『ルーントリガー』第二話:「希望」

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ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

◇これから更新する「ルーントリガー」は、当アカウントで普段発信してるアイドルやニンジャとの世界観の共有や繋がり等は一切ありません◇おうちのかたが きをつけてね◇

2016-03-01 20:00:16
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◇「シホちゃん!シホちゃんってば!」「……何?矢吹さん」「今日こそ合唱部にきてくれるよね!シホちゃんのこと早く先輩に紹介したいんだから!」「私は別に部活動がしたかったわけじゃないのに、あなたが勝手に入部届を出しただけだから私が部活に行く必要性を感じないわ」「もう、いじわる!」◇

2016-03-01 20:05:07
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◇「それに、今日は行かなきゃいけないところがあるから、もう行くわ」「そんなー。一人で部活に行くのかなー、志保ちゃん友達できたかなー……」「それは関係ないでしょ!」矢吹可奈が非常に滑らかな動きで非難するのを背中に、シホは廊下を歩き出した。◇

2016-03-01 20:10:10
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◇「……やっぱり開いてない、か」シホは『暗藪』の店先を見つめながら呟いた。昨日の出来事から分かったのは、店長が謎めいたサイリウムホルダーに、そしてこの町の一連の事件に関わっているであろうということだけだ。(店長、あなたはいったいどこに……)シホは先日隠した自転車を起こした。◇

2016-03-01 20:20:07
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◇「これは」シホは軒先の地面に小さな箱が落ちているのを見つけた。それは『少し明るい海』と印刷されたタバコのパッケージだった。店長が嗜んでいた銘柄である。拾い上げると小箱らしからぬ重みを感じた。「これは、鍵?」中から出てきたのは銀色の鍵であった。見覚えのある、店の鍵だ。◇

2016-03-01 20:25:07
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◇シホは戸を開け店内に踏み込んだ。馴染んだ香りに安堵する一方で、依然不在の店長の存在を思った。(このホルダーと、サイリウム。そしてアイドル。一体どんな関係があるというの?)その時シホの携帯が震え出した。可奈からの着信である。「はい北沢で」『もしもし!?シホちゃん!?』◇

2016-03-01 20:30:13
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◇「なにが」『大変!すっごい大変なの!大変だから今すぐ『和三盆』に来て!』そこで通話は切れた。「可奈があんなに取り乱しているんだから並大抵のことじゃないはず」シホは脳裏に昨日の戦いを思い浮かべ歯を食いしばった。そして鞄を抱え、それを見つけた。カウンターの上に置かれたものを。◇

2016-03-01 20:35:06
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◇「……銀色のサイリウム?」シホはそれ以上考えずに掴んだサイリウムを鞄に押し込むと、しっかりと戸締りし走り出した。◇

2016-03-01 20:40:08
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◇『和三盆』は駅前商店街唯一の洋菓子店である。中には飲食スペースもあり、女性客を中心に人々に親しまれている。「……で、なんであなたがここでケーキ食べてるのよ」シホは憮然と、目の前で喜々とケーキにフォークを突き立てる可奈に尋ねた。「あなた部活行ったんじゃないの?」「ふぁい?」◇

2016-03-01 20:45:07
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◇可奈は頬張ったケーキを飲み込んだ。「だって、先輩がケーキご馳走してくれるって言うから……」そう言って隣で紅茶を啜る制服の少女を見上げた。シホもその人物を見た。その淑女然とした佇まいの少女は、伏目がちにシホと視線を合わせて挨拶した。「こんにちは。私は篠宮といいます…」◇

2016-03-01 20:50:04
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◇「こんにちは。北沢です」シホは運ばれてきたコーヒーを啜りながら油断なく観察した。「あなたは合唱部の人なんですか」「いいえ、違いますよ…」「え?ではなんで可奈と」「……私が用があったのは…あなたですから…」「え?」シホは篠宮を見、可奈を見た。三枚目の皿に突っ伏している。◇

2016-03-01 20:55:05
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◇見渡せば店内の人間すべてがテーブルに付し、床に倒れている。「私の魔香も、あなたには効きませんね…ところで、例のホルダー返してくれませんか…?」「あんな危険極まりない代物、あなたのような不審者には絶対に渡せないわ」「そうですか…?でも、こうすればお話聞いてくれますよね…?」◇

2016-03-01 21:00:24
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◇微笑む篠宮の手が伏せる可奈の首に伸びる。『REBOOT』店の窓ガラスが吹き飛び、ルーントリガーが飛び出した。抱えた可奈は眠っている。商店街にも人気は皆無だ。「残念です…平和的に解決したかったのに…」「是非もなし!どうも、ルーントリガーです」「どうも、ルーントリガーさん」◇

2016-03-01 21:05:04
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◇篠宮の制服が燃え落ち赤い鎧姿が現れた。「百万薔薇嬢です」百 万 薔 薇 嬢 !「死取道に逆らう者よ、さあ、苦痛に歪む顔を見せなさい!」背中部分から分離したパーツが光りながら浮遊しビームを放つ!幾つもの光線!シホは可奈を建物の陰に隠し苦戦!「これじゃ近づけない!どうしたら……」◇

2016-03-01 21:10:08
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◇「そうだ!」シホは銀のサイリウムを取り出し構えた。そしてホルダーにセット!『CHANGE…銀白黒!イアイカラスモード!』ビーム集中!爆発!「イヤーッ!」爆炎を切り裂き現れたのは銀色のパーカーアイドル装束を纏ったルーントリガー!その手には眩い超自然の刀!豪覧雅!「なんだと!」◇

2016-03-01 21:15:06
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◇ルーントリガーはビームを切り裂き駆け抜ける!「そんな棒切れで私の薔薇を防げるか!燃やし尽くしてやる!」「やってみろ!」KICK KICK JUMP!素晴らしいFIGHT!夢見るGIRLは今日もちょっとOTOME STORM!ヨヨイヨヨイハードッコイ!ルーントリガー!◇

2016-03-01 21:20:12
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◇全ローズピット切断破壊!「バカな…」よろめく薔薇嬢を輝く刃が…捉えた!「南無阿弥陀仏よ!」「グワーッ!サヨナラ!」薔薇嬢は真っ二つ!爆発四散!「これが新しいサイリウムの力……まだまだ手探りだけど、必ず店長を探し出して見せるわ」シホはそう誓い、目覚め出した商店街を走り去った。◇

2016-03-01 21:25:06
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◇走り去るシホを物陰から見送る影在り。(すまないシホ…君を巻き込まずにいられたら……だが今はせめてサイリウムホルダーを使いこなし、生き延びてくれ……)その偉丈夫は逆方向に歩み出し、後には紫煙の香りだけが残された。◇

2016-03-01 21:30:55
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

◇第二話:完。次回の第三話「覚悟」に続く◇

2016-03-01 21:35:09
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ステージの上が私のフーリンカザンです

2016-03-01 21:49:28