一カラ『もしもし、もしも』(新刊没ネタ供養)

アニメ14話までの解釈で作ってた新刊のボツネタです。15話により解釈が変わったので、ツイートまとめとして供養しました。 ※勢いで呟いていたので一人称にブレがあります。 壱松→「俺」(動揺した時は「僕」)    心のなかでは「僕」 唐松→「俺」 続きを読む
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安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

しかし、10分くらいたっても唐松は手も出してこないし、声もかけられない。よし、このまま寝てしまえ。僕はそのまま、深夜3時まで時間を潰すことに専念することにした。抜き足差し足忍び足、ポケットにテレフォンカードが入っているか確かめ、僕はそのまま部屋を出た。

2016-01-24 00:46:32
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

台所で、温めたばかりのお茶を飲んだ。さっきまで恐怖で縮み上がっていた筋肉がほぐれていくのを感じる。時計を見るともう3時である。そろそろ行こう。空になったカップを流しにおいた。「俺も何か飲もうかな」不意打ちはやめろ。何で起きてんだ。

2016-01-24 00:49:07
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

唐松は当たり前のようにこちらへ歩いてきた。「壱松、話の続きがしたい」「俺はしたくない」「壱松、壱松は俺のことが好きだろう?」「あっ!?」素っ頓狂な声が出た。誰か起きるかと思ったが物音すらしない。こういう時ばかりは鈍い兄弟でよかったと思う。「好きとか何いってんの勘弁しろよ」

2016-01-24 00:52:07
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

唐松は不思議そうな顔でまた質問を繰り返す。「俺のことが好きじゃないのか?」「だからなんで」「だってお前俺が寝てる時、俺の体に触ったり、髪を撫でたり、キスしようとしたりしたことあるだろう」照れ笑いを浮かべるこいつの前で今日一番の恐怖を感じた。この兄は全て知っていたのだ。

2016-01-24 00:54:48
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

俺が夜にこいつの体に触って勝手に抜いてたことも、勝手に温かい気持ちになって頭を撫でたことも、勝手に愛しくなってキスしてもいいような気持になったことも全部知っていた。なのにこいつは今まで知らない顔をして、兄弟との距離を保っていたのだ。だが今前にいる唐松は違う

2016-01-24 00:56:12
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

「俺はお前が好きだから。」唐松は僕の頬に手を添えて、突然キスをした。おい、と声にする余裕もないほどがつがつ迫ってくる。今のこいつは「俺と同じくらい、相手のことを思っている唐松」、抑えが聞かないのだと察した。しかしそんなことどうだっていい。固く握られた腕とは逆に

2016-01-24 00:59:45
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

足のほうはあいていたのでそのまま脛を蹴る。うっ、と唐松の鈍い声が、離れた唇から漏れる。ちゅぱ、という音が生々しく耳に残った。ここでとどめをささねばと思ったが、唐松は既に半分べそをかいていて、もうどうでもいいという気持にさせた。「俺、出かけるから」

2016-01-24 01:06:46
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

「どこへ行くんだ」「ほっといて」「でも」「いいから…買い物。」「なら俺も」「チッ」市松は早足であるくも、唐松は嬉しそうにうしろをついてくる。違う、僕がほしいのはそういうのじゃないのに。僕が何をしたのか知っているくせにこいつはにこにこと笑っているのだ。

2016-01-24 01:08:27
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

特に行き先なんて決めてなかったので、近くにあったコンビニに入った。ぶらぶらとうろついていると「壱松、新商品だって」「いつも買ってるのは?」としつこく質問をしてくる。「興味ない、いらない、しらない」 ひたすら拒否を続けて最後に買ったのは一つの肉まんだった。「半分やるから帰って」

2016-01-24 01:10:47
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

唐松は一瞬びくりと身体をうごかすも、嬉しそうに受け取った。「いいな?」「壱松は…」「俺は用事があるから」そういって早足で逃げ出す、唐松はおいかけてくる、なんだよいつもなら無視してるくせに、しつこさまで僕の真似してんじゃねえぞ。そのまま十姉妹と行った電話ボックスまで走った。

