パト2は「リアリティを追求した結果、レイバーが役に立たないという結論に達した」映画ではないという話

※個人の感想です。
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@maroni_chang

レイバーの軍事的価値、活躍できる状況、これらを頭に入れて、後藤隊長は「出すべきではない」と感じて自衛隊駐屯地前ではサボタージュを行った。しかし、「出すべき時だ」と判断して、最後、南雲隊長以下元第二小隊メンバーを柘植の元にレイバーで送り出した。

2016-02-07 22:58:55
@maroni_chang

結局、柘植は、レイバーが機能不全に陥ることを指摘したかったのだ。しかし、後藤隊長の巧みな指示によって、レイバーは機能不全に陥らず、逆に柘植を降伏せしめた。軍用レイバーの待ち構える場所に、レイバー以外で行くのは無謀としか言いようがない。レイバーは活躍したのだ。

2016-02-07 23:01:01
@maroni_chang

その結果の柘植の台詞が、「もう少し、見ていたかったのかもしれんな」「この街の、未来を」というわけだ。柘植には東京という地形、地理、人口、自衛隊と警察というコマは見えていたが、後藤隊長と特車二課隊員というコマは見えていなかった。過てる認識の元戦争を作り出そうとして失敗した。

2016-02-07 23:02:02
@maroni_chang

「レイバーは役に立つ」「しかしレイバーが機能不全に陥る場所もある」「柘植は東京を戦場にすることを望んだ」「その手段としてレイバーを機能不全に陥らせたかった」「ゆえに数々の手を打ったが、レイバーは出てこなかった」「そして逆にレイバーによって追い詰められた」「結果降伏した」のだ。

2016-02-07 23:03:29
@maroni_chang

柘植の誤算は、レイバーを役に立たせない状況を満を持して作ったのにもかかわらず、レイバーが出てこなかったことにある。そして、巧みに攻撃をかいくぐったレイバーによって、柘植は倒されてしまう。――この認識ができていれば、「レイバー大活躍」という見方ができるはずだ。

2016-02-07 23:04:38
@maroni_chang

柘植としては、PKOにおいて、レイバーがまるっきり役に立たず、しかも全機撃破されるという状況に陥ったものを、そっくりそのまま東京で再現したつもりだったのだ。しかし、蓋を開けてみるとレイバーは全てを撃破できず、生き残ったレイバーに降伏させられてしまった。

2016-02-07 23:06:09
@maroni_chang

この誤算、柘植の認識と現実のズレを、後藤隊長は的確に捉えている。「この街はね、リアルな戦争には狭すぎる」という台詞だ。柘植はリアルな戦争を東京で再現しようとしたが、東京はリアルな戦争には狭すぎたがゆえに、後藤隊長の腹心の部下によりレイバーが登場し敗北したのである。

2016-02-07 23:07:11
@maroni_chang

実際、レイバーが出てきた場所は「湾岸開発華やかなりしころの夢の跡」である「幻の新橋駅」という「新旧の結節点」だ。こんな場所は東南アジアに存在しない。

2016-02-09 08:56:40
@maroni_chang

この「柘植をレイバーで倒す」というストーリーラインを読みにくくする要素として、荒川の存在がある。が、荒川の存在は、「逆シャアへの個人的なアンサー」(押井談)という要素があるので、あれは「押井がやりたかった奴」と解釈するのが妥当かと思う。

2016-02-09 08:49:05
@maroni_chang

ゆえに京番茶の注釈は過ちでアリ、「パト2」というのは「MAX難易度までレイバーが活躍できない状況を作り出したのに、レイバーで倒されてしまった」という物語であって、決して決して、「レイバーが役に立たないから数分しか出なかった」物語ではないのである。

2016-02-07 23:09:21
@maroni_chang

もう少し親切に書き直しておくと、「パトレイバー世界でレイバーが活躍できない状況を作るには、これほどまでに周到に用意しなければならなかった」が真実なんだけど、レイバーのない我々からすると、「あぁレイバーってやっぱり役に立たないんだな」と表面的に理解しても仕方ない、という話である。

2016-02-08 00:07:39
@maroni_chang

一旦レイバーというものが大活躍するという設定を作り上げると、全面撤回するにはかなりの緻密な考証が必要なのだ。押井という人物はこういう考証に長けていて、「もし**だったら」というシミュレーションが極度にうまい。押井の難解さは「考証することが目的になってしまっている」ことに起因する。

2016-02-08 00:09:20
@maroni_chang

以上押井警察からの発表でした。

2016-02-07 23:09:53

寄せられたご意見

せんべい猫 @senbei_neko

パト2は「リアリティを追求した結果、レイバーが役に立たないという結論に達した」映画ではないという話 - Togetterまとめ togetter.com/li/935577 2点、間違いがあるな。

2016-02-08 12:25:36
せんべい猫 @senbei_neko

1:柘植はPKO派兵に志願し理論を実践しようとしたものの、緊急事態における決定権が現場ではなく国にあったことが原因で部下を失い、自分ひとりだけがたまたま生き残ってしまった。警察と自衛隊の奇妙な対立構造を作り上げたのは、上層部のバカ踊りを浮き彫りにすることも目的のひとつと思われる。

2016-02-08 12:29:22
せんべい猫 @senbei_neko

2:柘植にとって後藤隊長以下レイバー隊は盤上にないどころか、まず潰しておかなければならないコマだった。だからこそ南雲さんと接触したり、大筋が見抜かれた段階で特車二課への襲撃が行われたわけで。

2016-02-08 12:32:16
@maroni_chang

このご指摘はもっともだと思う(おそらくこちらの解釈がかなり正しい)。 twitter.com/senbei_neko/st…

2016-02-08 19:12:50
せんべい猫 @senbei_neko

間違いと言い切ってしまいましたが、どちらも内包してるとは思います。あくまでも柘植は状況を作り出した出題者側で、誰がどういう回答を提出するかを待っていたのではないかなと。で、それを南雲さんに求めていた、否定されたかったのではないかと。 twitter.com/maroni_chang/s…

2016-02-08 23:02:43
@maroni_chang

@senbei_neko そうですね、個人的には(柘植には)南雲さんは見えていたけど、後藤さんは見えてなかった、という立場です。

2016-02-08 23:41:48
せんべい猫 @senbei_neko

@maroni_chang そう言われてみると、ボートチェイスの場面においても、柘植は南雲さんしか見てないし、後藤隊長が彼の盤上……というか物語にはいない、という解釈は納得できます。後藤隊長も察してサポートに徹してる感じですしね。

2016-02-08 23:53:15
@maroni_chang

ことほどさように押井論をやるのは面倒くさいのである。

2016-02-08 19:44:17

後日談

@maroni_chang

害悪オタクとして若いオタクをシメるために作った厄介まとめが注目されてて熱いものがこみ上げる twitter.com/togetter_jp/st…

2016-02-10 16:37:37
Togetter(トゥギャッター) @togetter_jp

.@maroni_changさんの「パト2は「リアリティを追求した結果、レイバーが役に立たないという結論に達した」映画ではないという話」に大注目!みんなもう見たかなぁ!? togetter.com/li/935577

2016-02-10 16:32:06
@maroni_chang

感動的正しさ twitter.com/BlackHandMaide…

2016-02-10 12:37:38
怪しい隣人 @BlackHandMaiden

togetter.com/li/935577 押井映画に対してはこういう理屈をグチグチと唱えつつ、ガルパンを見ても吹っ飛ぶホテルを見てイヤッホウと叫べる それはそれ これはこれ な精神がオタクには望ましい

2016-02-10 10:37:25