最低時給を693円に設定すると、タウンワークの案件は時給700円台の相場に閉じ込められるという現実

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アトレティコ・アドリー @rrrt77

地方のタウンワークを開くとほとんどの案件が時給700円から800円の狭いゾーンに集中している。反面、時給1000円を越える案件は極めて微々たるもので、同時にこの1000円という値が上限であったりする。1100円だとか1200円だとかいう値はまず見られない。

2016-03-12 08:41:15
アトレティコ・アドリー @rrrt77

今の日本の最低賃金はもっとも低い県で693円である。このような県のタウンワークの場合、だいたいの案件は700円はつけてくる。この「7円」に案件を提示した会社の「見栄」が凝縮されている。

2016-03-12 08:45:14
アトレティコ・アドリー @rrrt77

「とりあえず最賃そのものではなく、100の位を6から7に繰り上げているのだから十分だろう」 というすまし顔が見え隠れしている。 逆に、このたった「7円」の見栄を張る意思すらない会社は、いきなり最賃をつけてくる。だから面白いことに、こういう県のタウンワークでは

2016-03-12 08:48:12
アトレティコ・アドリー @rrrt77

時給698円だとか696円だとかいう中途半端な値をつける会社はまず存在しない。最賃か、とりあえず700円かのどちらかである。言うまでもなく693円という計算の面倒な端数にあくまでこだわり、「7円」の見栄を張ることにすら関心のない案件には、あまり応募しないほうがいい

2016-03-12 08:50:06
アトレティコ・アドリー @rrrt77

労働者を本気でゴミとしか思っていないか、明日にでも潰れかねない自転車操業かのどちらかであるためである。会社が突然潰れた場合、未払い賃金の回収は極めて作業となる。ワープアがワープアではすまなくなる。時間をいたずらに浪費してしまった分、働いていながらむしろ働かなかったほうが

2016-03-12 08:53:02
アトレティコ・アドリー @rrrt77

まだましであったという救いようのない逆境に突き落とされることとなる。 一方、とりあえず百の位を7に乗せてくれる会社であっても、それだけであるいは安心し、あるいは満足し、十の位にまでてこ入れしてくることに乗り気ではない。

2016-03-12 08:55:50
アトレティコ・アドリー @rrrt77

693と700という数字の間に人間が感じる心理的隔たりと、700と720の間に人間が感じる心理的隔たりでは、前者のほうが大きなものとなる。百の位の魔力はそれだけ強い。

2016-03-12 08:59:11
アトレティコ・アドリー @rrrt77

だから、企業側は 「一度700に乗せたのなら700も720もひいては750も似たようなもの。同時に必死に雇い口を探している応募者の目にも似たようなものと映るだろう。だったら700にしてしまえばよい」 などという結論を出すこととなる。 数字のトリックが生む不毛な惨劇である。

2016-03-12 09:01:23
アトレティコ・アドリー @rrrt77

こうして、あくまでも百の位が7の世界で牽制しあっているものだから、この7が8に変わるのも一苦労となる。 以前、時給820円を提示するアルバイト案件に応募したところ 「うちは高給だから応募者多いんだよねえ(お前にそれに値するだけの能力あるの?)」 と嘗め回すような視線とともに

2016-03-12 09:07:14
アトレティコ・アドリー @rrrt77

自慢されたことがある。 百の位が7から8に変わるとそれはもう「高給取り」である。 少なくとも企業側はそう認識している。 タウンワークに時給700円代があふれかえる現状では おそらくは応募者側の多くもそう思ってしまうだろう。 しかし実際は、最賃が「約700円」に設定されている中

2016-03-12 09:09:18
アトレティコ・アドリー @rrrt77

それに120円が上積みされた、1.2倍未満の変化に過ぎないのである。 この事例からも分かるように、特に非正規の現場においては「最低賃金」は本来の「これ未満の薄給で人を使ってはならない」という分水嶺ではなく「今の底辺の時価はだいたいこの程度である」という「基準賃金」として認識される

2016-03-12 09:11:54
アトレティコ・アドリー @rrrt77

ここで、底辺アルバイターの時給の変化率は硬直化する。最賃693円の地方の場合、そのほとんどは700円台のボックスに閉じ込められ、800円台にのるとそれはもはや高給扱いであり、ごくごくまれにある900円台の案件ともなると

