マコト主義とセケン・リークス

にるば @nirvanaheim

素朴な善意を抑圧し、乾かし、揮発させる社会——ここで重要なのは、抑圧者と被抑圧者が奇麗に分かれていたりはしない、ということです。世間に存在し、世間を構成する個としての自己、さらに集合的「自身」が抑圧を生成し、再生産し自らに課す。それ故「世間」が抑圧せるセケン・パンク世界なのです。

にるば @nirvanaheim

で、件の日、最初に「日本を熟知したニンジャスレイヤー作者の筆致」と書いたけど、ここでまず思い起こされるといいだろう話が、サイバーパンクからしてそもそもその時代の鏡であり、それが打ち立てられた時代の「現在」が投影されたものであった、ということ。

にるば @nirvanaheim

未だ来たらざる世界への想像力を核たる推進力とするＳＦというジャンルにあって、ごく近未来、現実の延長上の世界を描いたサイバーパンクというジャンルには高度な風刺性が内包されている。そしてまた、ニンジャスレイヤーもそれに漏れない。

にるば @nirvanaheim

何が言いたいのかというと、それ故にそこから得られた表象は我々の現実に滑らかに襲い来たり、容易に適用し得るということ。もっと言えば、現代の現実が仮想世界としてカリカチュアライズされたのがサイバーパンク的ＳＦ世界であり、カリカチュアされる前のものに我々が日常において出会えるという話。

にるば @nirvanaheim

さらに単純極まりなく言えば、ニンジャスレイヤーが風刺として表現したもの——を私が一般化した概念としてのセケンパンク概念に、この現代日本社会で触れることができるという話であり、要は日常的に応用濫用できちゃうってことです。

にるば @nirvanaheim

で、私のログには、２週間くらい後になって応用した例が見られます。 ≫http://twilog.org/nirvanaheim/date-101227 ／まず朝八時辺りの、@hitsuji_no_hitoさんのポストを三つくらいＲＴ（途中別の人の話が挟まってるけど）してのコメ。

にるば @nirvanaheim

厄介事に巻き込まれたらしい人間に対し、厄介事に巻き込まれてしまったことを冷笑し、また罵倒する。それに対する、「別に介入して助けろとか言わない。『まあまあ』と仲裁しようとしたりしなくてもいい。ただ、人情の欠片くらいは見せろよ」という言葉。これにセケンパンク世界を想起したわけです。

にるば @nirvanaheim

これと　≫@nirvanaheim：まあ、日本はわりと真面目にセケン・パンク的な背景世界ですからねぇ。

にるば @nirvanaheim

これかな。 ≫@nirvanaheim：┉ ＴＶでやってた実験(笑)で、「街中で泣いている女性」に対して、他国では「大丈夫？どうしたの？」という風なことを言う人 ┉ が現れるけど、日本では延々そっとしておいてもらえるもとい放置という結果が流れたのを思い出しつつ。

にるば @nirvanaheim

あとその朝の話でセケンパンクづいて昼食時にしたのがこれ。　≫@nirvanaheim：ふたくみ（←何故か変換できない）続けて、『この店、ラストオーダーでもう入れませんよ』と後続の犠牲者候補に告げることがなかったという事象に、セケンパンク世界の顕現を感ずるなど。

にるば @nirvanaheim

で、先週にしたのが、まず増田氏のこの発言を見て……　引@smasuda：オレも教員なので先生の立場にはどうしても同情的になるのだが、それ以上に保護者として自分の子供任せている「先生」には気分良く働いてもらった方が子供のためには絶対ええよね、つうのが常識になればええねんけどな。

にるば @nirvanaheim

これ。　引@nirvanaheim：一方、世間には新任の女性教師を追い詰めて自殺せしめる保護者団が存在した。 ≫保護者として自分の子供任せている「先生」には気分良く働いてもらった方が子供のためには絶対ええよね、つうのが常識になれば　／セケンパンク世界マジ過酷だわ……

にるば @nirvanaheim

今何の話をしているのかというと、ここ http://togetter.com/li/92579 でtrickenさんが展開している、日本社会の分析概念としてのセケンパンクとセケンリークスなる二概念について、後者に二重の転倒があって面白いとか言いだしてたんだけど……

にるば @nirvanaheim

１．その説明のために、２．まず前者における転倒を説明すべく、３．○○パンク概念における転倒を説明すべく、４．サイバーパンク的物語を表していた「サイバーパンク」という用語が、サイバーパンク世界概念を通じて、パンクすべき対象としての世界自体を表すようになったという転倒を表したと。

にるば @nirvanaheim

５．そして次にセケン・パンクを説明し、６．これから、「同じように、セケン・パンクもまた、セケン・パンク的物語が展開されるべき背景世界を指す言葉として用い、用いられるようになっている」と説明すると。７．次にはさらに、おそらくより上位の概念として設定されるべき「セケン」単体の発生が。

にるば @nirvanaheim

６はもういいよねと言いたいところだけどそうもいかなくて、７につなげなくてはいけないので今書いたのからは少しずれる。

にるば @nirvanaheim

セケンパンク概念自体は、世界そのものというよりも、世界に存在しているそのような抑圧性、内在している「セケンパンク世界的抑圧性」を指す言葉、辺りと化しているのだろう。イデア的意味での「セケンパンク世界」が部分的に我々の世界に顕現しているのを指して「セケンパンク的」と言う、辺りかな？

にるば @nirvanaheim

で、tricken氏が使っている「セケン」概念は、おそらくそこでまた遡及して、そのようなセケンパンク性に対して特に属性として着目した時の世間、セケンパンク的なるものとして視点を取り、分析を加えようとする時の、対象としての世間を分析概念として言い表した形がセケンなのであろう。多分。

にるば @nirvanaheim

で、セケンリークス。

にるば @nirvanaheim

こちらについての転倒というのは、リークス概念について。

にるば @nirvanaheim

リークする、ウィキリークスについて言及するまでもなく、このリークという行為は一般的には多分、「端的には情報統制といった形で抑圧する側の内部から、その抑圧に対抗するためにする」ものだったと思うわけです。

にるば @nirvanaheim

ところが http://togetter.com/li/92579 で表出されているところのセケンリークスは、それ自体が抑圧的機構として機能していると。まあこれが転倒だと思ったわけです。

にるば @nirvanaheim

セケンパンク的抑圧下で、個人が「私はマコトを尽くしてます」と表現しなくてはなくなっていたというセケンがかつてあったと。このマコト表明は、それ自体抑圧への抵抗としても機能していた。というか、抑圧と抵抗と境界に表出したものがこのマコト表明。

にるば @nirvanaheim

個人によるその個人の情報統制、これがセケンパンク的抑圧への抵抗・対処として機能していたのが、情報技術の進歩によってこの統制を抜くリークも発達したと。これを指してセケンリークスと言っている、と理解していますが、抑圧の手段としてのリークがここにある、とも言えますね。

にるば @nirvanaheim

世間が世間自身を抑圧し、世間の内部構成者が抑圧をひたすら再生産し続けるというカリカチュアライズがセケンパンク的なるものと言った——ような気がしました——が、セケンパンク的世間、つまりセケンにおいては情報統制がプロテストとして機能し、リークは抑圧として機能するわけです。おやすみ。