- tasobussharima1
- 633
- 1
- 0
- 0
「……まさか村の中に、得度兵器に攫われてきた方があれ程居たとは」 「恐らく、お前さんの言うように徳エネルギー兵器に耐性を持った者達なのだろう。何度か、得度兵器が村の中へ置いて行ったことがある」 「過去にも、得度兵器が現れたことがあるのですか!?」
2016-04-02 21:04:06「あれ程巨大なタイプが直接現れたのは、今回が恐らく初めてだがな……しかも、戦闘用なのだろう。今までが大丈夫だったからと言って、次も平気とは限らん」 タイプ・バトウの機能停止から数日。肆捌空海は少年の祖父と、そして地下施設を知る僅かな老人達と共に地下施設の探索を行っていた。
2016-04-02 21:08:07村の人々は突如として失われた平穏を辛うじて受け入れ……『事情』を知る人間達の手により、村はどうにか来るべき戦いへの準備を進めている。 得度兵器相手に戦い続けるため、今できることは大きく3つ。一つは、村の人間達から『奇跡』を扱う素質のある人間を選び、覚醒者として修行を積ませること。
2016-04-02 21:12:05とはいえ、これは即座に結果の出るものではない。素質がある人間が居るのかも、まだわからない。 二つ目はタイプ・バトウの残骸を解体し、武器や部品を抜き取り再利用すること。あの少年も参加し、農業用重機で既に解体は始まっている。だが、得度兵器の構造に通じる人間が居ない現状では困難な道だ。
2016-04-02 21:16:04そして……三つ目。地下施設の探索。村の命運は、この作業にかかっているとも言えた。200年程前に建造された、人類最盛期の遺物。その中には得度兵器に対抗する手立てが埋まっているやもしれない。或いは、肆捌空海が使用したような脱出口の類が他にもあれば、村から逃げ出せるかもしれない。
2016-04-02 21:20:05ブッシャリオン! …ええっと、世代移民船にむけた実験設備向けた『冷蔵庫』があるんでしたっけ #徳パンク #そこ協調するとこじゃない
2016-04-02 21:23:58状況は何一つ好転してない。寧ろ悪化したとさえ言えるだろう。だが……村を縛っていた得度兵器の見えない鎖は、『見える鎖』へと姿を変えた。 見えぬものと戦うのは難しいが、見えるものと戦うことは、それに比すれば容易い。だからこそ村人達は、安寧しか知らぬ者達もまだ、戦うことができている。
2016-04-02 21:24:02「地下施設の中には、儂らの知らぬ領域が確かにある。だが……わからぬならば、聞けば良い」 老人は空海に向かい、そう言った。この数日。空海と老人達は、闇雲に施設を探索していたわけではない。施設の電源を復旧していたのだ。 彼等が居るのは、あの『主・モニタールーム』だ。
2016-04-02 21:28:04『PLAN DAEDALUS』 ホロモニタに、幾度か見た起動画面が表示される。地球めいた惑星を囲む翼の紋章。いや……プラン・ダイダロスが星を渡る移民計画であったならば。その惑星(ほし)は、地球ではないのだろう。 『プラン・ダイダロス、ケースC隔離実験クレイドルへようこそ』
2016-04-02 21:32:09対話型インターフェイスが起動する。 『施設は既に破棄、計画は南極拠点へ移管されています。当施設に御用の方はそのまま話しかけてください』 「この施設の概要を教えろ」 『当施設は、プラン・ダイダロス、ケースCのための基礎研究拠点の一つです』 今回は、電源が落ちることはない。
2016-04-02 21:36:03『閉鎖空間都市を用いた大規模徳エネルギー機関の長期的検証、そして得られた徳エネルギーを利用し、大規模演算施設による高度なシミュレーションを提供し……』 古の機械は求められるまま説明を続ける。 「……待て」 老人達の中の一人が、コンピュータの説明を制止した。 「大規模演算施設だと」
2016-04-02 21:40:09『当施設は、最新鋭の徳エネルギー流体演算器を導入しています』 老人達がざわめきだす。恐らく彼等の知らない施設なのだ、と空海は判断した。村の人間達はここまで地下の施設に注意を払ってこなかったというのだろうか。 「それは、何処にある」 空海は機械に問う。
2016-04-02 21:44:02