【ついったんぺん】僕は俺になる※BL注意

Twitterにてだらだら書き進めた短編です。 続きそうでも続かない。 ※近親BLです。 許せる方だけどうぞ。 続きを読む
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Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 【僕は俺になる】ついったんぺん。ひさびさに。のんびり。いきます

2016-02-03 22:21:21
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 地毛が明るく茶色く見える僕は高校にあがって髪を黒く染めた。そんな僕を見た君が驚いて理由聞いたことも、染めた染めてないで教師と問答になるのが面倒だからと答えたことも、よく覚えてる。 でも、本当は違う。そんな理由じゃない。

2016-02-03 22:33:24
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 僕は君と同じ髪色に、カラスのように黒い色へと染まりたかっただけだったんだ。 * * * 「陽太、なんだか雰囲気変わったね」 僕にそう言ったのは、中学の友人の一人だった。久々に集まったこの同中のメンバーでも、僕と同じ高校に進学したのは一人だけだ。

2016-02-03 22:44:08
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 「高校デビューっていうかさあ」 「それこそ俺のキャラじゃないだろ」 「あ、それ。ほら、俺、だって。今までそんな風じゃなかったもん」 「成長したんだよ、成長」 僕がカラカラと笑っていると「誰の成長だって?」と言いながら肩に腕を回してきたやつがいた。

2016-02-03 22:52:24
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 「佑月」 「陽太が成長したんなら、俺もだな」 佑月。 背伸びをして僕に並んだ佑月は、肩に回した手で僕の髪をかき混ぜた。 「陽太が黒にしたんなら、俺は茶髪にしようかな」 笑う佑月に僕は「何言ってんだよ、校則違反だろ」と笑い返した。

2016-02-04 06:48:10
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 髪を黒くしたあの日、佑月が言ったことを僕は覚えている。 『そんなに気にしてたんなら、俺が茶色に染めたのに。俺はお前の髪の色、好きだなあ』 あの日も佑月は僕の髪をぐしゃぐしゃにして、同じ髪色なら地毛だってもっと強く言い張れるだろ、と笑ったんだ。

2016-02-04 07:01:27
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 僕と佑月は違う。 佑月は僕より背が低い。髪は黒で、癖っ毛。クラスの中心で笑っている性格。 そんな佑月と血をわけて生まれた僕は、ひょろ長くて、茶髪で、黙って笑っているようなやつだった。 二卵生双生児。それが僕と佑月の関係だ。友人でも、それ以上でも以下でもない。

2016-02-04 07:09:03
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 「うーん、大学入ったら染めようかな」 佑月が毛先をつまんで視線をそちらに向けた。僕も同じ動作をする。 「俺は染めるのやめようかな」 そして、顔を見合わせてニッと歯をみせた。 そんな様子を見ていた友人が首を傾げる。 「陽太と佑月って、そんなに似てたっけ?」

2016-02-04 08:12:35
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 「ええ?どう見ても似てないでしょ」 佑月がそう言うと、僕の心臓はぎゅっと縮こまる。 「いや、見た目はそんなにだけどさあ、中身っていうの?陽太、やっぱり高校入ってキャラ変わったって」 「そうかな。つるむやつらが変わっただけだろ」 僕の言葉に、佑月は頷く。

2016-02-04 11:47:23
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 友人は「そんなもんなの?なんか、前より双子っぽくなったよね」と無理やり納得し、別の話題を振ってきた。僕と佑月はそれにカラカラと笑っているうちに、今日集まるメンバーが揃ったらしい。目的地であるファミレスの扉をくぐる。大きなテーブルを二つ占領する団体だ。

2016-02-04 11:51:45
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 僕と佑月が隣に並んで座る。男子ばかりが集まったテーブルで、我先にとみんながメニューを決めていく。僕と佑月は頬杖をつき、それを眺める。 「お前らなにすんの」 その質問に、佑月が口を開くのが見えた。僕もそのタイミングを合わせる。 「チーズハンバーグ、Bセット」

2016-02-04 11:56:27
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL ぴたりと揃った声に、友人たちが鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。佑月ですら僕を見て二度瞬きをしていた。 僕だけが「すっごいタイミングかぶったな」とニッと笑ってみせた。 僕と佑月は違う。 だから、僕は君になる。

2016-02-04 15:34:04
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL * * * 僕はおかしい。 そう気づいたのは中学二年の夏だった。君がクラスメイトの女子と付き合い始めて、僕にこっそりこう言ったあの夏だ。 『あいつ、結構スタイルいいのな』 君の視線はプールサイドの彼女だった。僕はあの時、なんと返事をしたのか覚えていない。

