- tasobussharima1
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ブッシャリオンTips 金剛針(ヴァジラスーチー) 肆捌空海が後天的に獲得した徳殊能力。徳エネルギーフィールドを収束させ、針の形に形成する。原型は壱参空海が使用していた攻性転用の見様見真似だが、原理的にはやや異なる。金色の徳の輝きを放つことから、金剛針と命名された。
2016-03-18 22:14:19エレベーターは下降する。パネルの一番下……B12Fのボタンを押したが、それ以上の深さを下っている気がする。いや、自分は地上12階のビルすら、生まれてこの方登ったことが無いのだ。 自分も坊さんも無言のまま、エレベーターは地下12階で停止し、ドアが開く。
2016-03-19 21:04:08冷たく、埃っぽい空気がエレベーターの中へ流れこむ。 「ゲホッ!ゲホッ!」 思わず俺はむせ返る。 「平気か?」 坊さんは俺の手を取り、エレベーターを降りる。薄暗い巨大な空間。よく見えずとも、足音の反響でその空間がただならぬ大きさであることは察しがつく。そして……微かな水の流れる音。
2016-03-19 21:08:03「こいつは……」 この空間の広さは、発電所の真下だけではないだろう。村の真下全域に広がっていても、おかしくはない 「水を媒介に、徳エネルギーを循環させているのだろうか……」 坊さんは、水路に手を突っ込む。次の瞬間、目の前の床に広大な光の紋様が浮かび上がった。
2016-03-19 21:12:04いや、違う。水路だ。敷き詰められた水路の水が光を放っているのだ。全体像はとても見渡せないが、水路は魔法陣めいた複雑な図形の形をしている。 「こいつあ、なんだ」 俺は、それだけ口にするのがやっとだった。この空間は何だ。この建物は発電所ではなかったのか。一体何をするためのものなのか。
2016-03-19 21:17:02「これは、恐らく巨大な徳ジェネレータだ」 「徳……ジェネレータ?」 さっぱり分からないが、徳エネルギーとやらに関連する用語であることだけはわかった。言われてみれば、昨晩の話の中に出てきたような気もする。 「規模は桁違いだが、曼荼羅サーキットの構造とよく似ているように見える」
2016-03-19 21:20:03「これが、村の問題……?」 「そういうことだ。村の地下全体が巨大な徳ジェネレータ……即ち、得度兵器の餌場ということだ」 謎の用語が度々出てくるのにはいい加減慣れたが、それは一体、どういうことなのか。 いや、既に情報は揃っている。仮説は出来ている。俺はそれを認めたくないだけだ。
2016-03-19 21:24:01それにしても、何故わざわざ20世紀日本の山間部を模しているのだろう。博物館のような意味で? それとも田中ブッダあたりのゆかりの地なの? #徳パンク
2016-03-19 21:27:52「ここは、2010年などではない。26世紀の地球だ」 坊さんはそれを突き付けてくる。 「じゃあ、俺たちの村は、一体……」 「得度兵器が人工的に作り出した環境だろう。恐らく、村人の意識に介入し偽の記憶を植え付けて……」 機械の作り出した箱庭。まるで、何処かの映画の中の話のようだ。
2016-03-19 21:28:02だが、そこで坊さんは何かに気付いた様子だった。 「……おかしい」 「これ以上、何がおかしいってんだよ……」 俺は今、今までの日常が作られたものだった幻想を受け止めるのに忙しいというのに。 「この徳ジェネレータは、起動していない」 「……は?ちょっと待てよ?」
2016-03-19 21:32:09この村は機械達のエネルギー源という話ではなかったのか。それが、使わていない? 「徳エネルギーの流れが感じられない。それに、古すぎる。明らかにここは、徳カリプス以前の施設だ」 坊さんは慌てて、エレベーターへ駆け戻る。俺はそれを追いかける。 「説明してくれよ!」 「私にもわからぬ!」
2016-03-19 21:36:03