黄昏町(九板)四十四日目
- hiiragi_r_t_d
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【四十四日目】 【魂8/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) #hollytk
2015-12-28 23:15:21「よお、久しぶりじゃねえか」 わたしの前に立ちはだかったのは、岩のように巨大な拳をぶら下げた男。 「お久しぶりですね」 男の金色の瞳を見て、わたしは額の眼を閉じ、パナマ帽を深くかぶり直した。あの瞳に、眼の力は使えない。 「早速だが通行料、貰おうか」 01 #hollytk
2015-12-28 23:17:09「わたしは一文無しなんです。知ってますよね?」 「だからなんだ?何も出さずに帰れるわけねえってのも、知ってるよな?」 逃げられない。……まあ、逃げるつもりも、ないのだけれど。 「分かってますよ。ですから」 長く鋭い尾が、霞む。 「あなたを殺して、通ります」 02 #hollytk
2015-12-28 23:19:13男が重たそうに拳を持ち上げ、首を狙う一撃を防ぐ。金属を擦り合わせたような耳障りな音が響き、盛大に火花が散る。 「痛えなあ、オイ!」 男が金色の目を見開き、拳を乱暴に振るう。後ろに飛び下がったわたしの足元が、大きく陥没する。 03 #hollytk
2015-12-28 23:21:19わたしは尾を振るって巨大な拳を防御に専念させた後、数歩下がって距離を開ける。拳の間合いから離れたわたしは、腕を組んで尾に意識を集中させた。 尾の一撃が速度を増し、あらゆる角度から男の首を狙う。 岩のような拳の表面を尾が削り、激しい火花が無数に散る。 04 #hollytk
2015-12-28 23:23:19左、右、左下、左上、右下、左。 男が両腕をボクシングのように掲げ、ガードを固める。そして、じりじりと前進を始めた。 「効か、ねえ、なあ……!」 拳の表面を尾の連撃が削るが、男は意に介さず歩を進める。 「……」 わたしは腕を組んだまま、尾で攻撃を続ける。 05 #hollytk
2015-12-28 23:25:27男の額に青筋が浮かぶ。 「ナメ、てん、のか……アァ!?」 尾の一撃は間違いなく拳を削っているが、それでも男は前進をやめない。 「……」 わたしは黙りこくったまま、尾で攻撃を続ける。 06 #hollytk
2015-12-28 23:27:21「終わりだァッ!」 男が地面を蹴り、最後の数歩を一気に詰める。低く保った姿勢から、男はアッパーを繰り出そうとした。 07 #hollytk
2015-12-28 23:29:35「が……あ……?」 尾の連撃は止まっていた。途切れ途切れの悲鳴ともつかない声をあげたのは、男の方だった。 直線を描いたわたしの尾が、男の脳天を貫いていた。 男の金色の瞳が、ぐるりと上へ消える。 白目を剥いた男は、糸の切れた操り人形のように地面に崩れ落ちた。 08 #hollytk
2015-12-28 23:31:36「見えなかったですよね、今の一撃」 わたしは広がる血溜まりの中に立ち、男の死体から尾を引き抜いた。 「当然です。放ったわたしにも見えていないのですから」 竜の尾から放たれる、最速の突き。わたし自身の意思でも、一度放ったそれを止めることはできない。 09 #hollytk
2015-12-28 23:33:08一撃必殺。当然、外した時のリスクも大きい。物に命中せずそのまま直進し続ければ、おそらくわたしの身体がただではすまないだろう。 「さようなら」 わたしはパナマ帽を脱いだ。夕風が髪を揺らす。 額の眼を開くと、今日も夕焼け空は死の色をしていた。 10 #hollytk
2015-12-28 23:35:14──────── 【四十四日目】 【生存】 【魂+1】 【魂9/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) 12 #hollytk
2015-12-28 23:39:13[町]狭い路地に立ち塞がる異形の男。「通行料、貰おうか」《アイテムを1つ渡すなら見逃され力8以上は勝利【魂+1】それ以外は死亡【魂-1/『棘(力+2)』『猫目(探索+1、力+1)』どちらかを入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547 #hollytk
2015-12-28 23:40:36