2016-02-04 16:20:15
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 適当に、当り障りのないことを言ったんだと思う。そうだね、とか。あんまり見ちゃ恥ずかしいよ、とか。 その時僕の胸に湧いたのは、美人な女子の水着姿に対するドキドキでも、彼女という存在を先越されたモヤモヤでもなかった。年頃の男子誰もに湧くものではなかったんだ。

2016-02-04 16:23:45
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 君は僕と共に生まれ、僕と共に生きてきた。僕と共に死ぬのだとさえ思っていた。 それが叶わないのだと、そう思っていたのは僕だけだと。そう気づいた僕は、どうしようもない、殺すことも埋めることも出来ない、湧きでたそれに溺れる直前だった。 だから、僕は。

2016-02-04 16:30:04
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 一緒になってしまえばいい、そう思ったんだ。 * * * 「陽太ってチーズ嫌いじゃないっけ」 帰り道、佑月が隣で呟いた。 「この間ピザ食べたら美味しかったんだ」 嘘だ。 「陽太ってパセリ食えたよな」 ファミレスを去る時、最後まで残っていたのは緑色のそれだ。

2016-02-04 16:34:19
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 「最近はあんまり」 嘘だ。 「ふうん。いつも一緒だから気づかなかったんだけど」 佑月がニッと笑って僕の肩に腕をまわした。 「陽太、結構変わってたんだな。俺は逆にパセリ食べられるようになってたりしないかなあ」 「無理して食べなくてもいいんじゃない」

2016-02-04 16:41:35
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 僕がはにかむと佑月がその頬を人差し指で押した。 「そーそー、陽太はそういう顔のほうが確かにピンとくる」 人差し指の方向を見ると、ニッと笑った佑月がいた。 「好きなやつでもいるの?そいつのタイプがそんな感じだったり?」 佑月がニヤニヤしていて、僕もニッと笑う。

2016-02-04 20:00:35
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 「好きな人はいるけど、タイプかどうかは分かんないな」 佑月の瞼が僅かに上へあがった。今の僕の話で、何がそんなにひっかかったんだろう。 「好きな人、いるんだ?」 「俺だって男子高校生だよ。青春真っ只中だろ」 佑月、君は今、何を考えてるの?

2016-02-04 20:26:22
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 双子だからって同一人物じゃない。佑月が何を考えてるかは分からない。 「なに、俺に好きな人がいるってそんなにおかしかった?佑月だって彼女いるじゃん」 何人目か分からない彼女がいる佑月。対して僕は誰ともつき合ったことがない。 「陽太もそういうの、あるんだ」

2016-02-04 22:07:10
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 「そういうのって?」 「恋バナ。陽太がそんな話するの初めてだろ」 佑月がいつも通りの表情に戻った。僕から離れていつも通りの右側を歩いている。 「えー?なあ、誰?同級生?陽太のクラス?」 「……同級生だけど、俺のクラスじゃない」 「誰のクラス?」 少し、迷う。

2016-02-05 07:09:23
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 僕はニッと笑って佑月の頬を人差し指で押した。 「内緒」 両手をポケットに突っ込む。 佑月は僕の珍しい話題に興味津々の様子だったが、僕はさらりとそれをかわし続けた。 結局家の真ん前まで僕の話題は変わらず、佑月は「そういうとこ頑固だよな」と呆れたように笑った。

2016-02-05 07:53:58
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 親がまだ帰ってない家の鍵をあける。玄関は暗くて冷たい。 「なんか、気づかなかったのが不思議なくらいだな」 佑月が靴をそろえずに脱ぐ。僕はその隣で揃えて脱いだ。癖で、一緒に佑月の靴も並べ直す。 「何が?」 「陽太が変わった変わったってみんな言ってたこと」

2016-02-05 08:01:00
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 佑月がスリッパを履かずに二階へあがっていく。僕も同じ様に続く。 足裏が冷たい。 「環境の変化だって佑月も笑ってたじゃん」 「俺はつるむやつらの違いだと思ってた。だけど、好きな人が出来たっていう変化だったってことだろ?」 佑月が一番上から僕を見下ろした。

2016-02-05 08:05:54
Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 三段下で、僕が佑月を見上げる。 「それがどうかした?」 「その子が好きな人のタイプ、知らないんだろ」 「まあね」 佑月が付き合う女子はタイプがバラバラだ。明るくさっぱりした素朴な子と付き合いだしたかと思えば、次はケバいくらい化粧をした豪快な子だったり。

2016-02-05 08:12:36