「パナマ文書」に登場したプーチン大統領の友人セルゲイ・ラルドゥーギン氏てどんな人?/4年前の取材メモから

タックスヘイブン(租税回避地)に世界の要人らが関わる法人の設立手続きをしたとされるパナマの法律事務所の内部記録「パナマ文書」が流出し、各国のメディアで報じられていることが話題になっている。この中に登場し、多額の資金が法人に流れ込んでいたことが明らかになったプーチン大統領の友人でチェロ奏者のセルゲイ・ラルドゥーギン氏とはどんな人物なのか。4年前に直接取材したときのメモから人となりなどを紹介します。
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関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine

パナマ文書1)タックスヘイブン(租税回避地)に世界の要人らが関与する法人設立に関与したパナマの法律事務所の内部文書、いわゆる「パナマ文書」が話題になっています。この中に出てくるプーチン大統領の友人セルゲイ・ラルドゥーギン氏にかつて取材したことがあるので、報告したいと思います。

2016-04-06 20:00:26
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パナマ文書2)取材したのは4年前。プーチン氏が大統領に返り咲いた直後でした。当時はもちろん、パナマ文書の存在は明らかになっていなかったので、テーマはプーチン氏の人となりについて、極めて近しい人物の一人として取材しました。

2016-04-06 20:04:33
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パナマ文書3)今回、パナマ文書のからみでラルドゥーギン氏を初めて知ったという方もいらっしゃるかと思います。日本ではなじみのない方だと思いますので、彼の人となりやプーチン氏との関係を、当時の取材メモから少しだけ紹介していきたいと思います。

2016-04-06 20:06:42
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パナマ文書4)取材は2012年6月。当時、ラルドゥーギン氏は、プーチン氏のふるさと、サンクトペテルブルクにある音楽施設「サンクトペテルブルク音楽の家」のトップを務めていました。今もそうだと思います。そして、彼はチェロ奏者でであり、プーチン氏の最も近しい友人の一人と言われています。

2016-04-06 20:10:08
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パナマ文書5)ちなみに当時の取材目的は、プーチン氏が大統領に返り咲くにあたり、それに反対する「反プーチン集会」が相次いだのですが、それでも当選したことについて、国民がプーチン氏を支持する理由はどこにあるのか、プーチン氏とはどんな「素顔」を持っているのかに迫る、ということでした。

2016-04-06 20:14:59
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パナマ文書6)ラルドゥーギン氏によると、プーチン氏との出会いは1977年のことだったそうです。ラルドゥーギン氏がちょうどレニングラード(現サンクトペテルブルク)音楽院を終え、1年の兵役に就いていたころでした。ちなみにプーチン氏はそのとき、兵役にはついていなかったとのことです。

2016-04-06 20:19:42
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パナマ文書7)プーチン氏はこのとき、すでにKGBに勤務していたが、出会った当初はそれを明かさず、「特別警察で働いている」と話していたようです。ある程度仲良くなってから、KGB職員であると認めたとのことです。

2016-04-06 20:21:54
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パナマ文書8)ちなみにラルドゥーギン氏にとってKGBはある意味、「身近な」存在だったようです。彼はレニングラード・フィルハーモニーに所属し、海外公演に行く際は必ず、監視役としてKGB職員2人が同行していたからです。

2016-04-06 20:24:13
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パナマ文書9)ラルドゥーギン氏はKGB職員の印象として、こう話しました。「彼らはとても親しみやすい人たちだった。親切で助けもしてくれた。怖がるような人たちではなかった。一緒によく酒も飲んだ。極めて普通の人だった。しかし、彼らは国政の批判はしなかった」

2016-04-06 20:26:31
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パナマ文書10)そして出会ったころのプーチン氏の印象について、こう話しました。「ワロージャ(プーチン氏の愛称)は色んな事をよく知っていた。特に歴史が好きで、話が面白かった。『私はチェロ奏者だが、君は一体何をやっている人?』と尋ねると、『私の専門は人々に接触することさ』(続く)

2016-04-06 20:29:32
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パナマ文書11)彼は歴史だけでなく、政治も詳しかった。私たちが学校で習ったこともないようなことをよく知っていた」。

2016-04-06 20:31:26
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パナマ文書12)そしてラルドゥーギン氏の話は、プーチン氏のKGB時代のことにもおよびます。「ワロージャは大学の法学部を出た後、まずKGBに入るための準備機関に入った。そこでは、政府の公式見解以外の真実が教えられた。私たちに説明されてきたこととは別のことを」

