【電波光忠botまとめ】本丸サテライトスタジオ#3
俺の隣にはいつだって俺の光忠がいる。それがほんとうに稀で幸福なことだというのはよくわかっているつもりだ。俺は光忠ほど聡くはないが昨日、刃がぶつかりあう音を確かに聞いた。いつかの時代の俺はまた眠ったらしいが、俺と存在を一にするものの歓喜は確かに届いている。……その結果がこの桜だな。
2016-04-03 09:25:43紅を薄く薄くのばしたような色の花びらが、光忠の鼻の先にひとつ乗っている。しあわせの、かたちだ。俺の光忠が願ったように、今日の俺もいっとう最初に光忠を、桜に彩られた俺の光忠を見つけた。月を溶かして嵌め込んだ光忠の瞳が、俺を映すのはいつだろうか。待ち遠しいが、起こすのは可哀想だ。
2016-04-03 09:31:44ふわっふわの薄ピンクの海だよ、心地よすぎて随分ゆっくりな朝になってしまったな……おはよう。僕の春が呆れ顔で鼻に乗った花びらを取ってくれた。
2016-04-03 11:21:58部屋いっぱいの桜を片付けていたらもう昼時を過ぎてしまった。朝も昼も食いっぱぐれたが、光忠が箪笥から饅頭を二つ出してきた。ひとつは漉し餡で、ひとつはずんだ餡の饅頭を、ちょうど半分ずつして食べる。開け放した障子から、春の日差しが差し込んでいる。
2016-04-03 13:00:19花残月三番、桜の海にて目覚める。目当て星頭上、快晴。直ちにKの旗を揚げる。天気管、溶液に濁り無し。沈殿結晶は昨日に引き続き鱗状。 ……晩のおかずは飛龍頭にでもしようかな。
2016-04-03 13:30:56梅雨のことを思うと気がめいる
本日は雨。光忠の寝癖より俺の寝癖の方がひどくなる日だ。…………梅雨のことを思うと気がめいるな。
2016-04-04 10:00:51大倶利伽羅の髪の毛は見た目よりも柔らかでもちこの首まわりと同じような手触りがする。襟足はあんこの尻尾の先に似ているかな。でも僕はもちことあんこに触れるよりも大倶利伽羅の髪に触れるほうが好きだよ。なんだか気持ちが和らぐからね。ふんわりしなやかで撫でていると眠たくなる……。
2016-04-05 11:39:18僕のつむじはふたつあって、片方は左巻きでもうひとつは右巻きなんだよ。これはコイルだから、前頭葉と頭頂葉に発生する磁界に差異が生まれるわけだね。僕が他の男士に比べて電磁波に敏感なのはそのせいなんじゃないかな。今日もあちこちから花の咲く声が聞こえる。
2016-04-05 12:04:43とりあえず葛根湯を飲むね
今日のお昼はホットケーキと新玉ねぎのスープだよ。それとキャベツに人参を加えたザワークラウトに、厚切りのベーコン。出来立てを食べてもらいたくて大倶利伽羅を探していたら、庭の桜の下でもちことお昼寝していた。
2016-04-08 12:30:04舞い落ちる花びらの中で眠る大倶利伽羅はとても綺麗だ。なんでか少し、息が苦しい。心臓の表面がむず痒い感じがする。もう少し眺めていようかな。今日も暖かいね。
2016-04-08 12:39:34風邪でも引いたのかな、お昼寝を見てしまってから、大倶利伽羅を前にするとなんだかこう、こう……背筋がざわつく気がする。いや、いつも通りに嬉しいのだけど、なにか……なにかが違う。これは……どういうことだろう、困ったな……。
2016-04-08 16:25:14お昼からどうも、おかしい。交感神経幹になにか悪質な妨害電波が入り込んで、大倶利伽羅、君何を、いや大倶利伽羅が僕に悪いことをするはずがないんだ。ないのに、彼を目にすると瞳孔が開く。鼓動が速まる。酸素が薄まる。大倶利伽羅、これは、どういう。
2016-04-08 17:48:23今日も緑の小山がひとつ。いつもと違うのはお供え物のように湯のみが枕元に置いてあることだ。……この臭い、葛根湯だな。すっかり寝ているようだし夕飯は食べそびれるだろう。粥でも作っておいてやるか。ちょうど初物の桜海老を買ってきたところだ。
2016-04-08 19:37:47センサーのようなものを、僕は持っていて、大倶利伽羅の音だけ、どんなに他の声に紛れていても、寝ていても、分かる。足音が聞こえた。息を吐いたのを感じた。きっと、少し笑って。身体が重くて、まだ頭があちら側にある、ので、目が開けなかった。彼が笑うところ、ちゃんと見たかった……な………
2016-04-08 20:27:09