元紛争地の声と悩み―平和たんの旅日記―

旅で見聞きした3つのエピソードを通じて、私が旅で何を得てきたのかを書きました。
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平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

夜も更けてきたね。そろそろ始めようかな。 ゆるーい予告しただけで、時間帯は指定してなかったんだけど、この時間にしました。旅の報告の始まり始まり~

2016-04-04 00:25:16
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

元紛争地の声と悩み―平和たんの旅日記―

2016-04-04 00:27:16
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

前も報告したんだけど、いろいろな元紛争地を3か月くらいかけて旅をしてきました。「元」なので、私自身は危ない目にはあまりあわなかったよ。ただ、10日目くらいで携帯電話を盗られちゃったんだよね…新しく買う余裕がなくてアナログ生活してたよ…。

2016-04-04 00:28:19
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

旅の中で聞いてきた話を皆さんに伝えられる範囲でしたいと思うんだ。ただ、日本での紹介自体は了承してくれたけど、具体的な国名とかを挙げちゃうのもダメって人もいたから、あまり自由度は高くないんだけど…私自身もどこの国だからどうっていうバイアスをかけてみてほしくないんだ。

2016-04-04 00:29:31
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

現代の紛争を体験してない私たちが紛争をどう考えればいいのか、そのヒントにしてもらえればな、と思うよ。私が聞いた範囲で、だけど、現地の人が何に悩んだのかが見えてくると思う。その悩みを明らかにするために、特に印象深かった3つのエピソードを紹介するよ。

2016-04-04 00:31:10
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

1. 「誰も」家族を守れなかった Aさんはアフリカによくあるイメージの村に暮らしていた7人家族の子供で、長男だった。紛争が起こったときは17歳だった。1日1人3ドルで暮らしていた。でも、テレビがあって普通にニュースを見たり聞いたりしてたんだって。

2016-04-04 00:33:46
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

そんなAさんはニュースを見ていて、ある日不穏な空気を感じ取った。ニュースによると中央政府のほうでAさんの所属する民族(X族)と違う民族(Y族)が対立を始めたんだ。Aさんの家族は移住者で、Aさんの村ではX族は少数派だったんだけど、中央政府の大統領はX族出身だった。

2016-04-04 00:35:02
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

中央政府での対立はこうだ。X族が人事の面で自分の民族を優位において民族として利益を独占している、それは民主主義の原則に反するではないか。いやいや、X族はきちんと利益配分を行えるよう努力しているではないか。このなかで、Y族の議員がX族は殲滅されるべき汚いごみだ、と言ったんだ。

2016-04-04 00:35:37
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

Aさんは家族にすぐに逃げようと提案した。家族は取り合わなかった。Aさんは稼ぎ頭として一人村を離れるわけにもいかず、そこに残ったんだ。3日後。昨日まで仲良くしていた隣の家族がX族を殲滅せよ!と叫びながら、Aさん一家の家を破壊し、家族を殺したんだ。その後、村全体で暴動になった。

2016-04-04 00:36:51
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

Aさんだけは兆候に気付けた。でも怖くなって逃げだした。家族を置いてね。そして、村のX族はAさん以外すべて殺された。警察は機能しなかった。賄賂があったんじゃないかってAさんは言ってたよ。その後、暴動はX・Y族の和解で半年もたたずにおさまり、Aさんは都会の別の町で暮らし始めた。

2016-04-04 00:38:02
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

Aさんは言ってたよ。昨日までよき友人だった隣人が自分たちを殺す悪魔になった恐怖はいまでも忘れられない。そして、「なぜ誰も助けてくれなかったのか」という思いと「なぜ自分で守ろうとせず逃げ出してしまったのか」という思いの板挟みで、今も悪夢をみる。

2016-04-04 00:38:56
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

政治家も暴動にならないよう努力はしてたけど、もっとうまくやれば暴動はおこらなかったかもしれない。Aさん一家を助けられたのは警察だった。でも暴動を止めようとすらしなかった。助けを求めても守ってくれなかった。予防と予防が失敗した時の対応こそ、人の命と人生を左右するとAさんは言ってた。

2016-04-04 00:39:31
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

2. 空爆の功と罪 次に、ヨーロッパのとある国のBさんの話。 Bさんは普通の一般市民だったんだけど、ある日おこった紛争に巻き込まれて、そのなかで他国の軍隊の空爆によって夫と子供2人の命を奪われたんだ。でも、その状況はかなり特殊だった。Bさんと家族は拷問を受けていたんだ。

