【怪異殺したち】関西弁の幽霊

いきおいってすげー
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きのこづ @Kinoko3416

「なにか言い残すことは」 「なーんにも。長く生きたからなぁ。もう十分よ。……ただ、今いる子たちには申し訳ないなぁ。せめて、あの子たちだけでも送り出してあげたかった」 「それは我々が責任をもって引き継ぎます。ご心配なく」

2016-02-27 00:11:19
きのこづ @Kinoko3416

「そっかぁ……安心やなぁ……でもやっぱりウチの手で送り出してやりたかったなぁ…………さ!やるならひと思いに。痛くないように終わらせてや」 墓碑の前に、小さな身体が無防備に立っている。満月に照らされて、その影は長く長く伸びていた。

2016-02-27 00:13:12
きのこづ @Kinoko3416

「それでは」 「ん」 さくり、と、因果を断つ白刃は、吸い込まれるように少女の心臓へと突き刺さる。手応えは軽かった。すぅ、と息を吐くように、龍驤はうつ伏せに崩れ落ち、そのまま動かなくなった。

2016-02-27 00:14:48
きのこづ @Kinoko3416

「それで?今回はどんな事件やったん?」 不知火は毎度毎度お決まりの、黒潮への事後報告へと訪れていた。 「いえ・・・・今回は事件というか・・・・NO.157、孤児院と歳を取らない少女の事件ですが・・・・」 「ん?」 「これで・・・・良かったのでしょうか」

2016-02-27 00:24:31
きのこづ @Kinoko3416

「なんや、珍しい」 「いえ・・・・なんでもありません」 「そ」 「・・・・子どもたちは?」 「もうびーびー泣かれて大変やったわぁ。まっさか怪異がねぇ」 「みんな、元気ですか?」 「不知火はんが心配なんてめっずらしい。情でも移ったん?」 一瞬、黒潮の声に冷たいものが混じる

2016-02-27 00:27:52
きのこづ @Kinoko3416

「アカンよー、アカンアカン。あんま怪異に入れ込みすぎると足元掬われるでー」 「わかっています」 「ほな、ええわ・・・・あ、そうそう、不知火はんの読みどおり、あの石っころの下から二人分、ちゃーんと出てきたで」 「・・・・そうですか」

2016-02-27 00:29:41
きのこづ @Kinoko3416

「改めて・・・・報告します。今回の怪異は不老不死の怪異かと思われましたが・・・・実際は幽霊でした。孤児院への想いが強く、死後も残留思念として残っていたようです。報告書の通り、確かに不知火が断ち切ってきました」

2016-02-27 00:32:00
きのこづ @Kinoko3416

「最初はあの孤児院は怪異を含む、二人で経営で経営されていたようです。しかし、程なくして怪異ではない方の経営者が流行り風邪で亡くなり、次いで怪異の方も同じ病で死んだようです。本人は気がついてないようでしたが」

2016-02-27 00:34:18
きのこづ @Kinoko3416

「その後も、怪異となって孤児院を経営していた所に不知火が赴き、滞り無くあるべきようにもどしました。以上です」 「ん、ごくろーさん」 「・・・・出てきた人骨はどこに?」 「埋め戻すか、大鯨さんとこか、迷っとるとこ。不知火はんはどしたらええと思う?」

2016-02-27 00:37:00
きのこづ @Kinoko3416

「不知火は・・・・・・・・

2016-02-27 00:37:11
きのこづ @Kinoko3416

~~~~ 「おー!よー来てくれたなぁ!嬉しいわぁ!」 本部のすぐ近くの公園、栗色のおさげが2つ、再開の喜びに揺れている。傍らには大鯨の姿もある。 そんな光景を、不知火は少し離れたところからじっと見つめていた

2016-02-27 00:45:23
きのこづ @Kinoko3416

「これでよかったのでしょうか」 「あ!不知火さーん!そんなとこおらんでこっちきーやー!!」 最愛の人と一緒にしてやるべきだったかどうか、彼女の判断は正しかったのかそれを答えられる者は誰もいないが、確かに瞬間、彼女たちの口元には笑みが浮かんでいたのだった。

2016-02-27 00:51:44