- tasobussharima1
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黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
それは、見上げる程の仏像だった。巨大仏はゆっくりと歩行しながら、僧侶と悪漢達へ向かって歩みを進める。 僧侶の祈りが救いを呼び寄せたのか?否。彼等こそが、アフター徳カリプスの地上の支配者。 人類総解脱を掲げる機械知性の下僕達。自律成仏機械(ブッダ・エクス・マキナ)、得度兵器である。
2016-04-05 21:16:04
黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
得度兵器……タイプ・ブッダ。その巨大な足が歩みを止め、額の白毫が淡い桃色の煌めきを放ちはじめる。それは失われた文明、徳エネルギーの輝きだ。僧侶は思わずその場でタイプ・アミダを拝み始めた。極限の状態下で、得度兵器を仏像と見紛えたのだ。暴漢達は本能的恐怖に基づき一目散に散った。
2016-04-05 21:20:01
黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
このままでは、次の瞬間にはタイプ・ブッダの放つ徳エネルギー兵器……人を解脱させる光線によって、僧侶は仏の悟りを開くことなく輪廻の輪から解き放たれてしまうだろう。それが幸福であるのかは、仏道を志さぬ者にはわからぬことだ。 だが、そうはならなかった。解脱の時は訪れなかった。
2016-04-05 21:24:00
黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
「行くぞ、ガンジー!」 「おうさ、クーカイ!」 土中に潜伏していた二人の男逹が、ステルスシートを払いのけ現れる。 その手には、長い棒のようなものが握られている。一人は、大柄なバンダナを巻いた男。もう一人は、ゴーグルを付けた比較的小柄な青年。彼等の名はクーカイとガンジー。
2016-04-05 21:28:01
黄昏のブッシャリオン
@tsbsrion
二人は本来は徳遺物を漁る採掘屋だが、今は故あって得度兵器を相手に戦っている。彼等は、得度兵器の接近を察知し……この機会を伺っていたのだ。 「うぉら!!」 やや小柄な男、ガンジーは真っ先に棒の先端を得度兵器の脚関節部に捻じ込み、一目散に逃げる!クーカイも同じ事をし、彼の後へ続いた。
2016-04-05 21:32:07