『地域アート 美学/制度/日本』(堀之内出版)の内容紹介(編者より)

http://www.amazon.co.jp/dp/toc/4906708552 目次 はじめに ◆藤田直哉 前衛のゾンビたち――地域アートの諸問題 ◆星野太×藤田直哉 まちづくりと「地域アート」――「関係性の美学」の日本的文脈 ◆加治屋健司 地域に展開する日本のアートプロジェクト――歴史的背景とグローバルな文脈 続きを読む
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藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

さてと、間もなく刊行される『地域アート 美学/制度/日本』(堀之内出版)の紹介をします。これは、編著ですが、一昨年「すばる」に寄稿し、話題にしていただいた「前衛のゾンビたち――地域アートの諸問題」の長編版とお考えください。

2016-01-28 22:24:25
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

「前衛のゾンビたち――地域アートの諸問題」は、現代の日本の各地で行われている「地域系アートプロジェクト」と呼ばれているものを考察し、そこにある美学の変化や、制度とのかかわり、経済的条件、思想などなどの問題を切りだして論じるものでした。『地域アート』はその進化系です。

2016-01-28 22:25:30
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

「前衛のゾンビたち――地域アートの諸問題」で提出した「美学」「制度」「日本」などなどの主題をより深めるには、ぼくが一人でやるよりみんなで取り組んだ方がよかろうということで、『地域アート 美学/制度/日本』は、色々な方に参加していただきました。軸は全くブレていないはず。

2016-01-28 22:26:44
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

「地域系アートプロジェクト」→「地域系アート」→「地域アート」と名前が変わっていったこの「地域アート」なるものは、「現代アート」から派生し、ひょっとすると「現代アート」と対等かそれを凌ぐ新しいものとして立ち現れているのではないかというのが、ぼくの巻頭言での認識です。

2016-01-28 22:28:18
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

『地域アート 美学/制度/日本』の紹介をします。まず、ぼくの巻頭言がありまして、「地域アート」の定義と、その概念化の意義が簡単に説明されます。そして『すばる』に掲載され話題になった「前衛のゾンビたち――地域アートの諸問題」が再掲されます。この辺りが基調。

2016-01-28 22:37:41
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

次に、美学・芸術について詳しい研究者の星野太さん(東京大学大学院総合文化研究科特任助教)とぼくの対談、「まちづくりと地域アート――関係性の美学の日本的文脈」が、加筆修正の上に再録されます。これは、割と様々な関心をお持ちの広範な方々に読みやすい内容かと思います。

2016-01-28 22:40:36
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

続けて、加治屋健司さん(京都市立芸術大学芸術資源研究センター准教授)の論考「地域に展開する日本のアートプロジェクト:歴史的背景とグローバルな文脈」が続きます。この論考では、この本の対象としている「地域アート」について、網羅的かつ史的な展開と輪郭が、クリアに見えてきます。

2016-01-28 22:43:18
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

続けて、国際的に活躍しているアーティストとキュレーターのお二人と、ぼくが話す機会をいただきました。田中功起さん(アーティスト)、遠藤水城さん(キュレーター)のお二人に、率直にお話を伺いました。題して「地域アート」のその先の芸術―美術の公共性とは何か」。

2016-01-28 22:45:53
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

2013年にヴェネチアビエンナーレで特別表彰された日本館の代表であり、来月に水戸芸術館で個展「共にいることの可能性、その試み」を開催する田中功起さんと、「Lorenzo Bonaldi Art Prize」を受賞するなど世界的に活躍しているキュレーター遠藤水城さんとの鼎談。

2016-01-28 22:50:59
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

国内外で活躍されているアーティストの田中功起さんと、キュレーターの遠藤水城さんは、「地域アート」をどう見ているのか。お話をすると、もう「その先」を見据えて活動なさっていることがしっかりとわかり、驚きました。目から色々と鱗が落ちたし、矜持がしっかりと伝わってきました。

2016-01-28 22:52:49
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

続けて、清水知子さん(筑波大学人文社会系准教授)の論考「Shall We "Ghost Dance"――芸術と社会のエコロジー」。『文化と暴力』でクールブリタニア研究をなさった清水さんの力作。現代日本の地域アートが、政治的にどういう効果・意義を持つのかが分析されています。

