【ミイラレ!第三十話:『サバト』のこと】(実況付き)
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四季は目を丸くした。慌てて声の方へ向き直ると、そこには見覚えのある赤髪の少女の姿。「トリル!?いつの間に」「ついさっき来たばっかだよ」不機嫌そうに返した少女は、足早に四季の元までやってきた。「どこもかしこも面倒ばかり。結界の一つも壊さないとやってられないね」20 #4215tk
2016-03-02 20:28:33八つ当たりで結界をぶち壊さないで欲しい。霊的守護をなんだと思っているのだこの大悪魔は! #なんとも思っちゃいない #4215tk
2016-03-02 20:30:04不穏な一言。四季はまじまじとトリルを見つめた。彼女は肩を竦める。「そんな不安そうな顔しなくていいよ。なんかここの結界が強化されてたから、ちょっと穴を開けて入ってきただけ」「……神様連中が姿を消してたのはそういうわけかい。よくやるよ」巡が呆れたように言った。21 #4215tk
2016-03-02 20:32:10「わざわざ神様連中の仕事を増やしてまで、なんの用だい。あんたも暇じゃなかろうに」「そりゃそうだよ。こうしてる間にも薫は大変なんだから」苛立たしげな返事。表情を暗くする四季を一瞥してから、彼女は続ける。「でもまあ、大事な用があるからね。今は使い魔どもに任せてる」22 #4215tk
2016-03-02 20:36:11「まず、四季。ニコールのやつ帰ったから」「へ?」突然の情報に、四季は頓狂な声を上げる。「帰ったって……なんで?」「飽きたんだと」トリルはぶっきらぼうに答える。四季は黙って彼女の顔を見つめた。トリルは見返してくる。なにか文句でもあるのかと言いたげに。数秒の沈黙。23 #4215tk
2016-03-02 20:40:14「……わかった。わざわざありがと、トリル」四季はただ、それだけ言った。妙な胸騒ぎを感じる。が、根掘り葉掘り聞き出す必要もない。彼はそう自分の中で結論する。「どういたしまして。で、次。これはどっちかっていうと巡の方に」「あたしに?」巡がわずかに眉をひそめる。24 #4215tk
2016-03-02 20:44:14「キミ、一応は四季を守ってるんだろ?だったら知らなきゃ駄目だ。シェイプシフターとかいう屑が四季を狙ってる」シェイプシフター。何度も耳にしたその名に、四季は思わず息を呑んだ。巡が目を細める。「詳しく話しな」「ボクに命令するなよ。話してやるからありがたく聞け」25 #4215tk
2016-03-02 20:48:12そしてトリルは語りだす。魔界に戻る前のニコールが目敏く寺に入り込んでいた変化の怪異を見つけ出したこと。魔界に帰る前の余興としてそれを追い、結果としてその一味と交戦したことを。「半殺しにしたらしいけど、結局逃げられたんだとさ。それだけで許せる相手じゃないけどね」26 #4215tk
2016-03-02 20:52:09トリルの言葉に不穏な響きが滲む。四季が思わずたじろぐほどに。黙ってそれを聞いていた巡が、納得したように頷いた。「うちの馬鹿どもを煽っただけじゃなく、また胡乱な真似をしでかしてるか。その怪異、もはや山ン本組の障害と見做した方がよさそうだね」静かに結論づける。27 #4215tk
2016-03-02 20:56:17四季は思い出す。この町に来る前に遭遇した、あの風変わりな怪異。「なんでそんな……」「理由なんか知る必要ないだろ」吐き棄てるようにトリル。「狙われてるんだから潰せばいいんだ。余計な情なんてかけなくていい」有無を言わせぬ断定。四季はまじまじとトリルを見た。28 #4215tk
2016-03-02 21:00:18「……トリル。なんか今日、機嫌悪い?」「別に!さて、最後の用事だよ。四季、ちょっと今夜ボクと付き合って」「つ、えっ!?」唐突な誘い。四季は絶句する。悪魔はわずかに口の端を歪めた。「君が想像したことは別の機会にしようか。今回は護身の方法を覚えてもらうよ」29 #4215tk
2016-03-02 21:04:32