村子のクリスマス

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キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

1 『…どう?』 「美味い」 『ホント?』 「ん、マジで」 ガツガツとスプーンを口に運ぶその姿を見て胸をなでおろす。 渋谷さんは今日も仕事。 年末で忙しくて、本当は今日だって会える予定じゃなかった。 すまんって言われて、そっか…って電話口で呟いた私。

2016-02-13 19:00:50
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

2 わかってたけど、でも…でも寂しいな。 その気持ちを見透かされて。 「…よかったらやけど、うち来る?」 そう誘われて、早朝に渋谷さんの家を訪ねて、入れ違いで彼は仕事に行った。 「帰って来るまで待ってて。どこ見ても漁ってもええから」 何も飼ってへんし。 そう笑って。

2016-02-13 19:01:04
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

3 忙しさを象徴するように荒れた部屋。 何してもいいって言われたけど、でもそれもどうかなって。 溜まってた食器洗って、落ちてた服まとめて置いとく程度。 預かった鍵を持って買い物に出た。 デートも何も出来ないクリスマスだけど、せめて帰ったら一緒に食事でもしたいなって。

2016-02-13 19:01:19
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

4 レシピサイトを見ながら、いつもとは違う台所で奮闘する。 グラタンとスープとサラダとチキンのグリルとバケット。 多分渋谷さんは和食とかの方が好きそうだけど…でもクリスマスだし。 あらかた仕込んで一息ついた。 マグカップを借りてコーヒーを飲む。 一個しかないんだ。

2016-02-13 19:01:29
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

5 服はたくさんあるのに、食器とか生活用品は最低限しかない。 本当に一人なんだな、渋谷さん。 ソファに座って、さっき畳んだ服に顔を埋めてみる。 煙草と混じった、渋谷さんの匂い。 ホッとして、それからドキドキする。 それを抱き締めたまま目を閉じて、いつのまにか寝てた。

2016-02-13 19:01:42
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6 もうすぐ帰る。 そんなメールで目が覚めて、慌てて最後の仕上げ。 出来上がる頃にケーキとワイン持って帰って来た。 「嘘?マジで!?作ったん?」 吃驚嬉しそうな顔見ながら心臓バクバク言ってる私。 大丈夫…だよね? 何度も家で練習したもん。

2016-02-13 19:01:56
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7 「いただきまっす!」 パンと手を合わせて何の躊躇いもなく一口。 「んっ!」 『…どう?』 「美味い」 『ホント?』 「ん、マジで」 ようやく安心して自分でも食べてみる。 …うん、美味しい。 弟に、姉ちゃんもういいって…って言われるまで練習した甲斐があったかも。

2016-02-13 19:02:09
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8 他愛もない話をしながらの食事。 渋谷さんが買って来たワインも少し貰って。 あんまり飲んだことないしワインって渋いって思って避けてたけど、これは美味しかった。 ちょっといいやつ? いつも焼酎とかビール飲んでる姿しか見たことないから、ちょっと変な感じ。

2016-02-13 19:02:21
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

9 買ってきてくれたケーキも、きっと私じゃ全然手が出ない金額のやつ。 何か大人、なんだよなあ…。 学生みたいに暇を持て余して毎日今日はどうしようって時間を潰す日々とは違う。 今日だって朝早く出て行って、疲れた顔して帰って来た。 私が来てるから無理したんじゃないのかな?

2016-02-13 19:02:31
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

10 何か、何かちょっとだけ距離を感じるのはこういうとき。 一緒にいるのに勝手に少し寂しい。 『ケーキ、食べる?』 「おん」 『食べれる?』 「…おん」 カチャカチャベルト外す音。 クスクス笑いながらコーヒーでも淹れようかなってお湯を沸かす。

2016-02-13 19:02:42
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

11 『あっ…』 「ん?」 『カップひとつしかないんだっけ?』 「ん、あぁ…」 どうしよう…ひとつだけ淹れて一緒に飲む? 棚の中見ながら思案してたら、ふっと背後に渋谷さんが。 「…ん」 『え?』 「これ、使って」 『えっ?』 綺麗にラッピングされた箱。

