高齢者の消費税容認、国民の緊縮志向は利害ではなく義憤や信念、思想を反映している

善悪双方にとって危険なのは、発想なのであり、既存利害ではないのです。http://www.genpaku.org/generaltheory/general24.html ―――J・M・ケインズ
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

twitter.com/kazu_fujisawa/…を踏まえると、男女平等主義&高齢化が不況を求めるというのは陰謀論過ぎるが、不況のしわ寄せが相対的に小さくなる層があって、その層では不況脱却への機運が盛り上がらない、ということは十分にあり得そうだ。@pannacottaso_v2

2016-03-27 13:17:51
Kazuki Fujisawa @kazu_fujisawa

不況が来てそこら中でリストラが行われると、いいレストランも簡単に予約が取れるし、給仕も必死に働くからサービスもよくなる。メイドも安く雇える。新しいビジネスをするにも格安で優秀な人を雇える。価値ある資産を安く買える。資本家にとっては、不況は天の恵みみたいなものなんだ。

2016-03-26 23:53:56
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

高齢者としては「介護従事者を確保するために不況を維持しろ!」という強い信念があるとは思われない。 「世の中不況らしいけど、自分はあまり困っていない」という実感のせいで、不況が現実的な問題とは感じられない……ということが重要であるように思う。@pannacottaso_v2

2016-03-27 13:29:52
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

男女平等(それを維持するための家庭労働の外部化や、パワーカップル形成の実質的な推進)が格差を拡大することが知られていないのは、意図的に隠されているというより、ほとんどの人が知らないし、(情緒的な反発のせいで)同意されていないからではないか。@pannacottaso_v2

2016-03-27 13:31:56
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

不況維持政策それ自体が「おもねった結果」とは思われない。一般に不況対策を求める力が弱くなる経済的・制度的・文化的構造があると考えるのは自然なのではないだろうか。不況維持政策が正当化されるのは、不況が積極的に求められていることを意味しないのでは。@pannacottaso_v2

2016-03-27 13:39:44
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

例えば、高齢者にとって不況対策が現実的な必要性を帯びないのは、核家族化と社会保障の整備が進み、下の世代からの扶養の必要性が相対的に小さくなるにつれ、現役世代の問題に対する当事者性が小さくなったことも原因なのではないだろうか。@pannacottaso_v2

2016-03-27 13:41:52
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

この場合、高齢者は不況によって相対的に恩恵を受けた(非不況時よりも幸福になった)とは限らない。介護福祉の充実性は単に政策的にそこにリソースを振るかどうかの問題にすぎないし、政府が拡張政策を行うなら、むしろそこに焦点が当てられた可能性も高いからだ。@pannacottaso_v2

2016-03-27 13:46:28
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

政治家にとっては、高齢者等の有力有権者に阿るために不況維持政策をうちあげる必要など毛頭ない。そもそも有力有権者は不況対策が差し迫って必要なものだと認識していないのだ。不況対策が必要な現役層には政治参加に振り向けるリソースが残っていないこともある。@pannacottaso_v2

2016-03-27 13:50:23
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

不況によって介護福祉が相対的に選択可能な水準の職業になる構図は、政府の介護福祉重視政策によって好況内でも再現できる。(例えば、公共事業が批判されるのは、当該事業にリソースが集中してしまうというのが大きな理由である……ことも踏まえたい)@pannacottaso_v2

2016-03-27 13:56:38
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

政府が拡張政策を取るにあたり、介護福祉の拡張を不可避的に行うであろうという予想の根拠としては、これまでの政府財政の中で、公共事業が削られつつも社会福祉に関する支出は維持されてきたという政治的現実がある。これは票田による圧力を反映したものだろう。@pannacottaso_v2

2016-03-27 13:59:10
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

イノベーションの本当の源は高賃金econdays.net/?p=7928という議論を誤解を恐れずに敷衍すると、介護福祉の「ストック化」が進まないのは、むしろ介護従事者が低賃金で雇えてしまう経済的・制度的状況のせいで、ストック化の方が割高だからかもしれない。

2016-03-27 14:13:49
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

ストック化を全力で目指してはいるが、なかなか技術的なブレイクスルーが起こせないでいる、という可能性も十分にあることを留保しておきたい。 ただ、技術的なブレイクスルーを希求する誘因を、介護従事者の低賃金が多少なりとも削いでしまっているという可能性は依然残る。

