

イエローゲイルはまだ、肩で呼吸をしている。装束はボロボロと崩れ、元の黄色パーカーに戻りかけていた。「ニンジャっていうのは…こういうことなんだ…何も、何も残らねえ」独り言のように呟いたヤマミダの言葉は、紫煙と共に溶けた。「けどよ…お前は」17 #HkruNj

2015-12-26 16:18:05
不幸鳥 @hukurou_nayuta

ハヤキは顔を上げ、ヤマミダを見た。「何かを得ろよ。得たら護れ。騎士ってのは…何かを護るものだぜ」「…騎士。ニンジャ」「そうだ。お前は風で、騎士で…ニンジャだ。うん、かっこいいんじゃあねえか」少し笑ったヤマミダの横顔を眺めながら、ハヤキは父親を連想した。17 #HkruNj

2015-12-26 16:24:22
不幸鳥 @hukurou_nayuta

「…おれにはあんたも…何かを護る人間に見える」ヤマミダは言葉を待った。「でも、騎士じゃあないよな。『親父』…そういう響きだよ」ハヤキとヤマミダは笑った。ハヤキはこのときようやく、年相応の笑顔を見せた。18 #HkruNj

2015-12-26 16:27:40
不幸鳥 @hukurou_nayuta

…彼は思う。自分にメンター、センセイと呼べるものがいるのならば、それはあの男以外にいない。どこか抜けていて、気だるげにタバコをくわえ、しかし油断のならない人の良い男。手元にはその名刺がある。…忘れはしないだろう。たった一時心に吹いた、緑色のそよ風を。19 #HkruNj

2015-12-26 16:32:10
不幸鳥 @hukurou_nayuta

『ジェントリー・グリーンブリーズ・オブ・ザ・モーメント』 おわり

2015-12-26 16:33:40