- tasobussharima1
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ガラシャに連れられ、二人は道無き道をゆく。 「これ、正直無理だろ!あてっ!」 ガンジーは気を逸らした隙に、張り出した枝に頭をぶつける。 「……気を付けろ。なるべく早く、崖の上に出たい」 「うん……」 「徳ジェネレータも回収しねぇとなぁ」 しかし、優先順位に迷う余地は無い。
2016-01-31 21:04:07まず身の安全。次に車。最後に徳ジェネレータだ。 「本尊に攻撃を加えることはしまい。俺達があそこに居れば、巻き添えの危険があった」 「遠慮なしに、石投げてたもんなぁ……」 「持久戦になれば不利だが、あちらも備えはあるまい。掠め取るチャンスはある」 「まずは車か」 「そういうことだ」
2016-01-31 21:08:03「えっと……たぶん、こっち?」 ガラシャの道案内が、段々と怪しくなる。 「おい、しっかりしろよ」 「無理もあるまい」 恐らくは滅多に使われない道。その上、昨晩の騒動だ。 「このままじゃ追いつかれるぞ。武器か何か無ぇのか!」 「崖に仕掛けた発破の残りがある」 「死ぬだろ!」
2016-01-31 21:12:07主に死ぬのは街の人間なのだが。これ以上状況をこじらせるのは、どうにも上手くない。ここはガンジー達が暮らす街から、最も近い人里でもあるのだ。将来的に禍根を残す可能性がある。 そこまで明確な思考ではなくとも、何らかの『不味さ』をガンジーは密かに感じてはいた。 「兎に角、発破は無しだ」
2016-01-31 21:16:07「わかった」 道が開ける。遠目にではあるが、農作業に精を出す街の人間の姿も目にすることができる。崖の底伝いに斜面を下り、参道の『端』に合流したのだ。 「……ここから、どう行く」 「来るときは、そのままのぼったんだけど」 道は分かりやすくなった。同時に、人目に付くようにもなった。
2016-01-31 21:20:03此処から先を発見されぬよう進むのは、至難の技だ。 「……なぁ、一回別行動しないか」 「……成る程な」 ガンジーの提案の意味を、クーカイは即座に理解した。 「街の奴ら、俺達をとっちめるより『仲間(こいつ)』を気にするんじゃないかと思ってな」 そう言って、ガンジーはガラシャを見る。
2016-01-31 21:24:02「え……?」 「もし追手を撒けずとも。どちらかが車へ辿り着ければ行動の自由度が広がる、か」 「そういうこった」 「わかった。囮役は俺が」 「いや……俺がやる」 だが、ガンジーは手を挙げるクーカイを遮った。 「デカブツに蹴り入れた時、足を捻っちまった」
2016-01-31 21:28:02「必ず、連れに戻る」 クーカイは二人に言い聞かせるように言葉を吐く。 「えっと……その、どういう」 「つまりなぁ……お前を連れて、逃げるってことだよ!」 「えっ、きゃああぁぁああ!」 ガンジーはガラシャの腕を取り、半ば引き摺るように走り出す。
2016-01-31 21:32:03