2016-03-27 14:15:38
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

島本さんは、高齢者が不況維持政策を望むような、利害に基づく誘因があると主張しているのだけど、それに私が懐疑的な理由は、消費税増税に有権者が消極的にも賛同していた時期が存在していた事実にある。 もし本当に高齢者が純粋な利害に基づくなら、彼らにも害の及ぶ消費増税を選択しないはず。

2016-03-27 19:49:37
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

それでも消費増税を目指した理由は財政学者がお題目にしたように「負担を先送りしないため」だ。高齢者は現役世代の痛みにも鈍くなっている(社会保障が充実化し、核家族化が進行している)ので、消費増税による「自己犠牲」によって社会的困難を解決しようという「義憤」にかられる"余裕"がある。

2016-03-27 19:51:16
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

もし現実の利害によって行動していたなら、まだ利害調整というチャネルが期待できるが、消費増税賛成の動機は高齢者等の「義憤」に基づく「自己犠牲」なのだ。こうした信念的行動は、利害と違って制御修正が難しいのは周知のことと思う。利害と違って信念は、抵抗が許されないことがしばしばだ。

2016-03-27 19:52:37
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

いみじくもケインズ卿も「現実の利害の力は過大評価されすぎている」「本当に重要で危険なのは思想だ」という趣旨のことをおっしゃっていたと思う。 本当に問われるべきなのは、「社会的義憤の実現手段としての消費増税」を大衆に刷り込んだ学者・メディア、およびその思想の責任なのではないか。

2016-03-27 19:53:49
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

「現実の利害より思想が危険」という認識は、現実の民主政において吹き荒れた緊縮の嵐もよく説明できる。 ブキャナンja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8…は公共選択論に基づき、現代民主政が利益誘導を通じて財政赤字を慢性化させることを主張し、均衡財政を憲法化する必要性を説いた

2016-03-27 20:14:04
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

しかし実際は、民主国家において、緊縮財政が志向される事態がたびたび起きた。日本など、小選挙区制によって大衆の影響力が強化される中でも、インフレを慢性化させるような財政赤字は今まで現実になっていない。ブキャナンの公共選択論に、何らかの大きな瑕疵があることは明らかであると思える。

2016-03-27 20:15:27
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

私は、これを説明するのは信念、思想の力をおいて他にないと考えている。 人々はしばしば、現実の利害よりも、信念や義憤、ひいてはそのための自己犠牲を希求する性向を持っている。 とすれば、政策の転換には、利害ではなく、人々の信念に働きかけることが重要なのではないか。

2016-03-27 20:16:03
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

twitter.com/criticalmind_E… 投資増加と財政再建を両立する方法として、バブルを起こし、それを放置するという方法がある。 歴史的にも成果が確認されているが、その方策の結末に起こる悲劇についても実証されている。(白目) @skyred001

2016-03-27 20:42:56
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

鍵RT:高齢者にパンナコッタ程の状況分析能力は無かろう。

2016-03-27 21:06:44
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

おそらく5⇒8%の影響が顕在化する前のどのアンケートを見ても、最も票田として強力な男性高齢者に納税賛成派が多く、他のどの世代も納税反対が多数派の中で、反対派とほとんど拮抗している。(例えばこれchosa.nifty.com/money/chosa_re…@pannacottaso_v2

2016-03-27 22:46:47
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

また、世代全体的に保留見解も多く、消費増税が票田喪失案件たりえない(事実上容認された)世論だったと言っていいだろう。少なくとも、政府が増税を判断するにあたって、その票田上のダメージが限定的であることはよく熟知されていたと考えられる。 @pannacottaso_v2

2016-03-27 22:50:10
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

数ある税の中で、高齢者の負担が相応に発生する数少ない税である消費税をわざわざ容認するというのは、消費増税を選好する経済学界隈とのシナジーがあったこともあるが、「その程度の負担」なら高齢者にとって義憤・信念と両立できたということを意味するだろう。 @pannacottaso_v2

2016-03-27 22:58:30
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

また、消費税増税の容認は高齢者に限るとしても、歳出削減に関しては全世代的な支持を得られるということも強調しておく価値がある。(これは、ブキャナンの公共選択論と強烈に矛盾するところだ) 民主主義が強力な国々で緊縮病が流行る一方、共産党独裁国家が粛々と財政出動を進めている皮肉がある。

2016-03-27 23:30:01