2016-02-13 19:02:52
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

12 クリスマスプレゼント? 振り向くと照れたように顔を反らす。 なんだろ。 赤いリボンを丁寧にほどいて、テープをはがす。 恐る恐る箱を開けて、そこにあったのは…ペアカップ? 『…』 「俺とお前のん…」 『…』 「や、うち何もないし、この際色々揃えるんええかなーって…」

2016-02-13 19:03:03
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

13 『…』 「…アカン?気に入らんかった?どんなんええかわからんくて…やっぱ安すぎる?」 オロオロ焦り出す渋谷さん。 ううん、違うよ。 すごく嬉しいの。 今まで貰った服とか靴とかアクセサリーとか、そういうのも嬉しかったけど、それとはまた違う。

2016-02-13 19:03:14
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

14 ちょっとだけ勝手に距離を感じてた渋谷さんのテリトリーに入れてもらったような気がする。 ここにいていいんだって、隣にいていいんだって、そう。 赤と薄紫の2つのカップ。 渋谷さんと私。 会えない時でも、私はここにいる。 これを見たら渋谷さんは私のこと思い出してくれるんだよね?

2016-02-13 19:03:26
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

15 『んーん…嬉しい』 「ホンマ?」 『うん。可愛い』 「…よかった」 後ろ向いて抱き締めて、チュッて。 そのカップでコーヒーを飲みながらケーキを食べる。 美味しい。 やっとクリスマスって感じがする。 …でももう一つだけ懸念があるんだ。 実はね。

2016-02-13 19:03:39
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

17 『…ごめんなさい』 俯く私の頭に、ぽんって手が。 「飯作ってくれたやん」 『それは…』 「今日も来てくれたし」 『それは私がワガママ言ったから…』 「俺が来て欲しい言うてんで?」 『でも…』 「俺こそレストランとか夜景とかホテルとか連れてってやれんくてごめんな?」

2016-02-13 19:04:01
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

18 『え…』 「プレゼントもこんな安もんやし」 『そんな!全然!』 「ホンマ?」 『別にどこも行かなくても一緒にいれたらいいし…これだってホントに嬉しい…』 「…」 『…』 「…な、同じやろ?」 『…ん』 吸い寄せられるように唇を合わせる。 そのまま抱き合って貪るように。

2016-02-13 19:04:13
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

19 「な…もいっこプレゼントあんねんけど、着てくれる?」 そう言って差し出された包み。 赤くてスケスケでレースが綺麗で布地がほとんどない下着のセットと、お揃いのビスチェ。 この時期になると下着売り場でよく見るやつ。 誰が買うんだろうって思ってたけど…ここにいた。

2016-02-13 19:04:23
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

20 そこに立ってる姿を思い浮かべる。 きっと恥ずかしげもなく嬉々として買ったんだろうな。 何か鮮明に浮かぶ。 ベッドに隠れる私。 シャワー浴びて、髪の毛から水滴らせたまま現れて、布団を剥ぎ取った時の嬉しそうな顔。 ニヤニヤした顔から、デレッ…って。

2016-02-13 19:04:34
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

21 そのまま上になったり下になったり、恥ずかしいこといっぱいさせられて。 「最っ高やな」 喜んでくれたから、いっか。 今度家の中の物一緒に買いに行こって約束した。 食器や、シーツとかカーテンとかもって。 「お前が大学卒業したらすぐここ越して来れるようにな」 だって。

2016-02-13 19:04:44
キャンジャニ学園×関ジャニ∞ @canjani8kanjani

22 それはそういうことだって思ってもいい? 何気ない言葉にドキドキしたけどその時まで待っとくね。 形じゃないものをたくさん貰ったクリスマス。 胸がいっぱいで幸せ。 「村子」 『んっ…?』 「愛してる」 『ふっ、ん、…わたし、もっ…』 あ、イきそ…。 愛してる、すばる♡

2016-02-13 19:04:55