野田氏にお薦めする民主主義の見本「ミツバチの会議」

民主党には野田氏をはじめ、国民の意向を無視して決断せねばならぬという妙な覚悟を持っている人たちがいる。民主主義を誤解、あるいは不勉強。工業でも最先端の「生物模倣」を政治も目指すべき。
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shinshinohara @ShinShinohara

野田佳彦氏が首相だった時、「決められる政治」発言に驚いた。いや、それ独裁主義でしょ?それまで同情的だった私はかなり幻滅した。野田氏は「民主」党にいながら、ファシリテーションやワークショップなど、市民参加型の決定手法を学んでいなかったのだろうか。

2016-03-10 09:14:36
shinshinohara @ShinShinohara

そんな野田氏にお勧めしたい本がある。「ミツバチの会議」。ミツバチから民主主義を学ぶものだ。 決して冗談ではない。ミツバチは新しく巣を創るという、集団の生死を懸けた重要な決断に、極めて民主主義的な手法を用いているのだ。

2016-03-10 09:17:11
shinshinohara @ShinShinohara

ミツバチは「分蜂」をする。これは新しい女王バチを含む集団が、新しい巣作りをすることをさす。分蜂に際して、働き蜂は「あそこに巣作りに適した場所があるよ」ということをダンスを通じて、自分の見つけた場所をみんなに知らせる。そのダンスを見た別のハチが様子を見に行き、またダンスを見せる。

2016-03-10 09:21:50
shinshinohara @ShinShinohara

営巣に適していると感じると「あそこがいいよ」とアピールするミツバチが増える。やがて一定数に達すると一気に新しい営巣地に向けて集団が出発する。しかしここまでならただの多数決に見える。もしこの選択が間違っていたら集団ごと絶滅する重要な決断。そのため、いくつかの興味深いルールを備える。

2016-03-10 09:25:31
shinshinohara @ShinShinohara

工夫の一つ「アピールは一度だけ」。「あの場所は巣作りに適しているよ」とアピールするダンスは、1匹につき1度だけ。人間社会でよくある、声の大きい人が強引に主張を続けて、集団が根負けして決定が歪められるのとずいぶん違う。1意見を述べたら、あとはみんながどう判断するのかを見守るのだ。

2016-03-10 09:28:47
shinshinohara @ShinShinohara

二つ目。多様性への信頼。ミツバチにも色んなのがいる。同じ営巣地候補を見ても「スゲーよかった!」と反応するのもいれば「いやー、そんなには」と反応の薄いのもいる。よい候補地なら「スゲーよかった!絶対あそこだよ!」と猛烈アピールするハチが徐々に増えるが、そうでもないところは減っていく。

2016-03-10 09:31:07
shinshinohara @ShinShinohara

3つめ。決定は土壇場で覆る事もある。新しい営巣地の候補がどれもパッとせず、それでも分蜂しなければならないのでやむ無く「こっちかなあ」と営巣地が決まりかけていても、別のハチが素晴らしい候補地を見つけてくると、アピールダンスをするハチの数が土壇場で逆転することがある。必死なのだ。

2016-03-10 09:34:16
shinshinohara @ShinShinohara

「ミツバチの会議」は、声の大きい人のために決められなくなる「人間界の」事例を紹介する。古くなった教会が危険になってきたので建て替える話に決まりかけたが一人が頑強に反対して、その人が亡くなるまで建て替えができなかった話。野田氏の「決められない」民主主義のイメージはこれだろう。

2016-03-10 09:39:10
shinshinohara @ShinShinohara

「ミツバチの会議」の著者はミツバチに学んで、大学の学部長になったとき、決定手法を変えた。それまでは声の大きい教授に引きずられるように決定が歪められていたが、著者は議論の進め方を変えた。みんなが発言し終わるまで1人につき1度の発言と決めたのだ。

2016-03-10 09:42:23
shinshinohara @ShinShinohara

声の大きい人は通常、他の人が意見を述べている際にも「いや、それは違う」と割って入り、持論を展開する。異論反論を述べる人は、「声の大きい人」の情熱的な攻撃を受けとめ、かつ反撃しなければならないので、面倒くさくなる。「もういいや」という空気が作れたら、声の大きい人の勝ち。

2016-03-10 09:44:55
shinshinohara @ShinShinohara

しかし「ミツバチの会議」の著者は「あなたはもう喋ったでしょ。みんなの意見を一通り聞いたらまたあなたの発言の機会が与えられますから、それまではみんなの意見を聞くように」と黙らせます。こうすることで、どの参加者も自分の意見を述べることができる空気を作れます。

