#完全ノープラン艦これ与太話 【コレクティヴ・サブコンシャスネス】#7～#8

春魔解丼 @vespiking

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#完全ノープラン艦これ与太話 【コレクティヴ・サブコンシャスネス】#7 #KZNPLN

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（これまでのあらすじ：ウシミツ・アワーに謎の怪電波放送が観測され、それを見たと思われる空母翔鶴と軽巡夕張は失踪。弥生はNYTV特派員・翔鳳丸を名乗り調査を開始。だが協力者であった秋雲もまた怪電波放送を受け、重篤昏睡状態で発見される） #KZNPLN

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（弥生は同時期に発生した、〈停戦派〉デモを狙うテロ事件に関連性を睨み、活動家のブルーバブルと接触。犯人への怒りを顕にする。だが直後、意識を取り戻した秋雲から、ブルーバブルの証言と決定的に食い違う怪電波の秘密が明かされたのだった） #KZNPLN

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「モシモシ、ブルーバブルです」自宅のインターホンを鳴らし、マンオウォーは黙する来客用スピーカーへ、もう一つの名を名乗った。十数秒の間をおいて、パタパタと足音がやって来る。この名以外の相手には、決してドアを開かぬよう指示してある。イルス・ガーディアンだ。 #KZNPLN

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「開きます」「お願いします」簡易なやり取りの後、少しだけドアが開く。マンオウォーは滑り込むように玄関へと入った。マスターキーは最初から室内だ。盗難防止である。「翔鶴＝サン。来客はありましたか」「ハイ。ミタラギ＝サンという方が」「ありがとうございます」 #KZNPLN

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水母棲姫マンオウォーの恐るべき神経毒は自我を書き換え、洗脳する。だが神経毒による急激な自我の改変は不完全性を孕みやすく、フィードバックのリスクが高い。段階的に洗脳を進めていく必要がある。彼女は毒で翔鶴の判断力を奪い、じわじわとテゴメしてゆくことを選んだ。 #KZNPLN

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「翔鶴＝サン……あの、あれは」マンオウォーは一旦自我を奥に潜め、ブルーバブルの自我を表出させた。偽りの自我で、長い会話は危険だからだ。「……ハイ。船体を洗って、パックして冷凍庫に。着衣は今、洗濯しています。艤装はこれから分解です。それで、その……汚物も、綺麗に」 #KZNPLN

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「……ゴメンナサイ。こんな酷いことを任せてしまって」「いいのです。ブルーバブル＝サンこそ……気をしっかり持ってください。大丈夫。私が絶対に守りますからね」「ハイ……」ブルーバブルは震えながら、翔鶴にしなだれかかった。まだ奥の部屋には、僅かに異臭が残っている。 #KZNPLN

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軍人の立場を利用して接触してきた夕張は、ブルーバブルが気を許した隙をついて突如本性をあらわし、彼女を強制前後しようと襲いかかった。夕張は抵抗に怒り、あわやファック＆サヨナラされかけた時……突き出した触手が不幸にも急所を貫き、夕張は死んだ。そう翔鶴は聞かされている。 #KZNPLN

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相手は名の知れる工廠を任された、名誉ある軍人だ。裁判になれば、正当防衛も認められずセプクを言い渡されるだろう。いずれケンペが来る。最期に一晩だけ愛し合いたい。そう求められたブルーバブルへ、翔鶴は自発的に共犯を申し出た。その記憶のどこまでが真実かも自覚できぬままに。 #KZNPLN

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マンオウォーの洗脳は己自身、即ちダブルシンクめいて共存するもう一つの自我たるブルーバブルにも及ぶ。故にブルーバブルの翔鶴への反応は演技ではない。彼女は無意識の根源から、マンオウォーによる改竄を受けている。当然ブルーバブルはマンオウォーを知覚しない。 #KZNPLN