2016-01-24 01:13:39
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

体格の違いか、俺ばかり息が上がっている。唐松は心配そうにこちらを見る。「帰ってよ…帰れよ!!」「俺は、壱松が心配で」「はあ!?何で」「好きだから」まっすぐとこっちをみてくる。どうしてこんなにまっすぐなんだ。全部俺が願ったせいだってお前は知らないのに。そんな勝手に好きだなんて

2016-01-24 01:14:25
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

「さっきから好きっていうけどさ、じゃあ僕のどこがすきなんだよ!いってみろよ!」すると唐松の目から光が消えた。「え、と」そうだ、もともと持っていない答えだから反応できないんだろう。むかつく、むかつく、答えれないお前も、答えを求める僕も、それをわかっている僕も「僕は」

2016-01-24 01:16:33
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

「お前がかっこつけて満足そうにしてるのも腹立つけど好きだし、たまに気が抜けて素が出てるのも好きだし、兄貴風吹かせてんのも好きだし、なんだかんだ優しいところも好きだし、なんならお前の匂いだって好きだし、全部好きだよ!どうだ気持ち悪いだろ!こんな僕なんて嫌いだろ!嫌いって言えよ!」

2016-01-24 01:20:09
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

唐松はぼうっと立ち尽くしている、泣いちゃ駄目だ、泣いちゃ…泣いちゃ…。ギリギリ下唇を噛んでこらえていると唐松は夕方の時とは違い、壊れ物を扱うように僕の手に触れた。「すごく、嬉しいんだ。嬉しいのに、俺は、返す言葉が、出てこないんだ。壱松、ごめん。でも好きなんだ。」

2016-01-24 01:22:19
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

信じてくれ、と唐松は僕の方をみる。信じたいけれど、信じられない。なぜだなんて自分にきかなくても分かる。これは僕の甘えが産んだ言葉で、唐松の本当の気持ではない。だから、ここで受け入れちゃだめなんだ。唐松が近づけてきた顔を両手で塞いだ。「違うだろ。唐松。」そのまま押しのける。

2016-01-24 01:26:19
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

よろける唐松が体制を立て直す前に僕はすかさず電話ボックスに入った。カードをつかむ手が震えるけど、限界だった。挿入口になかなか入らずもたもたしていると、唐松が電話ボックスの扉を叩いた。「壱松!」何度も何度も名前を呼ばれる。近所迷惑すぎる。でもそんなことをいってる暇はない。

2016-01-24 01:29:26
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

ようやくカードが公衆電話に飲み込まれていった。コール音が数回。『もしもし、もしも』。どんどんと扉を叩く音。外からあけられるのに、あいつはそんな簡単なことにも気づかない。馬鹿だなあと思った。「唐松が、前と同じに戻ったら」

2016-01-24 01:31:42
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

そう受話器に向かって声にしたと同時に僕を呼ぶ声も扉を叩く音もなくなった。シンとしている。

2016-01-24 01:32:22
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

扉を開ける前に涙を拭った。赤い顔もどうにか隠そうといつも以上に背を曲げた。そうして外へ出る。唐松は呆けた顔でこっちを見ていた。 「こんな夜になにしてんの」「えっ」ぎょっとしてこっちをみてくる。「いや、えと」「夢遊病なんじゃない?」

2016-01-24 01:34:55
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

そのまま唐松の隣を通り過ぎる。なるべく口角をあげて、いつもどおりの顔で、いつもどおりの唐松の隣を通り過ぎた。数百メートルあるいたところで顔をあげる。「全部、これでいつもどおりだ」。じくじくするこの今までにない幸せと苦しみがまじりあったこの気持以外全て。

2016-01-24 01:36:59
安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

以上、新刊予定の没ネタでした。長文連投すみません。 pic.twitter.com/X7ebEIQeAO

2016-01-24 01:38:26
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安倍川みやが@大阪6魂 @umee9632

これ没にした理由は15話で唐松くんが「愛してるっていわれたり行為で伝えられたら結構簡単にほいほいされちゃいそう」って思って解釈ぶっこわれたからです、以上いいわけです。消化しました。

2016-01-24 01:41:05