敵味方考察

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千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

(1)私がTwitter文学賞に投票しないのは新刊をあまり読まないから。(2)一般読者が非営利にTwitter文学賞をやるのも遊び、人気作家と支持者がそれをジャックするのも遊び。(3)後者の遊びのほうがルールが単純明瞭(特定の作家を支持する)。

2011-01-26 22:59:41
千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

(4)「好きだったのにがっかり」「こういうことしそうだから嫌いだった」の両意見を見るがそういうことしそうな危なさが魅力だったとも言える。(5)彼の著書の論理は「美醜は自分で決める。たとえ全世界が自分を醜認定しても自分の選択は美」だから、今回の一件はとても彼らしい。(続く)

2011-01-26 23:04:53
千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

(6)いま、多くの小説家は、自著がTwitter文学賞国内部門を獲りませんように、と祈っているに違いない。この一件のあと、この賞を単純に名誉に思うことは意外に難しい。運営しているみなさんには気の毒なことだ。

2011-01-26 23:10:19
千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

2項だけ追加。(7)今回の一件は彼個人というより、彼の著書に救われたと思っている人たちの力が大きい。彼女たち(女性が多そうなのでこう書く)が言いたかったのは、彼の新作がどれだけおもしろいかというより、自分たちが彼をどれだけ愛してるか、だ。(続く)

2011-01-26 23:35:20
千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

(8)下品かもしれない。公明党みたい、と思う人もいるだろう。ただ、そういう情緒的な癒着に読者を巻きこめる作家は、そうそういないのも事実。

2011-01-26 23:39:45
千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

(9)今回の件で、彼とその読者は、私の大好きな彼の小説『エミリー』で、EmilyTemple cuteを着たひとりぼっちのヒロインとそのボーイフレンド、ではなく、そのふたりをボコボコに虐める学校の人たち(悪役たち)に似ている。おもしろい現象だ。

2011-01-26 23:45:31
千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

きりがいいからここまで。(10)「彼女たち」に言いたいことはひとつだけ。彼はいつでもあなたを棄てるよ。「ずっと君の味方」なんてスヰートな嘘の直後に笑ってあなたを棄てることができる、それが彼だ。だから俺は彼の小説が好きなんだ。わかりきったこと書いてごめん。(11)以降は明日。

2011-01-27 00:00:57
千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

昨夜の続き。(11)彼の著作は世界を敵味方に切り分けてみせる。これを読んで楽になる人がいるのは事実。それは人助けだ。そのナショナリズムにもカルトにも似た強い魅力を、私は好む。

2011-01-27 12:50:08
千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

(12)でも私の性分で、世界を敵味方で切り分けておしまいとするわけにはいかない。だから私は信者になる資格はない。私は彼の小説が大好きでほとんど読んでいるが、間違いなく彼の信者のテロ対象となる資格充分だ。

2011-01-27 12:52:09
千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

(13)世界を敵味方で切り分ける人たち(敵味方主義者と略)は、切り分けかたの違いで対立しあうだけでなく、世界を敵味方で切り分けたがらない人たち(非・敵味方主義者)をも嘲笑の対象とする。

2011-01-27 12:55:22
千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

(14)敵味方主義者は、「自分に異を唱えないかどうか」で敵味方を判定する。対立する敵味方主義者どうしは争点を共有する。敵味方主義者が非・敵味方主義者を敵視する理由は「相手が自分に異を唱えているから」だが、相手が「簡単に敵味方に切り分けること」自体に異を唱えていることは理解しない。

2011-01-27 12:59:29
千野 帽子 翻訳「小説列伝」準備中 @chinoboshka

(15)今回の件で彼を容易に非難してしまうと、こちらも敵味方主義者になってしまう。フーリガン化してしまう。それは少々退屈だし、だいいち美しくない。

2011-01-27 13:01:31