その前のエルフさん
「お姫さま! 落ちついて! しっかりしてください!!」 「う、うん。わかった。落ちついた。落ちつきました。もう大声出さないので抑えつけないでください」 幼女に取り押さえられて、服従の姿勢を見せる私。
2016-04-01 00:22:30今わかってるのは、私が戦国中期の武将、真里谷信勝の娘、初音の体に憑依した? 状態だってこと。 なんで金髪なんだ。ってのは盛大なツッコミどころだけど、まあ置いといて、正確な年代が知りたい。
2016-04-01 00:26:15「……ところで、まつ。今は何年だったかな?」 「……永正の10年ですけれど」 ……1513年か。やっぱり戦国時代中期。 関東じゃ永正の乱――関東の権力者を丸ごと巻き込んだ大乱まっさかりか……まあ、上総国はまだマシな状況……まてよ?
2016-04-01 00:27:22「ねえ、まつさん? さっき旦那様に続いて、とか言ってた気がするけど、旦那様って私の旦那様だよ、ね?」 問いかけると、まつは「そこまで忘れてますか」とため息をついてから。 「はい。お姫さまの旦那様は、平安以来の名家、相模三浦家の当主、三浦荒次郎義意(よしおき)様です」
2016-04-01 00:28:22相模三浦!? 三浦荒次郎!? まってまって! それ北条早雲に一族もろとも滅ぼされる武将の名前っ! その夫人!? 巻き込まれる! ぜったい巻き込まれちゃう! 死ぬ、死んでしまうっ!
2016-04-01 00:29:53いや、いまは永正10年。 三浦が滅びるまであと3年もあるじゃないか。 新井(あらい)城に雪隠詰めにされる前なら……3年前ならギリギリかっ!?
2016-04-01 00:31:27「ねえ、まつさん。ここはどこだったかな?」 「新井城です。まったく、伊勢宗瑞(いせそうずい)の大軍に囲まれてるこんな非常時に……」
2016-04-01 00:32:33まあ、あれだ。 詰んでるっていっても、3年は猶予があるじゃないか。私一人くらいなら逃げられなくもないだろう。たぶん。
2016-04-01 00:39:26しかも死んだ後も首が三年腐らなかったとか怨霊めいた逸話もあったりして、どこを切っても恐ろしいイメージしかない。 きっと超強面のガチムチマッチョに違いない。しかも年齢的に思春期真っ盛りだ。抱かれない理由がまったく見当たらない。
2016-04-01 00:43:46