- tasobussharima1
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黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
いつもと変わらぬ、学校の帰り道。といっても、途中にコンビニもゲームセンターも無い。カラオケは商店街のスナックにあるだけ。 俺が住んでいるのは、小さな山間の村だ。 「いつかは都会に行きてぇなぁ……」 そんなことを言っても、どうせ俺も高校を卒業したら家業を継ぐことになるのだろう。
2016-03-10 21:04:08
黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
だから、高校の数年間は最後の自由な時間だ。それもあと一年ちょっとで終わる。日常の悩みと言えば、最近爺さんがボケはじめたこと。クラスの女子が気になること。 「気になるつぅても、一緒になっでくれなんて頼めねぇしなぁ」 農家に生まれたからには、嫁探しが運命的につきまとう。
2016-03-10 21:08:03
黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
好きだから付き合おう、の先を無意識に考えてしまうのだ。 「家族さ紹介して……家のこと知ってもらって、あー、いかん」 重い。重すぎる。それに、高校と言っても総生徒数たったの十数人の分校だ。告白でもして、仮に振られたとしても卒業までの間ずっと顔を合わせ続けることに……
2016-03-10 21:12:03
黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
「やっぱ無理だ」 結局、いつもこうだ。気づけば、通学路で唯一の自販機の前。コーラとコーヒーとスポーツドリンクと黄色いパッケージのブロック食しか置いていないが、それでも貴重な憩いの場だ。硬貨を入れて、なんとなくブラックコーヒーを選ぶ。 精一杯の背伸び。別に美味しくはない。
2016-03-10 21:16:04