【プリパラ】ファム・ファタールとしてのファルルと、プリキュアシリーズの悪役たち
- steelfan_kyoto
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1. 初期プリキュアシリーズにおいて、善堕ちする敵役はそのほとんどが「一度死ぬかそれに近い経験をする」という過程を経る。キリヤくんや満・薫、ダークドリーム、そして最も象徴的なイース→キュアパッションといったように。
2016-03-15 18:39:312. そしてこれらの死亡経験組には、「悪側の種族・国家・世界等に自らのルーツを持つ」という共通点が挙げられる。
2016-03-15 18:42:593. ところが後発の作品になるに従って、「実は善側の出自だが、洗脳や誤解や行き違いによって敵に回る」というケースが増えていく。セイレーンやレジーナ、トワイライトのように。この流れは、プリキュアがあまり敵を殺さず和解を志向するようになる潮流と軌を一にする。
2016-03-15 18:51:134. そしてこれら善側ルーツ組は、2で述べたような死と新生を経ていないケースが大半である。洗脳が解けるシーンの苦しみ方も、イースが経験した苛烈さとは比べものにならないぬるさである。
2016-03-15 18:58:255. なぜ悪側ルーツの者だけが死を賜らねばならないのか? 「後発のシリーズほど苦痛表現がぬるいことからくる偽相関だ」という説は不適だ。後発シリーズでも、ノイズ様やクローズ・ロックといった面々はやはり死のメタファーを経験している。(シャットさんはかなり稀な例外である)
2016-03-15 19:09:286. 一つの説として、次のような不文律があると仮定してみたい。「彼らは一旦死ぬことによって自らの邪悪な出自から切り離され、そこで初めて善の側に立つ資格を得る」と。
2016-03-15 19:20:267. いま仮にこの説が正しいとして、レジーナのことを考えてみよう。彼女は自らを大魔王キングジコチューの娘だと信じているが、実は善側の王家の血筋に連なる少女である。
2016-03-15 19:27:018. 彼女は最初は、主人公のマナたちの前に敵として現れる。が、すぐにマナの甲斐性に惹かれるようになり、レジーナはマナへの友情と父王キングジコチューへの敬愛との間で板挟みになる。
2016-03-15 23:37:059. そして物語中盤、レジーナとマナは火山の火口に落とされそうになる生命の危機に見舞われる。二人分の体重を支える紐は今にも切れそうだ。レジーナは最後に「大好きだよ、マナ」と囁き、自ら手を離して火口へ身を投じようとする。
2016-03-15 23:37:3110. 実際にはこの後マナが足でレジーナの体を締めこんで無理矢理上へ引き上げるという筋肉的解決法で事なきを得る。のだが、さて、ここで仮にレジーナが本当に大魔王の娘という邪悪な出自を持っていたら、どうなっただろうか。
2016-03-15 23:38:0211. 先の説が正しければ、ここでレジーナは一旦火口に消え、秋の新玩具発売くらいのタイミングに合わせて復活するという展開になったはずである。サウラーウエスターや満・薫みたいに外見要素の変化なんかもあるかもしれない。
2016-03-15 23:40:4012. いずれ来る最終話で(直接的か間接的かはともかく)親殺しをせねばならなくなるのだから、親子の縁は完膚なきまでに切り離さなければならない。
2016-03-15 23:40:5513. 実際、満と薫が親である魔王アクダイカーンの死を目にするシーンは、(脚本の側でショックを低減する工夫が二重三重に施されていたがそれでもなお)極めて悲劇的なものであった。
2016-03-15 23:41:5714. さて、長い長い話の枕を終えてようやく本題、プリパラのファルルの話に移る。 ファルルはプリパラ電脳世界のなかで生まれたボーカルドールである。現実世界に触れることのできない、人間とは異質の精神を持った存在だ。
2016-03-15 23:48:3515. だが彼女には機械であること以前に、「プリパラ世界でアイドルになれなかった女の子達の、破れた夢の集積体」という極めて呪わしい出自を背負っている。これは、プリキュア世界なら悪の親玉かそれに近しい存在になる属性である。とくに女王ディスピアとはほとんどイコールといっていい。
2016-03-15 23:49:2716. 別にファルルは能動的に人を傷つけたりはしない。夢破れた女の子達の代わりに踊って、ささやかな供養をすることだけが望みの人形だ。少なくとも一期の間はそうだった。プリパラとプリキュアの「駄目になった夢の跡」の描写は単なる正反対の絵図であった。
2016-03-16 00:10:1317. だが、彼女が一期のラストで感情を得て能動的に動き始めてから、少しずつ歯車が狂い始めた。人間をプリパラ世界へ引きずりこむことが可能になってしまったからだ。あまりにも少しずつ歯車を巻いていくのでリアルタイムで見ていると分かり辛いが、今思えば70話くらいから既に危なかった。
2016-03-16 00:06:0218. そして、紫京院ひびきのボーカルドール化宣言により問題は一気に表面化する。この美しく無邪気な怪物に魅入られてしまった女が、人間としての命を捨てようとしたのだ。
2016-03-16 00:12:20ファルルが生まれ持った危険性について、なゆり @bluedeige72219 さんのツイートを引きつつ少し補足(2016年3月17日加筆)
ひびき様のボーカルドールになりたいっていう願いは、ボーカルドールという完璧な存在になり神アイドルになりプリパラをレベルの高いものにするためとか、嘘やまやかしばかりの現実世界からの逃避とかだとばかり思ってたけどそういやファルルと初めて会った日、思いっきりファルルに私はあなたに恋い焦
2016-03-08 22:38:14がれる1人の男」ってまっすぐに告白してんだよなあ 「あなたのようなボーカルドールになりたい」とも言ってたし ファルルと対等の存在になりファルルと共にいたいっていうのもあったのかもしれない……だからファルルはらぁらに「まほちゃんはそのままでもファルルの友達なの!」って言ったのかな
2016-03-08 22:42:35対等にならないと友達になれないっていうのは多分幼少期のあのトラウマで刷り込まれてるんだろうな〜 セレパラも格差歓迎!だしな〜 ひびきさんはだから恋い焦がれるファルルと対等のボーカルドールになりたかったのかなーとか思う
2016-03-08 22:45:35