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shiroboshi2
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ジュセー
@shiroboshi2
「ニンジャ……ニンジャ……！」男は這いずり、這いずり、泥に塗れた画材に手を伸ばす。「描かなくては。描かなくちゃ……描かなくちゃ！」必死の形相で紙を取り出す。皺くちゃになったそれに、先の丸くなった鉛筆を走らせる。ニンジャを見る。赤黒のニンジャを。悪鬼の背を。14 #S57Ninja
2016-02-07 22:42:40
ジュセー
@shiroboshi2
……どれほどの時間が経っただろうか。今やこの狭い路地裏には、男が一人、佇むのみだ。彼は地に焼きついた、何らかの爆発の跡と見られるものと。皺くちゃになった紙を、そこに描かれた何かを、ボンヤリと見つめていた。「……なんだ、これ？」男は首を傾げ、帰路に着いた。15 #S57Ninja
2016-02-07 22:46:29
ジュセー
@shiroboshi2
「聞いてんの、ギンダ=サン？」「ハイ……ハイ、スミマセン」「あのね、スミマセンじゃないのよ。取り引き先怒らせてね、スミマセンじゃないのよ」「ハイ……ハイ、スミマセン」「何とかね？俺がね？色々と手を回して事なきを得たのよ。ね？」「ハイ……ハイ、スミマセン」16 #S57Ninja
2016-02-07 22:52:19
ジュセー
@shiroboshi2
うだつの上がらないサラリマンが、デスクで踏ん反り返る男に頭を下げる。彼の名はギンダ・ナカタ。営業成績の良くないサラリマンだ。「しかも君ね、何が悪いかってね、平謝りしてから逃げ出したそうじゃない？こっちにも帰ってこないしさ？聞いてんの？」「……スミマセン」17 #S57Ninja
2016-02-07 22:57:10
ジュセー
@shiroboshi2
ギンダは昨夜の出来事を想起する。何が悪かったか、取り引き先が激怒し、口汚く彼を罵った。ギンダは耐え切れず、平謝りし、逃げ出した。そこからは……そこから、何処で何をしていたのか、どうしても思い出せない。気づけば、薄暗く狭い路地裏に佇んでいた。18 #S57Ninja
2016-02-07 23:00:11
ジュセー
@shiroboshi2
「ね？君ね？営業成績も良くないどころか、一番下でしょ？お給料貰うの恥ずかしくないの？」「ハイ……ハイ、スミマセン」「こっちとしてもね、払いたくないのよ、何もできない奴にね、お給料ね？聞いてんの？」「ハイ……ハイ、スミマセン」……。19 #S57Ninja
2016-02-07 23:03:02
ジュセー
@shiroboshi2
退社後、ギンダは無心で帰路につき、途中、いつもの画材屋に寄った。どこかで転んでしまったのか、常に鞄に入れている画材一式が泥土に塗れてしまっていたのだ。記憶にないが、ヤケになってサケでも飲み、酔っ払ってしまったのだろう。ギンダは無心で買い物を済ませた。20 #S57Ninja
2016-02-07 23:05:57