忍者スレイヤー劇場版
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
◇「……ンジ君！」「ああ……」「ケンジ君！」繰り返し小梅に肘で突かれ、ケンジは煩わしそうに見た。「何だよ、連戦でもうクタクタだし、ちょっとぐらい」「あれを見て」並ぶ教員に一人、見慣れぬ男がいる。灰色のスーツを着……。「新任の人か何かだろ」「卒業式から？そういう事ってあるかな？」◇
2016-04-10 22:16:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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◇「わからねえが……」「ずっとこっちを見てるよ」「確かに……でも、そういう事もあるだろ」「うーん」小梅は釈然としない。「若い先生だよな。顔がタイプなのか？しょうがねえな小梅ちゃんは……痛え！」小梅がケンジの膝を思い切りつねったのだ。「……続いて、卒業証書、授与」◇
2016-04-10 22:19:38
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◇つつがなく卒業式を終えたケンジと小梅は、再び桜の散る坂を下る。「この卒業証書入れる筒は何柄なんだろうな、これ？」「蛇柄……？」「昔は蛇皮だったのか？」「わからないけど……ケンジ君」小梅が足を止め、前を指差した。ケンジは眉根を寄せた。先程の灰色スーツの教諭が立っていた。「何だ」◇
2016-04-10 22:23:36
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◇「藤木戸ケンジ君」瞬きする間に、灰色の男はケンジの目の前に立っていた。「何ですか」小梅が不安げに問う。灰色の男は無視し、ケンジの肩を掴んだ。「ようやく見つけたぞ。藤木戸ケンジ君」「何なんだ、アンタ」ケンジは振り払おうとするが、男の力は強い。その顔にはどこか見覚えがある。誰だ？◇
2016-04-10 22:25:41
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◇「私の顔が思い出せないのも無理はない。もはや私の存在も朧だ」「さっきから何を」「お前は深層心理下で自己防衛の為に出来るだけ矛盾の少ない世界を構築した。風魔が滅び、新たな甲賀忍軍という敵が存在し、お前は日常を生きている」「何を言ってやがる！」「見ろ！」桜が火の粉に変わった！◇
2016-04-10 22:29:48
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◇「小梅ちゃん！」横を見る。いない！「その通り。彼女が登古揣摩市に居るわけがない。彼女はお前と片倉フジオと共に風魔城本丸に突入したのだから。これこそ、今まさに現世で起こっているリアルタイム事象だ！」「バカな！」燃え落ちる木々！火の手！赤い空！西の方角に浮かぶ黒い影……風魔城！◇
2016-04-10 22:33:07
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◇「ムッハハハハハ！ムハハハハハ！ひれ伏せ、劣弱なる現代人どもめ！我が名は風魔大将軍。今まさに風魔幕府を設立し風魔元年に定めん！」赤い空に浮かんだ邪悪なる風魔大将軍の胸像映像が高らかに宣言した。四方八方に放たれる風魔外道光線！火柱！逃げ惑う人々！この世の終わりか！◇
2016-04-10 22:36:42
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◇それは日本に留まらない！アメリカ！自由の女神の横！「ムハハハハハ！」エジプト！ピラミッドの横！「ムハハハハハハ！」イギリス！ビッグベンの横！「ムハハハハハハ！」世界各地のレリック地点に風魔大将軍の映像が浮かび高笑いしているのだ！「バカな……これが現実なのか！」「見ろ！」◇
2016-04-10 22:39:39
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◇灰色の男はケンジを掴み高く飛翔した。衛星地図めいた世界に混乱の火の手が拡がってゆく。ケンジは慄いた。「バカな、俺は」「お前は術に囚われた。風魔の術に。そして他の2人も」スーツがパキパキと崩れ、鈍い銀色の輝きが漏れ出た。ケンジは男の顔に、兄・健一の面影を微かに見たように思った。◇
2016-04-10 22:44:14