2016-04-04 00:40:28
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

Bさんは大人の女性ということもあって家族とは別の建物で拷問を受けていた。空爆はBさんの家族が拷問を受けているすぐ近くの建物を破壊した。その空爆があって、拷問していた人たちは散り散りになって逃げた。Bさんは傷ついた体で家族を探した。3人とも隣の建物で爆発に巻き込まれて死んでいた。

2016-04-04 00:41:28
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

Bさんは悲しみはもちろんだけど、心の中に矛盾する2つの気持ちを抱えて生きることになった。空爆はBさんの命を救ってくれた。隣の女性は拷問中に死んでいたんだ。このままではBさんも殺されるかもしれなかった。だからBさんは最初空爆に感謝した。でも、空爆はBさんの家族の命を奪った。

2016-04-04 00:42:42
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

感謝と憎しみの板挟みにあってBさんは狂いそうになりながら、その後必死で逃げ延び、紛争終結してからは普通の生活がを送れていた。でも、その出来事から10年以上経過した今でも気持の整理はついてないみたいだった。自分を救い、家族を殺したあの国の空爆をどう評価していいか、わからないんだ。

2016-04-04 00:43:57
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

3. 社会に託した心の重荷 Cさんはその国の治安維持部隊の一員で、紛争が完全には収まってないけど暴動が散発する状況にあるなかで治安維持の任についているごく普通の人だ。

2016-04-04 00:44:59
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

今はそんなことはほとんどないらしいんだけど、本当に激しい暴動がおこったときは射殺の許可もでていて、Cさんも暴動によって無辜の市民が殺されるのを黙ってみているわけにはいかなかったから、何度も発砲したことがあって、何人もケガさせたし、射殺したこともあった。誤射もあったみたいだよ。

2016-04-04 00:46:25
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

暴動側の人間も貧困などに苦しんで仕方なく参加している人、単に国家を転覆しようとたくらんでいる人、とかいろいろといるのをCさんは知っていた。でも、他人を襲う人にいちいちあなたはなぜ暴動に参加しているのか聞けるはずもなく、発砲に躊躇して、襲われた人が死傷することも何回もあった。

2016-04-04 00:47:04
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

Cさんは心のバランスを崩しかけた。そんなとき、PKOで治安維持の訓練をしてくれていた人はこういった。「確かにあなたは人の命を奪い、また見殺しにした。しかしそれはあなた個人の選択ではない。社会があなたに託した選択だ。だから、選択によって生まれた心の重荷は社会に託したらどうだ」って。

2016-04-04 00:48:16
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

Cさんはその言葉のおかげで、自分だけで背負おうと必死になっていたのを社会に半分託すことができた。軍隊や治安維持を担う人間は人の命・死を背負う人間だ。なぜそんな重荷を背負うことができるか聞いてみたけど、それは社会の誰かがやらないといけないからだ、ってCさんはいってたよ。

2016-04-04 00:49:08
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

4. 私の雑感 ここからは私の雑感です。 ここで紹介した3つのエピソードは印象深かったものを特に3つピックアップしたもので、ほかにもたくさんの人とあったよ。内戦を含めて戦争はいかん早くやめろという人もいたし、戦争の必要性をやたらと強調した人もいた。本当にいろんな人がいたよ。

2016-04-04 00:50:12
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

でも、彼らには共通点があったと思う。実体験に基づいて、人の命・死と真剣に向き合っていたってことだ。そして共通の悩みは人の命と死をどう考えるのかってことだった。何のためにあの人は死んだのか。何のためなら人の命を奪っていいのか。なぜ自分は生き残ったのか。何のために、何のために…

2016-04-04 00:52:12
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

「戦争反対」という言葉はそういう彼らの心には響かないし、悩みも解決しない。戦わないと死ぬ人たちがいて、戦っても死ぬ人たちがいることを知っているからだ。なぜ戦争は起こるのか。なぜ戦争を防げなかったのか。なぜ戦争反対なのか。なぜいかなる場合も人の命を奪ってはいけないのか。

2016-04-04 00:53:21
平和たん【手動休止中】 @heiwa_tan

彼らだって、誰も戦争は望んでない。でも戦争がもし起こったら。誰が守るのか。守る人たちは何を奪い、何を背負わないといけないのか。社会は彼らに対して何ができるのか。どんな言葉をかければいいのか。かれらの何を背負えるのか。紛争地の人たちはこれらについて悩んできたんだ。

2016-04-04 00:54:25