2016-03-10 09:47:03
shinshinohara @ShinShinohara

すると、声の大きい人の意見は「一意見」になる。もちろんそれに賛成する人もいるだろうが、皆が意見を述べるなかで「こうした懸念があるのではないか」と合理的で説得力のある意見が出て、みんなが「なるほど」と感じた、そんな空気が漂うと、声の大きい人も意見を修正せざるを得なくなる。

2016-03-10 09:49:55
shinshinohara @ShinShinohara

「なるほどそういう問題もあるかもしれないが」と声の大きい人の出番。一気にまくし立てるが、自分の番が終わればみんなの発言を黙って聞かねばならない。声の大きさで空気を支配する独裁主義的な手法が通じず、自分の意見をみんなに受け入れられやすいものに徐々に修正せざるを得なくなる。

2016-03-10 09:53:11
shinshinohara @ShinShinohara

興味深いことに、こうした手法だと意見が洗練されていく。「なるほど、そういう視点もあるか」とみんなをハッとさせる意見が出ると、次の発言者もそれを汲み取った意見に変わる。粗の多い意見が、たくさんの人の視点によってどんどん洗練され、現実的なものとなる。しかも納得感が生まれる。

2016-03-10 09:55:47
shinshinohara @ShinShinohara

会議の後半になって「今になってこんなことを思い付いたのですが」という意見が突発的に出ても「おー!それはいいねえ!」と皆がハッとするようであれば、そちらに方針が変わる柔軟性もある。すでに積み上げた議論は無駄にならない。全く新しい方針の素晴らしさを理解できる深みに達せたのだから。

2016-03-10 09:58:39
shinshinohara @ShinShinohara

集団で議論しながら、多様な意見を取り入れて方針を絞り混むと同時に洗練させ、しかもみんなの納得感も醸成していく。最後に決をとる頃には意見が出尽くして「これでいいですね?」と聞く頃には、一通り反論も出尽くし、その反論に対する反論も出尽くしているので、全会一致の決定になる。

2016-03-10 10:01:05
shinshinohara @ShinShinohara

野田氏は民主党の元党首でもあり、総理にもなった人物。しかし首相になった時点では残念ながら「民主主義ではみんな勝手な意見を述べるばかりで決まらない。独裁と批判を受けても決めなければならない」と考えたのだろう。私より年長者ではあるが、未熟だったと言わざるを得ない。

2016-03-10 10:03:20
shinshinohara @ShinShinohara

意見がバラバラであっても意見を集約することは可能。しかも多様な視点を組み入れて洗練させることも可能。さらには「議論を尽くした」という納得感の醸成も可能。ミツバチは集団の存亡を懸けた「分蜂」を挙行するために、最も最適な決定手法として、民主主義的な方法を洗練させたのだ。

2016-03-10 10:08:59
shinshinohara @ShinShinohara

人類が民主主義という手法を発明してから、まださほど時間がたっていない。暫定的に選んできた民主主義の手法も、ミツバチから眺めるとまだまだ稚拙。 人類は地球という世界で生き延びられるのか、存亡を懸けた戦いが控えている。ミツバチから見習うことは多い。

2016-03-10 10:11:20
shinshinohara @ShinShinohara

野田氏は残念ながらまだ民主主義というものが分かっておられないらしい。「たとえ批判されてもやるべきことをやる。後世の人は評価してくれる」という考えが抜けないらしい。しかしそれはロベスピエール、レーニン、ポル・ポトも陥り、虐殺を正当化した危険な思想だということにお気づきだろうか。

2016-03-10 10:14:28
shinshinohara @ShinShinohara

人類はまだ、民主主義的に意見を集約し、ブラッシュアップし、納得感を高め、より優れた意思決定にたどり着く「方法・手段」にたどり着いていないだけ。まだ発展途上なのだ。 工業界では「生物模倣」が取り入れられ始めている。蓮の葉、カタツムリの甲羅、蝶の羽。生物は驚愕の進化を遂げている。

2016-03-10 10:24:18
shinshinohara @ShinShinohara

ミツバチは人類よりもずっと早くに民主主義を取り入れ、洗練させてきた。政治も「生物模倣」をためらうべきではない。他の生物の優れたところも取り込めない頑なな心の持ち主が政治かになれば、独裁者どころか「裸の王様」のそしりを免れない。ゆめ、裸の王様となるなかれ。

2016-03-10 10:23:31