(いいえ、お父さん。私はどこへも行きたくありません。そして誰もどこへも行かないでいいのでしょうか。)…中略… (誰もどこへも行かないでいいかってどう云うことだ。) (誰もね、ひとりで離れてどこへも行かないでいいのでしょうか。) 【宮沢賢治「雁の童子」】 雁といえばこれも有名か。
2014-11-20 22:20:02ここらへんまでは「異国情緒溢れる童話」みたいなわかりやすーい感じだったのに、ここで脳ミソをグリっとやられたように沈思させられる。垣間見える、自分のことを分かってくれない父親へのささやかな自己主張。雁の姿を借りて墜ちる天人と童子は何を表すか。
2014-11-20 22:21:36まことにこれらの天人たちの 水素よりもっと透明な 悲しみの叫びをいつかどこかで あなたは聞きはしませんでしたか。 【宮沢賢治「春と修羅 補遺」より〔堅い瓔珞はまっすぐに下に垂れます〕】 ウアアアアもだもだする…!本当に好きなものは、理屈抜きに好きなんじゃ!! #もだもだ文学散歩
2014-11-21 09:04:31…仏教では、たとえ天人であれ命は有限で、それを失う時の苦しみは地獄の責め苦の何倍にもなるとか。それは、苦界に生きる者からすれば永遠とも思えるほどの永い生を幸せに送って来られたからこその「まさか自分がこの命を手放す時が来るなんて…」なワケで。
2014-11-21 09:21:44この苦界でも四苦八苦と言われる心身の苦しみや病、それを運良く回避し続けてきた人がいざ「まさか自分が」となった時、どう噛み砕き飲み下すか。…いや、そんなタイソウなモンじゃなく、瓔珞がまっすぐ垂れるほど静止したように、かつ、ひらめき堕ちる天人のビジュアル的な世界の構築スゲー!とか。
2014-11-21 09:26:36惜しいことにこの詩は冒頭が欠けているらしく、「堕ちた人」への導きもやや駆け足。わかりやすすぎるというか、ダイレクトすぎるというか。ワタシはその「作品の断片だけが残っている」感も含めて大好きなので良いんですがね。
2014-11-21 09:30:54こんなことを今あなたに云ったのはあなたが堕ちないためにでなく堕ちるために又泳ぎ切るためにです。 【宮沢賢治「春と修羅 補遺」より〔堅い瓔珞はまっすぐに下に垂れます〕】 自己犠牲、仏教的世界観なくして、賢治の作品は語れない。 #もだもだ文学散歩
2014-11-21 09:32:48「…友人宅で怪談をした晩、雨の中の人っ子一人通らない道を帰るのが…少し…その、なんだ(ため息)」(意訳)って、そんな芥川さんカワイイなオイ!…とか、そういう話してます?してます。
2014-11-26 18:52:46こいつは、死ぬ気だ。しかし、おれには、どう仕様もない。先輩らしい忠告なんて、いやらしい偽善だ。ただ、見ているより外は無い。 【太宰治「織田君の死」】 結尾「織田君! 君は、よくやった。」で有名。文スト等派生作で文豪にハマった人に投げるにゃ良い文章…(釣り針) #もだもだ文学散歩
2014-12-05 10:29:44「…おそろしいのはね、この世の中の、どこかに神がいる、という事なんです。いるんでしょうね?」 「え?」 「いるんでしょうね?」 「私には、わかりませんわ」 「そう」 【太宰治「ヴィヨンの妻」】 最後の大谷のセリフが!ダザい!!ネタバレるから書けないけど!! #もだもだ文学散歩
2014-12-05 10:32:38「やあ、また僕の悪口を書いている。エピキュリアンのにせ貴族だってさ。こいつは、当っていない。神におびえるエピキュリアン、とでも言ったらよいのに。さっちゃん、ごらん、ここに僕のことを、人非人なんて書いていますよ。違うよねえ。僕は今だから言うけれども…」この先ネタバレ。コレよコレ!
2014-12-05 10:33:18それこそ「心には悩みわずらう」事の多いゆえに、「おもてには快楽」をよそわざるを得ない、とでも言おうか。 【太宰治「桜桃」】 太宰の命日が桜桃忌、と言われる所以の作。「実はこの小説、夫婦喧嘩の小説なのである」とあるが、読んでてあまりにもささやかで胸苦しい…。 #もだもだ文学散歩
2014-12-06 12:35:40あらすじに現れるテーマは重いのに、ディティールが個人の心中(シンジュウじゃないよ)に寄り過ぎてて、読んでてそっちに気が取られすぎる感じって言えばいいんかな…
2014-12-06 12:36:20先輩の山岸外史氏の説に依ると、貨幣のどっさりはいっている財布を、懐にいれて歩いていると、胃腸が冷えて病気になるそうである。 【太宰治「「晩年」と「女生徒」」】 コレ面白い。もしやこういうノリが文スト太宰のウソ豆知識の元ネタなのかな…?違うかw #もだもだ文学散歩
2014-12-11 00:14:57明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。……幸福は一夜おくれて来る。ぼんやり、そんな言葉を思い出す。 【太宰治「女生徒」】 とてもダザい休日を送って来ました。と過去に投稿。
2014-12-13 00:33:11@Lino_Nest ここから「あれを懐にいれて歩くと必ず胃腸をこわすから、用心し給え、とまじめに忠告してくれた。富をむさぼらぬように気をつけなければならぬ。」で終わるの面白すぎだよ太宰さん。しかもコレ、「自作が売れてるのかどーなのか、まあ売れないよりは売れた方がマシ…」って話w
2014-12-13 00:55:10