2016-03-12 09:14:54
アトレティコ・アドリー @rrrt77

「バイトにこんな高値をつけられるこの会社は、一体どこでどうやって収益をあげているのか?何か法に触れるようなことでもやっているのではないか?」 などという無意味な不安を覚えさせられるほどである。 雇用者自身が、最賃にわずかに色の付いただけの狭いボックス相場に染まっていく。

2016-03-12 09:18:41
アトレティコ・アドリー @rrrt77

では、会社側は、経営的に苦しく、どうしても労働者を最賃スレスレで使うしかないのだろうか?実は必ずしもそうではない。今流行の派遣という雇用形態を通すとそれが如実に見えてくる。

2016-03-12 09:20:24
アトレティコ・アドリー @rrrt77

労働者に時給750円が支払われる派遣の案件があったとする。ただそれが派遣である以上、派遣先の企業がこの労働力に対して支払う1時間あたりの金額は当然750円には納まらない。派遣元企業へ支払うべき中抜きマージンを上乗せしなくてはならない。

2016-03-12 09:21:54
アトレティコ・アドリー @rrrt77

この中抜きマージンの割合がどの程度のものなのかは、無論それぞれのケースにおいて異なるものとなるだろうが、各派遣会社が公開している値を平均すると、約25%程度であるという。時給750円がマージン25%を引かれた結果であるのならば、派遣先がこの労働力に全体的に支払っている額は

2016-03-12 09:27:27
アトレティコ・アドリー @rrrt77

1時間当たり1000円ということになる。 派遣サービスを利用している会社の多くは、あくまで時給750円で使うところの労働力に対し、1000円を払うことも可能なのである。

2016-03-12 09:28:45
アトレティコ・アドリー @rrrt77

以前短期で働いた会社では、派遣会社を通じてやってきた労働者と、直雇用の労働者が、3:1の割合で就業していた。異なる会社に登録されている者どうしでの賃金に関する情報交換は基本禁止とされていたが、それでも食事休憩中ともなると誰の口からともなくその話題は出される。

2016-03-12 09:31:35
アトレティコ・アドリー @rrrt77

結果、派遣会社を通じて就業しているものと、直雇用の時給は、直雇用の者のほうが20円低いという衝撃的な事実が明らかとなった。この会社は半数以上の派遣経由労働者に、中抜きマージン込みだと1時間あたり1000円以上の対価を払うことができていながら

2016-03-12 09:33:23
アトレティコ・アドリー @rrrt77

中抜きマージンを払わずともすむ直雇用の労働者に、この浮いた分の差額を還元する意図はまったくないのである。 その裏には「経営が苦しいのでアルバイターには時給700円台しか提示できない」 というより 「底辺アルバイターごときには絶対に時給700円台しかくれてやれない」 という強迫観念

2016-03-12 09:35:37
アトレティコ・アドリー @rrrt77

があるようにしか思えてならない。 この会社では顔合わせ時に担当官から 「うちは直雇用もいるけど派遣つかったほうが楽なんだよねえ。直でやると募集かけたり面接したりが面倒だから」 と笑いながら言われた

2016-03-12 09:45:04
アトレティコ・アドリー @rrrt77

つまり、募集をかけたり逐一面接したりする手間隙からの開放を、中抜きマージン料で買ってしまおうというのがこの会社の考え方なのである。 しかしその手間隙は、数字に直した場合そこまで大きなものとなるのか?

2016-03-12 09:49:56
アトレティコ・アドリー @rrrt77

全従業員を、100円上乗せした時給で直雇用化すれば良質な労働者が殺到し、同時に労働力に対する全体的な支払いの面でもより有利になるというアイデアは浮かんでこないものなのだろうか?

2016-03-12 09:51:49
アトレティコ・アドリー @rrrt77

繰り返すように、非正規の世界において「最低時給」は、「すくなくともこれより低い額で労働者が使われることはない」という防御壁ではなく、「それにちょっと色をつけた値でなら労働者を使ってもいいのか」という「基準時給」として機能している

2016-03-12 09:55:54
アトレティコ・アドリー @rrrt77

「底辺労働者薄給たれ」という強迫観念に企業側が陥っている以上、ワーキングプア問題は最低時給の全国的な引き上げによってしか解決されないだろう。

2016-03-12 09:58:00