【怪異殺したち】関西弁の幽霊

いきおいってすげー
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洲央@土曜西“は”45a @laurassuoh

「怪異殺し不知火vs真夏の驟雨・しおい」をトゥギャりました。 togetter.com/li/943101

2016-02-26 16:25:39
いずみ @OASIS_0927

この本体はもう死んでしまって死体の燃えカスとしての意地とかを振るって孤児院を経営する龍驤さん良くない?

2016-02-26 23:18:41
いずみ @OASIS_0927

死んだ自分の願いで孤児院をやってるのか逝ってしまった鳳翔を求めて鳳翔の夢であった孤児院をやっているのかわからなくなってしまった亡霊龍驤 そして亡霊は死者であり死者は成長しないので答えを得ないまま消えていくのだ

2016-02-26 23:28:32
きのこづ @Kinoko3416

孤児院……生前の想いが強く、死してなお孤児院を守り続ける幽霊の怪異?

2016-02-26 23:28:47
きのこづ @Kinoko3416

「……ここですか」 今日、不知火がやってきたのは南海を一望できる立地の小さな孤児院。街からは遠く、ほそぼそと数人の子どもたちと孤児院の経営者が暮らしているという。塀などはなく、どこからか子どもたちの笑い声の聞こえるのどかなところだ。 見上げると、眩しいほどの太陽と青空。

2016-02-26 23:33:43
きのこづ @Kinoko3416

「不老の怪異、ですか。……本当にこんなところに怪異が?」 つい、怪異と何度も相対しては切り伏せてきた不知火もそう思うほどに、ただただ和やかな空気が流れている。 コンコン、木製のドアを白手袋がノックする。

2016-02-26 23:35:08
きのこづ @Kinoko3416

「はいはいはい、ちょっちまっとってなー……とと、いらっしゃい……?」 とてとてと足音を響かせてドアを開けたのは栗色の髪を頭の横で2つにくくった…… 「あの……ここの経営者の方は?」 「ウチやけど……」 少女、というには少し大人びている雰囲気だが、明らかに背丈が小さい

2016-02-26 23:37:36
きのこづ @Kinoko3416

「ま、ま、立ち話もアレやし入って入って」 「失礼します」 導き通された室内も怪異とは程遠い普通の部屋であった。窓からはかけっこをする子どもたちと、そよ風に揺れる白い服やシーツが見える。 「……本題からで、よろしいですか」 「お客さんなんて久しぶりやし、そう急かさんでや」

2016-02-26 23:39:51
きのこづ @Kinoko3416

栗色の髪の少女?は慌てた様子もなく、一度台所と思われる方向へ向かうと、コップにミルクを二人分持ってきた。 「んで、お客さん。わざわざこんなとこまでなんの用で?」 「いえ……ある、依頼で」 「へぇー、ご苦労さんやなぁ」 「もう一度お聞きしますが、貴女がここを?」 「せやせや」

2016-02-26 23:42:57
きのこづ @Kinoko3416

「お名前を伺っても?」 「あー!すっかり久々のお客さんで舞い上がってもーて……ウチは龍驤、アンタは?」 「不知火です……間違いはなかったようですね」 「へ?」 一閃、不知火は怪異を根源から断ち切るナイフを振るう。その狙いは龍驤の喉元ただ一点。

2016-02-26 23:45:51
きのこづ @Kinoko3416

間一髪!龍驤は反射的にのけぞりその一撃をかわす。しかし、その勢いのまま椅子ごと強かに床にたたきつけられる。 「ちょ!タンマタンマ!なんやその物騒なもん!ウチが何したって言うんや!」 「怪異に情けなど無用です。観念しなさい」 「怪異ぃ!?」

2016-02-26 23:48:10
きのこづ @Kinoko3416

「なんやそれ!いいからその物騒なもん仕舞って!ジャリたちに見られたらどうすんねん!」 「……」 不知火は違和感を感じていた。確かに依頼は不老の怪異に関してのもの。その対象はこの孤児院の経営者。確かにこの床に這いつくばり震える龍驤に間違いない。