2016-01-28 22:57:28
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

清水知子さんは、ニコラ・ブリオーの「関係性の美学」が、デモなどと深い繋がりを持って着想されたことに注目され、ネグリ=ハートの「マルチチュード」概念なども援用しながら、再び大規模デモが起きるようになった現代日本における「文化」「芸術」を分析し、提言なさっています。

2016-01-28 22:59:09
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

次が美術家・映像作家の藤井光さんとの対談「エステティック・コンディション――美学をかこむ政治や制度」。「プロジェクトFUKUSHIMA!」など、311以後の様々なアートプロジェクトを、撮影し、記録し、観察し、分析するという特異な活動をされてきた藤井さんに今はどう見えているのか。

2016-01-28 23:01:26
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

この対談の藤井光さんが素晴らしいのは、日本の美術が取り巻かれている制度――人間関係、利害、検閲、圧力などなど――を、率直かつ勇気をもって言及してくださっていることです。パリ第8大学美学・芸術第三博士課程DEA卒という経歴からして、日本の固有の問題が、浮き彫りに見えるのでしょう。

2016-01-28 23:03:17
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

続けて、「社会の芸術」フォーラム代表として非常に活躍なさっていらっしゃる、北田暁大(東京大学情報学環教授)さんの、「「開かれる」のではなく「閉じられているがゆえに開かれている」――社会とアート」では、社会学の立場から、地域アートの様々な問題を論じてくださっています。

2016-01-28 23:06:49
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

北田暁大さんの論考、「「開かれる」のではなく「閉じられているがゆえに開かれている」――社会とアート」は、理論的にはこの本の中で一番複雑かもしれません。が、社会と芸術について、一筋縄ではいかないその複雑さについて、複雑ながらもクリアな論述は、様々な示唆をぼくらに与えてくれます。

2016-01-28 23:09:27
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

次が、日本を代表する現代アーティストの一人、会田誠さんとぼくとの対談、「地域アートは現代美術家の”役得”――アーティストは欲張りになれ」。会田さんの、「地域アート」へのかかわり方は、距離を置きながらも、無視をしない、独自なもののように見えたので、お話を伺いにいきました。

2016-01-28 23:11:57
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

会田誠さんという、キャリアと実績のある美術家が、なぜ若い作家と行動を共にしたり、関わったりするのか。自身の作風に影響してくるのかどうか、これからの美術をどう見るのか? 叱咤激励と、励ましと、応援でした。遠藤一郎さんをどう評価するかなど、具体的な話が盛りだくさん。

2016-01-28 23:13:17
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

最後が、アーティストの、じゃぽにかさんと、佐塚真啓さん。じゃぽにかさんは、「悪ノリSNS 芸術は炎上だ!」で岡本太郎現代芸術賞を受賞された謎の人達で、佐塚さんは、国立でも美術館でもない「国立奥多摩美術館」を勝手にやって館長をやっている謎の人です。

2016-01-28 23:18:32
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

あんまり世代論的な切り口をするのはどうかは思いますが、田中さん、遠藤さん、藤井さんが70年代生まれであるのに対し、80年代生まれのアーティストである彼らは感覚も違うし、もっとダイレクトに色々直面している感じだろう、ということで、話をしました。

2016-01-28 23:20:06
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

SNSでの炎上などを「アート」と結び付ける価値転倒がなかなか面白い座談会、「日常化したメタ・コンテクスト闘争――「誰でもデュシャン」の時代にどう芸術を成立させるか」」になっております。インターネットなどのネットワークと、社会のネットワークを重ねて見てしまう感性も見どころ。

2016-01-28 23:22:42
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

同時に、(造型的に)「ゾンビ的」なものが多いのは何故か、という「美学」についても、実践する立場から言及。ポスト・インターネット時代における「関係性の美学」への叛逆的なアプローチが実は割と意識的であるということが判明するという、面白い座談会でした。

2016-01-28 23:24:17
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

インターネットやSNSが当たり前にあるときに、「ソーシャル」や「関係性」が再編成されていることに鋭敏に反応している、というか。……新しい世代が何を考えて作品を作っているのかはなかなか言語化され活字化されにくいので、その意味で読む価値のある内容ではないかと思います。

2016-01-28 23:27:19
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

というラインナップで、「地域アート」を分析しています。正直、これは、地域アートに関わる方々の多くに読んでいただきたい本です。多くの方々にご参加していただくことで、様々な角度から「地域アート」を分析し、問題や可能性を未来につなげることができたと思います。感謝します。

2016-01-28 23:34:28