ここから、前回までの間にもう一話あったのではと疑う方も出てくるだろうが、その間の話は各自脳内補完してほしい #nltkst
2016-03-06 23:36:03「うーん、駄目だね…」ベッドに寝かされたくりなごに手をかざしていたななしのが呟く。その手のひらから伸びた半透明の鎖が、くりなごと繋がっていた。「引き上げるのはむりそう、なにか別の方法はないかな。もしくは引っかかるキッカケとか」 13 #nltkst
2016-03-06 23:37:30ここはミヤコ幼稚園の保健室だ。寝かされたくりなごの周りには、数名の園児が集まっていた。「くりなごさん…大丈夫かな…」その手を握っていたしかなが洩らす。まくずがその肩を抱いた。「きっと大丈夫だよ」 14 #nltkst
2016-03-06 23:41:27「僕も何か手伝えないかな」隣のベッドから声。先に意識を取り戻したいしみずだ。「いしみーは休んでないと」とたろりん。「でも…みんなが頑張ってる時に何も出来ないなんて…」 15 #nltkst
2016-03-06 23:44:16たろりんは肩を竦めた。窓辺でタバコをふかしていたまきづめが声をかけた。「なら、絵で何か出来るかもしれない。捗りを信じるんだ」彼の思考は喫煙によって澄み渡っていた。 16 #nltkst
2016-03-06 23:47:38「でもその身体じゃあ…ペンタブも壊れてるし…」たろりんが言い淀む。「いや、紙とペンをくれないか、やってみる」「エッ!」「わかった、任せて!」とこっぺぱん。「いしみー…!」「僕にもエゴがある」 17 #nltkst
2016-03-06 23:53:10数分後、保健室に紙とペンが届けられた。いしみずはすらすらと何かを描きあげていく。園児達は固唾を呑んで見守った。やがて、一枚の絵が出来上がった。いしみずはそれを折り畳み、くりなごの手に握らせた。 18 #nltkst
2016-03-06 23:57:15薄暗い園長室で、二人の先生が言葉を交わしていた。ミヤコは窓の外を見やる。割れた空。紅に染まった月。謎の荒れ果てた城。「どうしてこんなことに…」「それを調査し、解決するのが僕らの仕事です」 20 #nltkst
2016-03-07 00:01:51廊下からドタバタと音が聞こえた。二人はドアの方を向いた。そこに駆け込んだのはめびこだ。「いしみずちゃんが、目を覚ましましたよ!」「よかった…!」ミヤコが安堵の息を吐く。「…それでは、兎はあの方と少し出かけますね」とうさぎ先生。 21 #nltkst
2016-03-07 00:05:40「…本当に行く気なんですね」ミヤコが心配そうに声をかけた。「勿論、うちの子達に危害を加える存在は、何であろうと叩き潰しますよ。例え、それが神であろうとね」うさぎは冗談を言い、部屋から出ていった。 22 #nltkst
2016-03-07 00:09:31