「ア・サウンド・マインド・イン・ア・サウンド・ボディ」

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ジュセー @shiroboshi2

「ア・サウンド・マインド・イン・ア・サウンド・ボディ」 #S57Ninja

2016-03-12 21:55:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ム……フカシギのエピソードだろうか? #S57Ninja

2016-03-12 21:55:32
ジュセー @shiroboshi2

「ゴメン!遅れちゃって……」肩で息をしながら、ラナイは申し訳なさそうに言った。「ダイッジョブ、俺も今来たところだから」タケダは笑いながらそう言い、彼女の肩を叩く。それから少し会話を交わしたあと、彼らは肩を並べて歩き出した。1 #S57Ninja

2016-03-12 21:58:50
ジュセー @shiroboshi2

噴水広場のある自然公園に到着した二人は、噴水がよく見えるベンチに腰掛けた。ラナイは鞄から下敷きと紙、色鉛筆を取り出す。「どう、調子は?」それを覗き込みながらタケダが問う。ラナイははにかみながら答える。「ウン、順調。ありがとね」「それは良かった」2 #S57Ninja

2016-03-12 22:03:38
ジュセー @shiroboshi2

ラナイは新人の絵本作家だ。彼女と長い付き合いになるタケダは、いつでもラナイを応援していた。重金属酸性雨が降らない珍しい日には、こうやって二人で外に赴き、風景を描く。ネオサイタマにおいて希少な存在である自然を描くことを、ラナイは好んでいた。3 #S57Ninja

2016-03-12 22:08:40
ジュセー @shiroboshi2

「……ラナイ=サン」「んー?」紙に落としていた視線を上げ、タケダを見るラナイ。タケダは思わず顔を逸らしながら「い、いや。何でもない……アー、いや、そうじゃなく。昼ご飯、そうだ、お昼ご飯どうしようか!?」と言った。ラナイはフシギそうな顔をした。4 #S57Ninja

2016-03-12 22:13:09
ジュセー @shiroboshi2

「私は別に、どこでもいいけど……タケダ=サンは?」「エッ、アー、ウン。カレー、とか」頬をかきながらタケダ。「いいね!」ラナイは笑った。タケダも笑った。彼の懐には、未だ渡すことのできていない結婚指輪があった。5 #S57Ninja

2016-03-12 22:18:25
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

カレーもまたネオサイタマのソウルフードのひとつなのだろう……そして結婚指輪! こりゃだぜ #S57Ninja

2016-03-12 22:19:10
ジュセー @shiroboshi2

「アイエエエ……助けて」「イヤーッ!」「アバーッ!」浮浪者の男の身体があっという間に凍りついた。黒づくめの姿をした者は凍り付けになったそれを無感情に見下ろす。月の光が二人の姿を照らしていた。「……フフフ」黒づくめの者は冷たく笑った。7 #S57Ninja

2016-03-12 22:27:22
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

いきなりのサツバツだ! コリ・ニンジャクラン……ふむ #S57Ninja

2016-03-12 22:28:02
ジュセー @shiroboshi2

数日後。「あ、ラナイ=サン」タケダはラナイに手を振った。彼女も手を振った。タケダは歩み寄る。「あれ、風邪?」マスクを着けたラナイの顔を、タケダは心配そうに見つめた。「無理しちゃいけないよ?」「ダイッジョブ!……移したらゴメンね?」悪戯っぽく彼女は笑った。9 #S57Ninja

2016-03-12 22:31:35
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

風邪……うーむ、先ほどのシーンとの関連が……? #S57Ninja

2016-03-12 22:32:31
ジュセー @shiroboshi2

いつもの自然公園へと赴く。ラナイが絵を描く。タケダは見守る。彼は懐の奥深くにある結婚指輪の箱に手を触れた。心拍数が上がる。彼は口を噤みながらラナイを見る……彼女の手は止まっている。その紙には、いつものタッチとは違った絵が描かれていた。「ラナイ=サン?」10 #S57Ninja

2016-03-12 22:37:28
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