- tasobussharima1
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「お前は一体、何をどうしたいんだ?」 「わたしは……」 少女は返答に詰まる。自分が何者なのか。そんなことを聞かれたのは、彼女にとって初めての経験だった。 「生きたい」 「そうか、答えになってねぇな……だが、今は俺も同感だ」 農作業をしていた街の人間の視線が、二人を見咎めた。
2016-02-02 21:04:06シンプルではあるけど、昨日のハーフブッダマスクマンの話にもあったように「生きる」と言う言葉の定義が解脱の存在によって揺らいでしまうのがこの世界なんだよなぁ #徳パンク
2016-02-02 21:07:08「走るぞ」 囮は発見されねば意味がない。だが、出鱈目に動けば囮だとばれる。クーカイの動きを隠すのが目的なのだ。それには尤もな目的地……つまりは、車の隠し場所、或いは街の外を目指すふりをする必要がある。 「人攫いだ!」 「娘を離せ!」 街人からガンジーへ非難の言葉が投げかけられる。
2016-02-02 21:08:06「私は、拐われたんじゃない!」 「そんなこと言ったって、聞くわけねぇだろ!」 ……本当にそうか?ガンジーは己の言葉を疑った。この街の人間達は、基本的には徳の高い人間だ。少女を返し、事情を説明すれば、もしかすると分かってくれるかもしれない。甘い考えが首をもたげてくる。
2016-02-02 21:12:06街の人たちの徳高さをどれだけ信用できるか……ついさっき暴徒になったのを見たところだから難しいよね…… #徳パンク
2016-02-02 21:14:48だが、罪を疑われた状態で捕まれば見る目は厳しくなるだろう。どれ程徳が高くとも、人間とはそういう生き物だ。 仮にガラシャだけを送り返しても、自分に都合のいい証言をしてくれる、などというのは甘い考えだ。 ガンジーは迷いを振り払う。 「何処に行くの!?」 「街の外だ!」
2016-02-02 21:16:06二人を発見した街の人間が連絡を取り合う様を見て、ガンジーは即断した。迂闊に車の隠し場所へ迎えば、更に多くの追手を招き寄せてしまう。 ならば足の確保はクーカイに任せ、街の出口での合流が吉だ。 「つれてってくれるの!?」 「そういう意味じゃねえ」 些細な誤解を生みつつも、二人は走る。
2016-02-02 21:20:01----- (……上手くやっているようだな) クーカイは斜面を低姿勢で登る。注意は逸れたらしく、人の気配は少ない。加えてどうやら、谷底へ落下した仲間の救助を優先しているらしい。 だが、車の隠し場所は参道の脇道。シートで覆い、枝を被せただけの偽装だ。何時発見されてもおかしくはない。
2016-02-02 21:24:05