2016-04-06 20:34:54
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パナマ文書13)プーチン氏はドイツ語に堪能と言われています。その語学力についてもラルドゥーギン氏は教えてくれました。「ワロージャは本当にドイツ語が上手だった。おそらくKGBで習ったのだろう。ネイティブ話者に接近できるように」

2016-04-06 20:38:42
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パナマ文書14)自らとの出会いをきっかけに、プーチン氏がクラシック音楽に興味を持ち始めたこともラルドゥーギン氏は証言します。「ワロージャは知りたがり屋だった。クラシック音楽について興味を持ち私によく質問した。『なぜクラシック音楽が必要なのか、歌やステージでは不十分なのか』(続く)

2016-04-06 20:43:44
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パナマ文書15)。『世の中、若者はクラシック音楽に興味がなく、年配者は逆に好きだ。どうやったら若い人たちが聞くようになるか』など、など、ワロージャは興味津々でした。よくコンサートに一緒に行きましたが、クラシック音楽の聴き方も説明しました」

2016-04-06 20:46:08
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パナマ文書16)クラシック音楽好きが高じて、プーチン氏は2人の娘に音楽を学ばせたそうです。「プーチン氏は子供ができたとき、音楽家にしたいと思った。彼は私に娘らを音楽家にしてほしいと頼んだ。私は彼女たちにバイオリンを教えたり、音楽学校選びで助言したりした」とラルドゥーギン氏。

2016-04-06 20:48:08
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パナマ文書17)クラシック音楽の話から、話題は次第にプーチン氏の人となりに移っていきます。ラルドゥーギン氏いわく、「彼が熱中したのはクラシック音楽だけではない。英語やホッケーも熱心に学んだ。これは彼の性格。全力を傾けないと気が済まない。とにかく負けず嫌いなんだ」。

2016-04-06 20:51:02
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パナマ文書18)政治的な話題にも触れます。「大統領選前、ワロージャに聞いたことがある。『君は軍隊はよくできるのか、規律をただすとできるのか?』と。すると彼は言った。『約束できない。頑張るけどすぐには変わらないだろう』。彼は決して『空手形』を切らない男だ」とラルドゥーギン氏。

2016-04-06 20:53:59
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パナマ文書19)そして、ラルドゥーギン氏は、プーチン氏が常にロシアの国益のことを考えていると強調します。「彼は国に忠誠を尽くす人間。彼の親友が彼と面会しようとしたところを見たことがある。プーチンは激高してこう言った。『友情は友情。だが今は国家に関わる業務の邪魔だ。出て行け!』」

2016-04-06 20:59:39
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パナマ文書20)プーチン氏は当時、ロシア帝国の政治家ストルイピンを再評価するべきだと発言していました。改革者ではありながら、革命派を弾圧したことから、ソ連時代は悪い評価をされていた人物です。プーチン氏の発言の真意に興味を持った私はラルドゥーギン氏に聞きました。彼はそれに対し、

2016-04-06 21:07:57
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パナマ文書21)「ストルイピンについてはソ連時代はネガティブなイメージがあった。しかし、プーチンは違う視点を持っていた。彼はストルイピンの改革の有益な面を知っていた。ストルイピンは傑出した改革者だったが、今日この国にいるような破壊的勢力によって殺された。(続く)

2016-04-06 21:10:27
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine

パナマ文書22)だが、ワロージャが自分とストルイピンを重ねているとは思わない。彼は自分をほかの誰かと較するようなことはない。なぜなら、ワロージャは自分のことを歴史上の人物のような偉人とは思っていないからだ。(続く)

2016-04-06 21:12:17
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パナマ文書23)ワロージャはとても謙虚な人間だ。だが、彼は使命を感じている。ロシアの国益に邁進するという使命を。彼は近しい人たちにもそれを語っている。例えば私が大統領としての『戦略』を尋ねたところ、彼は言った。『そんなものはない。あるのは使命感だけだ』。(続く)

2016-04-06 21:14:00
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine

パナマ文書24)使命とは、ロシアに尽くし、ロシアを強くするということだ。ワロージャは個人的な栄光を求めない。野心もない」。

2016-04-06 21:16:04
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine

パナマ文書25)プーチン氏はしばしば厳しい発言をすることで知られます。これについて、ラルドゥーギン氏いわく、「彼はしばしば政治家がするような、あいまいな言い回しはしない。すべて直接的な物言いをする。これに対し、好き嫌いはあるだろう。だが、わかりやすい。(続く)

2016-04-06 21:24:00