「フォーセズ・リディーム・ザ・ブロークン・ウイングス」

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ジュセー @shiroboshi2

「フォーセズ・リディーム・ザ・ブロークン・ウイングス」 #S57Ninja

2016-02-12 22:56:19
ジュセー @shiroboshi2

「よし、準備完了!」「ずらかるぞ!」大量のトロ粉末が入ったタッパーを入れれるだけバッグに入れた二人組の男が、互いの顔を見合わせた。そして、ニヤリと笑ったかと思うと、次の瞬間には二人は走り出していた。着火したバクチクを金庫前に置いていきながら。1 #S57Ninja

2016-02-12 23:00:13
ジュセー @shiroboshi2

彼らは階段を登り、屋上扉を破壊し、扉を開け放った。重金属酸性雨が降り注ぐ、ネオサイタマの正午が二人を迎えた。太陽は淀んだ雲に隠され、灰色の空が広がっている。「屋上へ逃げたぞ!」「追いなさい!射殺重点!」階下からいくつもの声が届いてくる。二人は駆け出した。2 #S57Ninja

2016-02-12 23:04:28
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

屋上へ逃げる……逃げ場がなくなってしまうのでは? それとも? #S57Ninja

2016-02-12 23:05:42
ジュセー @shiroboshi2

「へへっ、今回は本気でヤバイだな、ドノジ=サン」「気を抜くなよ、ミヨシ=サン」二人は後方を見ずに走っていく。彼が見るのは前方のみ。隣のビルの屋上だ。当然、飛び渡る。飛んで届かなかったならば落下死。飛ばなければ射殺。「「イヤーッ!」」迷うことなく二人は飛んだ。3 #S57Ninja

2016-02-12 23:08:59
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

迷うことなく……三兄弟との違い…… #S57Ninja

2016-02-12 23:09:59
ジュセー @shiroboshi2

BLAM!……発砲音が虚空に鳴り響いた。「アバッ……?」ドノジは体が冷たくなっていく感覚を覚えた。背中に何かが食い込んでいる。次いで、落下していく感覚。世界がスローモーションになっていく。彼は本能的に悟った。終わりだ、と。ドノジはなんとなく、手を伸ばした。4 #S57Ninja

2016-02-12 23:13:44
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

無慈悲な射撃! しかしこれで終わってしまうとは…… #S57Ninja

2016-02-12 23:15:44
ジュセー @shiroboshi2

「ドノジ=サン!!」叫び声がすぐ近くで聞こえた。ミヨシの声だ。同時に、手を強く握られる感覚がした。引き上げられていく。BLAM!BLAM!依然射撃音は鳴り止まぬ。「ウオオーッ!」ミヨシは声の限り叫び、ドノジを担ぎ上げ、必死で駆けて行った。ドノジは目を閉じた。5 #S57Ninja

2016-02-12 23:17:32
ジュセー @shiroboshi2

「ハァーッ……ハァーッ……おい、生きてるかドノジ=サン?」ミヨシはぐったりとしたまま動かないドノジに声をかけた。返事はない。彼らが今いるのは、薄暗いビルの一室。臨時的な逃げ込み先だ。「ドノジ=サン?……クソッ」ミヨシは鞄からZBRアンプルを取り出した。7 #S57Ninja

2016-02-12 23:22:04
ジュセー @shiroboshi2

そして動かないドノジに投与した。数秒後、彼は重たい瞼を開けた。「……ここは……俺は、撃たれて」「ドノジ=サン!よし、生きてるな!」ミヨシは涙目になりながら、彼の肩を揺すった。「マジで死んだかと思ったぞお前!」「ああ……ああ、俺もそう思った。助かったよ」8 #S57Ninja

2016-02-12 23:25:18
ジュセー @shiroboshi2

ドノジは、自分が夢の中にいるかのような感覚を味わっていた。掌を開き、閉じ、また開く。生きている。生きている!「い……生きてるよな、俺!?」「生きているとも兄弟!」二人は握手を交わした。そして暫くした後、この一室を出た彼らは、闇医者へと向かったのだった。9 #S57Ninja

2016-02-12 23:29:07
ジュセー @shiroboshi2

五日後!「イヤーッ!」「グワーッ!」ドノジは追いついてきた警備員の一人をカラテで薙ぎ倒した!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」二人!三人!四人!床には計五人の気絶警備員が寝転がっていた。10 #S57Ninja

2016-02-12 23:31:52
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

すごいカラテ! まるでニンジャだ! #S57Ninja

2016-02-12 23:32:28
ジュセー @shiroboshi2

「ヒューッ!やるねぇ兄弟!」ミヨシはバッグを二つ肩にかけ、ドノジに声を投げかけた。ドノジは彼の方へサムズアップすると、ミヨシと並行して走り始めた。「それにしてもよ、まさかお前がカラテマンになるなんてな!」「ああ」ドノジは軽く頷く。11 #S57Ninja

2016-02-12 23:35:55
ジュセー @shiroboshi2

五日前、死に瀕したあの日以降から、ドノジはカラテに目覚めた。強盗行為の効率が遥かに向上するほどのカラテを彼は得たのだ。彼自身、なぜそうなってしまったのかはわかっていないが……人生が良い方向に向かってきた、ようやく運が回ってきたと、ドノジは感じていた。12 #S57Ninja

2016-02-12 23:38:35
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