【twnovel】社長さんとメカ秘書 その2

二組目も書いてみた。
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しーな@冬眠する変温動物 @xsheeenax

折り込みチラシを眺めていると見慣れた顔が飛び込んできた。……妻だ。死んだ妻の若い頃にそっくりな秘書ロボに、「最終処分」という値段がつけられていた。堪らず私は購入を決めた。そろそろ仕事も畳んで隠居でもするか、という思いは霧散した。丁度いい、零細の社長に定年はない。 #twnovel

2015-11-11 15:16:54
しーな@冬眠する変温動物 @xsheeenax

晴れて迎えた秘書は、やっぱり死んだ妻と同じ顔をしていた。一緒に年を取ろうと約束したのに、お前だけ先に逝きおって。愛しさと懐かしさと、色々がないまぜになった感情に名前がつけられないまま、名前を呼んだ。「それが私の名前ですか?」「嫌かね?」「いいえ。設定しますか?」 #twnovel

2015-11-11 15:22:48
しーな@冬眠する変温動物 @xsheeenax

30年前に死に別れた妻とそっくりな顔の秘書ロボットを30年前に死に別れた妻の名前で呼ぶなんて滑稽だとは思うが。口にする度に痩せた胸の内側がほんのりとあたたかくなるのだ。今までは仏壇と墓の前でしか発しなかったものだから。「はい、何でしょう」「……いや、何でもない」 #twnovel

2015-11-12 20:09:23