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マンオウォーとブルーバブルが如何なる感覚を共有し、他自我の表出中にどのような精神状態にあるのか。それはこの病理じみた特異なジツを有する彼女にしかわかるまい。それは我々の自我状態もまた、他人のそれと同一かどうか証明できぬのと同じであろう。 #KZNPLN

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夕張はバイオテックにより不死身の肉体を得た世界で唯一の艦娘である。しかしその不死身はセルフ・ジカンカイフク・ジツに代表される自己再生的なものではなく、専用の入渠ドック処置を要するものだ。行方不明扱いとなった後、〈過激派〉末端の駆逐ロ級にでも喰わせればよかろう。 #KZNPLN

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翔鶴は既に、ブルーバブルを以前からの愛人として認識している。ブルーバブル自身もそうだ。軍人2隻の殺害はリスクが高い。何より翔鶴は戦力として有能であり、女としても極上だ。マンオウォーの趣味とも合致する。彼女はこのまま秘匿し、然る後、〈過激派〉に引き抜く。 #KZNPLN

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自我すら届かぬ無意識の海底で、マンオウォーは静かに笑う。彼女の任務は〈停戦派〉へのテロ攻撃と、有能者のヘッドハント。当初の予定とはやや異なるが、成果は想定以上だ。夕張というキンボシ・オオキイもついてきた。ワイオミングと協力関係を結べたのは僥倖であった。 #KZNPLN

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ピンポロパンポコ、ポン。戦術的勝利を予感させる気の抜けたインターホンが響いた。（私が確認します。ブルーバブル＝サンは隠れられる準備を）（ハイ）翔鶴は素早く監視カメラ映像の前に行き、声が漏れぬようスピーカーに耳を傾けた。「ドーモ。ブルーバブル＝サン。おられますか？」 #KZNPLN

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「私は帝国軍の者です。行方不明者について聞き込みを行っています」アナヤ。危険だ。ブルーバブルは翔鶴に、ジェスチュアで隠れるよう指示を出す。だが翔鶴は反応しない。「……？」翔鶴は少し震えながら、食い入る様に監視モニタを見ていた。玄関先の、迷彩装束の空母を。 #KZNPLN

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マンオウォーの全身にぞくりと悪寒が走った。「……？」翔鶴はデジャヴを見たかのような怪訝な表情で、だが内から湧き上がる困惑を隠せないでいる。この空母、翔鶴の知人だ。マンオウォーはそう直感した。知人の存在それ自体が、翔鶴の洗脳に致命的な影響を及ぼす可能性は低い。だが。 #KZNPLN

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その影響がゼロであると一体、誰が断言できる。洗脳の定着は如何程か？リスクはどの程度ある？翔鶴が正気に戻れば破滅だ。マンオウォーは実際強いが、精鋭の装甲空母相手の航空戦は部が悪すぎる。何より翔鶴が惜しい。ここでマンオウォーの自我を表出させ、窮地を脱することは可能か？ #KZNPLN

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（……翔鶴＝サン！こちらに！）マンオウォーは意を決し、ブルーバブルの自我を無意識の奥底に引き摺り下ろした。（……ハ、ハイ！）今最も避けるべきは、この空母の前に翔鶴を出す事だ。（単なるアトランダムな聞き込みです。下手にイルスすればマークされかねない。私が行きます） #KZNPLN

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マンオウォーは少しだけ慌てた様子をつくり、玄関のドアを開けた。「ド、ドーモ。スミマセン、掃除をしていたもので……ブルーバブルです」「ドーモ、瑞鶴です。こちらこそ急にシツレイを」迷彩空母は深くオジキした。「イエ、ご協力できればよいのですが……」 #KZNPLN

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「ハイ……実は先日、私の姉がネオヨコスカに行くと言ったきり消息を絶ってしまい、それで目撃情報の聞き込みを……あ、私も遠征から戻ってすぐでして、艤装をつけたままで申し訳ない……」瑞鶴は再び謝罪のオジギをした。予想は的中か。潔白を装わねば。「イエイエ、お気になさらず」 #KZNPLN