2016-02-26 23:50:05
きのこづ @Kinoko3416

しかし、今まで相対してきた怪異のように、何か脅威があるようにも思えない。ただ、鋭利な刃物に怯えているようにしか見えない。怪異の気配も感じるが、先程も怪異という単語に特別な反応も見いだせなかった。もう少し、話を聞くべきかもしれない。 「……少し、早まったようです。立って」

2016-02-26 23:53:57
きのこづ @Kinoko3416

「……私、不知火は『怪異』……人ならざるもの、普通、起こりえない事象を『解決』する組織の者です。龍驤さん、何か心当たりはありませんか」 「解決、なぁ。そのおっかないもんで?」 「……」 「はぁぁ……心当たりは、あるよ」 「お教え願いたいです」

2016-02-26 23:55:54
きのこづ @Kinoko3416

「ただ、子どもたちもおるさかい、みんな寝るまででいいから、待ってもらえないかい」 「……いいでしょう。その間、ここでお待ちしても?」 「かまへんよ」

2016-02-26 23:56:46
きのこづ @Kinoko3416

見知らぬ客人にも子どもたちはよく懐いた。笑顔で龍驤と戯れ、共に食事をし、またその席に不知火も同席した。ただの、のどかで幸せな暮らしに見えた。

2016-02-26 23:58:15
きのこづ @Kinoko3416

「じゃあみんな、おやすみ……」 子どもたちを寝かしつけ、静かに寝室の扉を閉める龍驤の横顔は、穏やかに微笑みを浮かべてろうそくの小さな炎に照らされていた。

2016-02-26 23:59:30
きのこづ @Kinoko3416

「んで、心当たり、やっけ」 「はい、お願いします」 「多分……不知火さんの言うとった怪異っちゅーのはウチのことで間違いない。と思う」 「……」 「ウチを『解決』……殺すんか?」 「……ええ、仕事ですから」 「少し待ってほしい、っちゅーたら?」 「それはできません」

2016-02-27 00:01:09
きのこづ @Kinoko3416

「そうかぁー……」 「……」 しばしの沈黙、伏せた龍驤の表情はわからない。不知火はそっと身体の影でナイフを握りしめた。 「ちょっち、ついてきてほしいんやけど」

2016-02-27 00:02:37
きのこづ @Kinoko3416

子どもたちを起こさぬよう、静かに家を出て龍驤に連れられてきたのは、庭の片隅。特によく海の見える一角にひっそりと佇んでいる小さな石碑の前だった。 「これはなぁ、お墓なんよ」 「お墓?」 「そう、ウチの大事な人の、お墓」 「……」

2016-02-27 00:04:18
きのこづ @Kinoko3416

「ウチなぁ、その人のことがホンマに好きで、ずーっと一緒にいたんやけど、その人の願いでなぁ、ここ、始めたんよ。でもすぐその人は風邪こじらせてぽっくり……寂しかったよ、ホンマに。でもなー、その人の願いだったから、ずーっと一人でここ切り盛りして……それだけなんよ」 「それは、いつから」

2016-02-27 00:06:17
きのこづ @Kinoko3416

「いつからかなぁ、もうずーっとずーっと昔のことやし」 「……そのようには、見えませんが」 「やっぱり?」 「ええ、貴女は……若すぎます」 「せやなぁ……ウチもずーっとおかしいなぁとは思っとったんよ……それが、心当たり」 「なるほど……」

2016-02-27 00:07:39
きのこづ @Kinoko3416

ふと、不知火は小さな石碑のすぐ横に、寄り添うようにして更に小さな、ともすれば見落としてしまいそうな石碑を見つけた。 「これは?」 「それがなあ、わからんのや。いつの間にかそこにあったんよなぁ」 「……なるほど、そういうことですか……」 「なんかわかったん?」 「……いえ」

2016-02-27 00:09:41