【刀剣乱舞】髭切は嫉妬で鬼になるか。

女性が嫉妬で鬼と化す話は多いですが、男性が鬼になるのはどういうときでしょうか。 古典や謡曲から考えています。 自分のツイート見返し用です。
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愛する者の死で正気を失って鬼になって死体を食べたのか、正気を失って死体を食べたところ鬼になったのか、判断は難しいところですが…。

わたり @wimwim8282

ちなみに去年単行本が出た京極夏彦の「鬼談」に青頭巾をモチーフにした話が収録されてるけど、あれは細部がいろいろと違うよ。

2016-01-14 00:11:23

同様に愛する者の死体をそばに置いた男性の話が今昔物語集巻にあります。
巻十九第二 「参河守大江定基出家語」、有名な大江定基の話です。

一部あらすじ
大江定基は本妻を捨て若く美しい女と結婚したが、その女は病にかかり死んでしまった。定基は気落ちして、埋葬もせず女の遺体を抱いていたものの数日後に女の口を吸ってみたところひどい死臭がしたので、途端に疎ましい気持ちが起こった。これを契機として仏をたのむ発心をした。

こちらは逆に出家を志すようになります。

④強い思いを抱いて死に、死後鬼となる

わたり @wimwim8282

女性が嫉妬で鬼になる話は多いけど、男性は嫉妬で鬼にのではなく愛情が行き過ぎた結果に鬼に転じるパターンが多い気がする。『今昔物語集』巻二十第七「染殿后為天宮被橈乱語」(目的を遂げるため死後鬼になる)、『雨月物語』巻之五「青頭巾」(精神的ショックから鬼に転じる)が個人的に好き。

2016-01-14 00:09:42

タイトルにある染殿后は藤原明子(文徳天皇の女御で清和天皇の母)のこと。
大変な美貌の持主であったが、物の怪に悩まされたとされる記述が散見され、なにかしらの精神病を患っていたのではと推測されます。

今昔物語集巻二十第七「染殿后為天宮被嬈乱事」全文
http://www.geocities.jp/fitzroypata/5007.html
あらすじ
ある僧が染殿后を垣間見て恋慕し、無理やり思い遂げようとしたところ捕縛される。僧の「死んで鬼となって染殿后手に入れる」との発言し、山へと放逐される。10日ほどの断食の末に死亡し、鬼となった聖人は染殿后のもとへ何度も現われ、后もこの鬼を拒むことなく受け入れた。最終的には衆人環視の中で情交し、天皇もなすすべがなかった…というなんかすさまじい話。

鬼や天狗となる高僧とは紀僧正真済のことであるとし、比叡山無動寺の相応和尚に退治される話がおおいです。しかし今昔物語集では葛城山の聖人ということになっており最終的に退治されない点が異なっています。

わたり @wimwim8282

今剣が自分のこと天狗って言い切るの怖くない?天狗って道を踏み外した僧とか山岳修験者がモデルとかいうけど、恨みを持って死んだ者も天狗になるんだし…。に

2016-02-02 21:49:02
わたり @wimwim8282

染殿后為天宮被嬈乱語で、鬼になった僧のことを文中では「鬼」表記なのにタイトルでは「天宮」と表記するのは道を踏み外した僧が天狗になるとされることが一因だと思うけど。

2016-02-02 21:52:23

鬼の姿は以下のように描写されています。
「身裸にして、頭は禿也。丈八尺ばかりにして、膚の黒き事、漆を塗れるが如し。目は鋎を入れたるが如くして、口廣く開きて、釼の如くなる歯生ひたり、上下に牙を食ひ出だしたり。赤き褌を掻きて、槌を腰に差したり。」

わたり @wimwim8282

后の侍女についてた老狐を退治してるからあまきつね関連かもと思ったけど、本筋にそこまで関係してこないからこれは違いそう

2016-02-02 21:53:57

小狐丸の「小鍛冶」で審神者の皆様から注目を集めている能楽でも。

わたり @wimwim8282

髭切のボイスから男はどうすると鬼になるのかを考えてたけど、綾鼓と恋重荷も鬼になるパターンか。

2016-02-02 13:01:04

「綾鼓」と「恋重荷」はおおまかなあらすじは同じですが細部が微妙にことなり、結末は全く違うものです。

あらすじ
庭掃きの老人が女御を見て恋に落ちてしまった。そのことを知った女御の臣下から老人へ、枝にかけ垂れた鼓を鳴らせたら(綾鼓)/この重荷を持ち上げることができたら(恋重荷)女御が姿を見せようと告げる。
枝にかけられた綾の鼓が鳴るわけはなく、また荷は非常に重たいものであったため持ち上げることはできなかった。
老人はその仕打ちを恨んで池に身を投げ、怨霊となって女御の前に姿を現す。

綾鼓→女御に綾の鼓を打てと責め、恨みを残したまま再び池の中に消え失せる。
恋重荷→恨みを述べ女御を責めるが、弔いをしてくれるなら女御の守り神となることを誓う。

三島由紀夫の「近代能楽集」にもこの「綾鼓」を下敷きとした「綾の鼓」という作品があります。

以上。
思い出したものがあれば追加していきます。

ところで、髭切が小烏丸を2分切り落とした話は有名ですが、切り落とした理由を下記のように記す本を見たころがあります。
出典不明ですのでなんとも言えないですが、かつてはそういった説もあったと考えると楽しいですね。

わたり @wimwim8282

あ~、髭切が小烏に倒れ掛かって二分切り落として同じ長さになったことについて、「獅子の子(髭切)が小烏に嫉妬して斬った」と人々がうわさしたみたいな話があるんだね。これちょっと嫉妬の意味が分からないかげ原文読みたいので出典教えてほしい。

2016-01-06 20:52:24
わたり @wimwim8282

「友切」っていう名前が縁起悪いからだめっていうのじゃなくて、その前の分の「ころころ名前変えたから剣の威徳が弱まってるよ」っていう部分もとても萌えるよ。

2016-01-06 20:56:19
わたり @wimwim8282

源義朝「昔はこの剣を以て敵を攻めしに、靡かぬ木草も無かりしに、世の末になりて剣の精も失せぬるにや。大菩薩も捨てさせ給ひたるか。これ程に軍にもろく負くべしとこそ覚えね。義朝が祖父義家は八幡大菩薩の御子として、八幡太郎と名を得たり。七代までは争でか捨て給ふべき。義朝までは三代なり」→

2016-01-06 20:58:03
わたり @wimwim8282

「我、汝を棄つるに非ず。所持の友切といふ剣は、満仲が時俄かに与へし剣なり。鬚切・膝丸とて始めの任にてあらば、剣の用も失すばじきを、次第に名を附け替ふるに依て、剣の精も弱きなり。ことさら友切といふ名を附けられて、敵をば随へずして友切りとなりたるなり。→

2016-01-06 20:58:28
わたり @wimwim8282

「この事を承るに、悪しく附けられたりける物かな。さては昔に返すべし」

2016-01-06 20:59:17

以上。