茂木健一郎氏の「イギリスBBCの『QI事件』についての連続ツイート」

茂木健一郎氏の「イギリスBBCの『QI事件』についての連続ツイート」をトゥギャりました。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

日英(1)BBCのコメディ番組「QI」で二度被爆した山口彊さんのことを「世界一、運が悪い男」と紹介したという。被爆者の方が怒りや悲しみを感じるのは当然なことだし、BBCや関係者は真摯に反省すべきだろう。

2011-01-22 07:59:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

日英(2)イギリスに留学し、その後も毎年のように訪問する経験から言えば、とりわけ戦争にかかわる日本のイメージには偏りや無知が多い。かつての敵国どうしということもあるのだろうが、真っ先に出てくるのはイギリス人捕虜のことで、日本の国民もまた被害者であったことはあまり認識されていない。

2011-01-22 08:00:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

日英(3)今回の事態は、イギリス人の無知に加えて、日本とイギリスのコメディの文化の相違、齟齬から来ているものと考える。イギリスのコメディを愛するものとして、私の知る背景を記述する義務があると考える。

2011-01-22 08:02:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

日英(4)今回問題となったQIの司会者、スティーヴン・フライは、イギリスを代表する知性派コメディアンであり、かつてその頭脳は「ケント州くらい大きい」と評された。決して差別や偏見にとらわれた人ではない。

2011-01-22 08:04:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

日英(5)そのフライが、なぜ今回のような失態を演じてしまったか。もともと、イギリスのコメディには、政治的に危ないこと、社会的に論議を呼ぶことに突っ込んでいくという伝統がある。他国のことだけでなく、自国のことでも同じである。

2011-01-22 08:05:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

日英(6)ある番組では、王位継承順位22位の「王室」の人をゲストに呼び、「もし女王以下、王族がみなテロや事故で死んで、あなたが女王になることになったら受諾しますか?」ということをネタとして取り上げていた。イギリス人は、そのようなネタでも笑っている。

2011-01-22 08:06:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

日英(7)社会から差別される病気の人、同性愛者、障害者、特徴ある外見の人たちをコメディで取り上げることもしばしばである。その際、差別感情を持つ人がいかに愚かでこっけいであるか、ということが描かれる。

2011-01-22 08:07:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

日英(8)イギリスのコメディ文化においては、自国のことでも他国のことでも、笑いになるかどうかのぎりぎりのところを探るという伝統があり、今回、BBCのQIが、とりわけ日本をターゲットにしたということではない。もちろん、配慮が足りなかったという結論には変わりはない。

2011-01-22 08:09:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

日英(9)「リトル・ブリテン」をつくった二人と対談した時、ダイアナ妃の事故以来、しばらく王室ネタはやりにくくなったと言っていた。コメディアンは批評家ではなく、人々を笑わせて幸せにすることが目的である。その意味で、今回のQIは、日本人を幸せにするものではなかった。

2011-01-22 08:10:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

日英(10)コメディアンは、ぎりぎりのところで笑いを探り、時に失敗して怪我をする。今回のQIは、自分たちを傷つけるだけでなく、他人も傷つけるという形で失敗した。関係者には真摯に反省してもらいたい。また、このことが、日英の相互理解が深まるきっかけになればと願う。

2011-01-22 08:13:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、イギリスBBCの「QI事件」についての、連続ツイートでした。

2011-01-22 08:13:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

今回のBBC「QI事件」についての英文エッセイです。 @kenmogi We need sunshine, not the bomb: The QI incident. http://bit.ly/gxK9dL

2011-01-22 09:15:13