@ten01nj イクサで斬られた傷がうずく、指先が痺れる。激しい疲労感と共に、緑色の培養液に包まれた視界を開けるとーーーー ーー俺の腕が無かった。見事な切り口から肩の骨が見えるだけだ。俺は腕を失ったばかりかイクサで死ねなかった。01
2016-01-04 17:55:15@ten01nj 「GRAAAAAAA!!」 「どうしました!アサイラム=サン!?」マスターが叫ぶ声が微かに聞こえるが、疲れが増すばかり。02
2016-01-04 17:56:31@ten01nj 「四本ほど腕を調達するか、貴方の細胞から腕を複製しましょう」反人道的な提案をされるがそれも気休めだ。 痛いほど我が社の方針は知っている。作るが治さない。あるいはキュアのペイジェントに。特別な待遇は目の前のサブジュゲイターと、カンゼンタイなる新作だけだろう。03
2016-01-04 17:59:08@ten01nj 「カラテがなくとも……」意味のない慰めを言いかけたがふと目線が合って気がついた。常日頃の刺すような視線はもはや無い。イクサ狂いからイアイドをもぎ取るとこれほどまでに憔悴するのか。04
2016-01-04 18:00:16@ten01nj 「まあ……力無きあなたに用はありません、殺してあげましょう」 ヨロシ・ジツでニンジャ耐久力を下げてポン・パンチを撃つだけで、随分と楽に死ねるだろう。 ジツの為に手をかざしてもアサイラムは無感情だ。イアイド使い独特の精神統一ではなく、もはや抜け殻。05
2016-01-04 18:01:12@ten01nj アサイラムの変貌を見るうちに、サブジュゲイターにも動揺が見られる。精密なunix機器にも誤動作めいたイレギュラー。 「いえ…止めです。今から私の独断で動きます」「……」06
2016-01-04 18:05:01@ten01nj サブジュゲイターが炸裂スリケンを投かくすると、警報ブザーに刺さり、ボンボリが明滅する。 「では、逃げましょう」07
2016-01-04 18:06:51@ten01nj 培養槽から彼を持ち上げることは容易だ。アサイラムが気づいているか定かではないが、腕はおろか脚も膝上で寸断されている。08
2016-01-04 18:07:13@ten01nj 「「「「ザッケンナコラー!!」」」」駆けつけるクローンヤクザにヨロシ・ジツをかけ、アサイラムを抱えて走る。動きが鈍く通行に邪魔なクローンヤクザは蹴り殺し、出口へひた走る。09
2016-01-04 18:07:57@ten01nj マッタクなぜ旧型の医療室を宛てがわれたものか。 鍵を開けるため扉から目を離したその一瞬、壁 扉 天井から大量のガトリングガンが顔を出し、一斉掃射!BLAM!BLAM!BLAM!「イヤーッ!」 ニンジャ瞬発力で難なくこれを回避。不遜なアンブッシュの主は誰か。10
2016-01-04 18:08:57@ten01nj 「また裏切りましたね、サブジュゲイター=サン」ガトリングガンにしがみついていた男が着地。 「ドーモ、オートトリガーです。テリトリーの敵を殲滅することなど、ベイビーサブミッション!」11
2016-01-04 18:10:23@ten01nj オートトリガー 【オリジナル】ヨロシサンの雇用した全身サイバネのニンジャ。口数が多い。無線LANを搭載したガトリングガンとセットで自分を売り込み、敷地内の制圧を得意とする。【ニンジャ】
2016-01-04 18:12:01@ten01nj 全身サイバネのニンジャが道を塞ぐ。前口上が長いですね。時間の無駄です。 「ドーモ、サブジュゲイターです。退きなさい、雇われ兵め!」 「何?ダメ、だめですね。そちらの芋虫と違い、貴方にはまだ仕事があるそうです。死体でも回収せよと。」12
2016-01-04 20:32:47@ten01nj 「さァ、敷地内のお掃除です!イヤーーッ!」 銃声でご自慢のお喋りをかき消されたくないのか、ひとしきり喋った後、更に一斉掃射の勢いが強くなった。13
2016-01-04 20:33:33@ten01nj ずいぶんと思い上がっているが成程、この部屋は私達の処刑用に用意されたのだろう。銃撃を避けながら観察すると、狭苦しい部屋には窓や隠れるオブジェクトもろくになかった。14
2016-01-04 20:38:02@ten01nj 「旧型医療室に、傭兵ニンジャ1人とは私達もなめられたものですね」 「マスター、俺を捨て置け。お荷物になるなど御免だ」15
2016-01-04 20:42:10@ten01nj ようやく口を開いたと思ったらまだリンボめいたスーサイドへのうわごと。 「それができていたら始めから脱走なんてしません。さっさと部外者を排除しますよ」16
2016-01-04 20:42:31@ten01nj 入口重点で固められたガトリングガン。そして機銃掃射の弾幕にはムラがあり、わざと一箇所に誘導しているようにも見える。 アサイラムを抱えているため、ポン・パンチも炸裂スリケンも不可。クローンヤクザは敵の足元で蜂の巣になっている。17
2016-01-04 20:45:45@ten01nj 「愉快、ユカイ!私にサマーソルト・キックをくらわすおつもりで?どんどん扉から離れておりますよ?デカい的を持ったまま近づけるとでも?ハッハ、テックの勝利だ!」18
2016-01-04 20:51:47@ten01nj 単身ならば、あるいはアサイラムのイアイドがあれば銃など物ともしないのに。雨あられと降りかかる銃撃を避ける一方で、焦燥を覚える。いくら手足がないとは言え、巨体のアサイラムを覆い隠せ切れないのでは。19
2016-01-04 20:54:45@ten01nj 「マスター、俺を敵の足元に投げ、目潰しを」刺すような視線と意思のある声。「そこから動かずにな」 「イヤーッ!」即座にアサイラムをオートトリガーの足元へ投かくする。21
2016-01-04 21:01:30