「天衣無縫」 「夫婦善哉」とかは長めなのでチョイとハードルが高いけど、こっちは青空文庫に入ってるし短い。 #織田作之助生誕祭2016 な今日の読書タイムにサクッと一作、どうですか☆ (終) #もだもだ文学散歩
2016-10-26 12:58:30青年たちはいつでも本氣に議論をしない。お互ひに相手の神經へふれまいふれまいと最大限度の注意をしつつ、おのれの神經をも大切にかばつてゐる。むだな侮りを受けたくないのである。 【太宰治「道化の華」】 久々に #もだもだ文学散歩 するよ!って…あァん(いきなり痛恨の一撃を受け倒れる)
2017-09-03 22:16:05心中しようとして女だけが死に、自分だけ生き残ってしまった男が、病室を見舞いに来る友人肉親や看護婦、別病室の患者などとの数日間を過ごす様……を描く「小説家」が語り手!というメタ的な仕掛けがある小説。太宰が何人入れ子になってるんだ!わあああああ!!
2017-09-03 22:20:01ということで、以下は小説を書きながらもだもだしている作中の「小説家」の創作光景から抜粋。一次創作屋さんにはきっと刺さります…ぐっさりと…。
2017-09-03 22:22:45僕は、このふだん口馴れた地獄の門の詠歎を、榮ある書きだしの一行にまつりあげたかつたからである。ほかに理由はない。もしこの一行のために、僕の小説が失敗してしまつたとて、僕は心弱くそれを抹殺する氣はない。 【太宰治「道化の華」】 でもこの「書きだし」にいきなり註を入れちゃうんだね…
2017-09-03 22:24:22ああ、許し給へ。どんなまづしい作家でも、おのれの小説の主人公をひそかに神へ近づけたがつてゐるものだ。されば、言はう。彼こそ神に似てゐる。 【太宰治「道化の華」】 なるほど…そういう人は多いかもなあ。個人的には同意しかねるけど。
2017-09-03 22:25:16彼等は、僕の稚拙な筆をもどかしがり、勝手に飛翔する。僕は彼等の泥靴にとりすがつて、待て待てとわめく。ここらで陣容を立て直さぬことには、だいいち僕がたまらない。 【太宰治「道化の華」】 キャラが勝手に動くんだもん!!ってやつだコレ!!(レベルが低い感想)
2017-09-03 22:26:05ああ、僕はまだしらじらしい嘘を吐いてゐる。(中略)僕はなぜ小説を書くのだらう。困つたことを言ひだしたものだ。仕方がない。思はせぶりみたいでいやではあるが、假に一言こたへて置かう。「 。」 【太宰治「道化の華」】 最後に、あざといけどゾクッときたトコを。ネタバレ空白にしてます。
2017-09-03 22:28:23「エナコは耳男の耳を斬り落した懐剣でノドをついて死んでいたのよ。血にそまったエナコの着物は耳男がいま下着にして身につけているのがそれよ。身代りに着せてあげるために、男物に仕立て直しておいたのです」 【坂口安吾「夜長姫と耳男」】 うわあ…キャラ濃すぎだろ!! #もだもだ文学散歩
2017-09-17 17:36:4213(16)歳の姫と、彼女に与える持仏を彫るため召集された才気ある若い匠がメインキャラクターで、主眼は匠が創作に打ち込む話なんだが…なにせ姫のキャラが濃すぎて最後まで目が離せない。
2017-09-17 17:52:52ヒメの笑顔に生き生きと感動がかがやいた。ヒメは頭上に手をさしのばして垂れ下っている蛇の白骨の一ツを手にとろうとした。その白骨はヒメの肩に落ちくずれた。それを軽く手で払ったが、落ちた物には目もくれなかった。 【坂口安吾「夜長姫と耳男」】 短めな作品で、とても読みやすいですよー。
2017-09-17 17:54:32ちなみに、ワタシが割とガッツリねっちり読み込んだ作品をキャスるとこんな感じ。文学作品は下調べが大変なんだけど楽しいよ。……需要あるかね? 前編 twitcasting.tv/whirlednest/mo… 後編 twitcasting.tv/whirlednest/mo…
2019-06-22 16:19:47(名を後世に残さんとする者は、後世に生命あるであらう芸術家に何でもかまはず喧嘩を売ることです………) 【芥川龍之介「ポーの片影」】 ポーの全集を編集した男が事あるごとにポーに噛み付いてたってことに対する芥川のコメント。そ、そうね……www #もだもだ文学散歩
2019-06-29 13:23:34彼は文中終始最上級の言葉ばかり使用する癖がありました。だから褒める場合は九天の高きに迄持上げます。けなす場合は九仞の底まで落します。 【芥川龍之介「ポーの片影」】 ポーの辛口批評→「悪いとこは沢山あるけど、一番の間違いはコレ印刷した事だね」……こりゃ嫌われるわ! #もだもだ文学散歩
2019-06-29 13:26:56彼の唯一の友人ローヱルさへ、彼ポーは毒薬とインキ壺と間違へてゐるといつた位で、彼の筆端は火を吐いて辛辣に、人に迫つたのです。だから、彼には味方といふものは殆んどありませんでした。 【芥川龍之介「ポーの片影」】 罵倒非難した物の方が遥かに多かったと……う、うん。 #もだもだ文学散歩
2019-06-29 13:31:00作品の美点は(中略)自然に現はれ、自然に感得されるのでなければ美点ではない。 (中略)従つて、批評の使命は美点を挙げるより欠点を指摘するにある。といふのです。 【芥川龍之介「ポーの片影」】 ポー曰く、批評家の使命は誰にでもわかる美点を書くのではなく「アラ探し」。 #もだもだ文学散歩
2019-06-29 13:31:53彼は結局、詩は百行内外が最適であると云つてゐます。小説に対しても、一度に読み切り得るものでなければならないと主張してゐるのです。 後代に迄残る作品は短いものだと断言してゐるのです。 【芥川龍之介「ポーの片影」】 ポーの洞察力に感動し、偉大なる先駆者と讃える芥川。 #もだもだ文学散歩
2019-06-29 13:39:33然しながら、今日ポーの偉大さを疑ふものはありません。偉大なる人は遂に後代をまつより仕方がないものかと思はれます。 【芥川龍之介「ポーの片影」】 ポーの晩年がいかに不幸で寂しくあったかを述べた後の、締めの文。文豪が先人を慕う文章スキーとしてもだもだせざるを得ない。 #もだもだ文学散歩
2019-06-29 13:49:08「嘘をつく快楽が同時に真実への愛であることを、彼は大いに自得すべきである」 【織田作之助「可能性の文学」】 織田作、太宰、安吾が出てくる小説を読みたければぜひ。ジイド好キーやFGO勢にも不意打ちがあるよ!引用は織田作が安吾について語った部分から。 #もだもだ文学散歩
2020-07-09 21:52:55