【35mm】50年前のフィルムカメラで写真を撮るまでの長い長い道のり【HI-MATIC】

年末の大掃除で出てきた50年前のフィルムカメラ「ミノルタ HI-MATIC 9」。 これで写真が撮れるのかーと軽く考えてたところがさあ大変、いろいろな人に助けられ、幸運も手伝って1カ月後に実際に写真ができあがるまでの自分のツイートをまとめてみました。 最後に作例もありますよ!
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すべてはここから始まった

実家の大掃除をしていたら

まお @maomao_yeah

小学生のときに伯父さんから譲り受けたミノルタのHI-MATIC 9も出てきた、まだ動くかな pic.twitter.com/vEbOGDmfub

2015-12-29 12:06:12
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  • ハイマチック9(1966年3月発売) CdS露出計によるプログラムAEおよびマニュアル露出方式の距離計連動カメラ。セイコーFLAシャッターを装備し、フラッシュマチックとフィルムインジケータが追加された。上下分割測光であるCLC測光採用。レンズはロッコールPF45mmF1.7。(wikipedia)

まお @maomao_yeah

HI-MATIC 9、F1.7なの…!!すごい…!!

2015-12-29 12:14:21

あとから調べてわかったことですが、このHI-MATIC 9、当時は大卒の初任給とほぼ同額の高級カメラだったようです。
これの初代の「HI-MATIC」は、アメリカの人間衛星船フレンドシップ7号の宇宙飛行の記録役として、NASAに採用されたことで有名なようです。

F1.7の大口径レンズにひかれたものの、ネットで作例を探してもあまり出てこず、使い方はYoutubeに上がっていたこの動画からしか分かりませんでした。

https://www.youtube.com/watch?v=0rOqQMIhbO0

まお @maomao_yeah

HI-MATIC 9、多少サビがあるけど電池室もレンズもきれい、巻き上げがおかしいのはレバー下に少しぶつけたあとがあってそれが引っかかってるみたい、そこ直して電池入れれば動くかな

2015-12-29 13:01:42

…と素人考えに思っていたのが甘かった、実は絞りを調整する絞り羽がまったく動いていなかったのです。

フィルムを買ってきてから気がついて、さてどうしよう、とりあえず公式の窓口を探してみよう…となりました。

そしてまた1ヶ月後…

まお @maomao_yeah

50年前に生まれたHI-MATIC9ちゃんがまた元気に動くようになりました pic.twitter.com/p9FEkNJVvM

2016-02-01 23:46:29
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まお @maomao_yeah

HI-MATIC9ちゃんについて、ここまでにどんな奇跡が起きたかといいますと、 年末の大掃除で発掘される→絞り羽が動かない→がっくり→ミノルタさんの窓口に電話したけどもうパーツがないから修理受付しないと言われる→がっくり→ダメ元で知り合いのカメラ屋さん店員さんに聞いてみる→

2016-02-01 23:49:51
まお @maomao_yeah

お店では修理を受けておらず、他に頼んでも3万くらいかかるかも→がっくり→でも知り合いに直した経験のある人がいるから頼んでみましょうか?→(*´∀`)→ダメ元でお願いする→預けて診てもらう→絞りリングと連動する部品が破損していて、修理は難しい…→がっくり→

2016-02-01 23:54:38
まお @maomao_yeah

でも同じカメラの違う箇所が壊れたジャンクがたまたま出ました!(かなり珍しいらしい)ニコイチで直せます!→・゚・。・゚゚(*´∀`)・*:.。..。.:*・゚→なうここ、という次第です

2016-02-01 23:58:00

ちなみに電気系統までは直らず、プログラムシャッターは使えません。なので、iPhoneの無料の露出計を使って、自分で露出を計りながらマニュアルで撮ってました。
使っていたアプリはこれです、無料でも必要十分。
Light Meter Free

まお @maomao_yeah

2000枚とか撮れるデジカメとおなじ感覚で撮ってるとあっという間にフィルム一本使いきっちゃうな、あと撮ったあとクセでモニターのある背面のぞき込んじゃって、つんつるりんでびっくりする

2016-02-02 00:12:49

そして、撮ったからには現像に出します

今回はネットで格安のところを探してお願いしました。プリントはいらないと思っていたので、現像+データ化(16Base)のみ、一本410円(2016/2/6現在)で受けていただける「桜カメラ」さんです。

まお @maomao_yeah

HI-MATIC9ちゃんで撮った写真が現像されてきました、えまく言えないんだけど柔らかくて深くてすごくいい pic.twitter.com/zIC1GEQvl1

2016-02-06 14:19:51
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まお @maomao_yeah

HI-MATIC9ちゃんのファインダーは二重像合致式というやつで、この黄色い◇の中の像が一致したらピントが合ってるよーというタイプなのですが、これをまったく知らずに撮ってたので最初はピンボケ量産してしまってました、もったいない…💦 pic.twitter.com/iJqCDk3MhB

2016-02-06 14:30:57
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まお @maomao_yeah

F1.7だときれいな丸ボケになるけど、F4くらいまで絞ると五角形ボケが出ます、これはこれでかわいい pic.twitter.com/T8v96HvvnZ

2016-02-06 14:38:26
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まお @maomao_yeah

フィルムカメラは露出計で見た数字より一段明るくしたほうがいいよ、というアドバイスをいただいていたので、今回はシャッタースピードを一段遅くして撮ってたのですが、かなり明るく撮れるカメラなので露出計通りでいい気がします、もともとシャッターの押し込みが大きくて手ブレしやすい設計なので

2016-02-06 14:46:51
まお @maomao_yeah

フィルムはフジのSP400X-R 24EX 3SB、現像は桜カメラさんにお願いしました。現像1日で仕上げてくださってびっくり、色合いも透明感あってすごくきれいです。ちゃんと撮れるようになってほんとによかったー! pic.twitter.com/yiO0jOkVlL

2016-02-06 15:02:00
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F1.7大口径レンズならではのボケ味、ピント頂点からのやわらかなとろけ具合、解像感を残しつつふんわりとにじむ光の美しさ、薄く水色がかった少し懐かしさを感じさせる風合い――
古いカメラですが、このカメラにしか出せない色がある気がします。


デジタルの手軽さ、結果がすぐ見られる早さ、お金のかからなさが普通になっている今、わざわざフィルムを買ってお金と時間をかけて現像して…という面倒くさい工程をどうして踏むのかな、と、撮っている間何度も自問したりもしました。

たまたまこのカメラを持っているときに一緒にいた人を撮ったので、その人に仕上がった写真を送ったのですが「ありがたみあるね、ありがとう」という言葉をもらって少しハッとしました、「ありがたみ」…。

一枚一枚お金と時間と労力をかけ、いちいち露出を計り、距離を計り、よく見て考えながら大切に撮る、そういう積み重ねの上でできあがってきたものには、きっとものすごく愛着がわくと思います。
ふだん見過ごしてしまっていた「写真の重み」みたいなものに、改めて気付かされた気がしました。

そういったことや、思い出や見た目や出てくる絵もひっくるめて、このHI-MATIC9はとても大事なお気に入りのカメラです。
これからも大切に、一枚一枚写真を撮り続けていこうと思います。