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◇「兄貴……」「お前の兄は私をお前に託し消滅した」銀の男は言った。「これが言霊の力であり、風魔が片鱗を利用し風魔城を現世より逃した力であり、そして、今のお前が窮地を脱する最後の鍵だ。いまだ戦う意志はあるか、藤木戸！」ケンジは銀の男を見返した。そして頷いた。「……やってやるぜ！」◇
2016-04-10 22:51:11
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◇脈打つ銀の光は宇宙を飛翔し、同様に囚われた2つの魂を見つけ出した。「行くぞ、藤木戸！」奈落忍者が言った。「応！」ケンジがこたえた！◇
2016-04-10 22:54:57
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◇……「すげえ！もうすぐ頂上だ！」ケンジは子供のようにはしゃいでいた。「もう！揺れるよ！」小梅は咎めた。2人は巨大観覧車の中なのだ。社会人二年目、同窓会で再会した2人はその後も連絡を取り合っていたがやがてこの日……ドオン、ドオン……夜空に花火が上がり始めた。◇
2016-04-10 22:58:20
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◇「花火だ」小梅は夜空に明滅する光を見た。一方、ケンジは一層はしゃいで……はおらず、じっと小梅を見ているのだった。「な、何？ケンジ君？」「小梅ちゃん。あのさ」「ケンジ君……」ドオン……祝福するかのような花火。2人は、「ちょっと待った！」観覧車のドアを開け、高校生ケンジが現れた！◇
2016-04-10 23:03:06
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◇小梅は反射的に高校生ケンジの頬を張った。「痛てェ！」数十秒で事態を察し、既に高校生の姿に戻っていた小梅は、高校生ケンジの頬を再度張った。「痛えェよ！」「い、行こう！」2人は銀の男と共に飛ぶ！◇
2016-04-10 23:07:15
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◇……「今年もここに来れてよかったわ」「そうだな」両親が満ち足りた様子で話すのを、片倉フジオは静かに見守っていた。ふと店の戸口の方向へ目をやると、見慣れた2人の姿があった。ケンジと小梅。「父さん。母さん。時間だ」片倉は立ち上がり、両親に笑いかけた。「ありがとう。行って来るよ」◇
2016-04-10 23:12:34
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◇……迫り来た風魔別嬪剣（ふうまべっぴんのつるぎ）が眉間を貫通するほんのコンマ数秒前、忍者スレイヤーは正気を取り戻すと同時に白刃取りし、折った！「イヤーッ！」「バカなーッ！？」怯む暗黒忍者！「イヤーッ！」「グワーッ！」拳を暗黒忍者の顔面に叩き込む！「夢から戻ったぜ！風魔野郎！」◇
2016-04-10 23:15:44
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◇「風魔無限覚夢然虚実転換術（ふうまむげんかくむことわりのきょじつてんかんじゅつ）を……破っただと？」「イヤーッ！」暗黒忍者の後方左右に控える風魔左近に忍者ベインの斬撃が！風魔右近に小梅の折紙手裏剣が命中し爆発四散させる！「赤！銀！黒！」忍者スレイヤーは奈落柔術を構える！◇
2016-04-10 23:19:43
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◇豪覧賀！「風魔右近と風魔左近が我が風魔殺風景の術と組み合わさりこの本丸全体に展開させた風魔無限覚夢然虚実転換術は絶対の防御であり同時に慈悲でもあった」暗黒忍者は風魔別嬪剣を放り捨て、柔術を構えた。「貴様は夢のうちにではなく苦しみ抜いて血反吐を吐き死ぬであろう」「お断りだぜ！」◇
2016-04-10 23:24:19
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◇（藤木戸！ぬかるなよ。此奴は貴様の兄ではもはやない。手加減無用！）銀の奈落忍者がケンジに念を押した。ケンジは笑い飛ばした。「そんな余裕はねえぜ！イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」ぶつかり合うカラテ！やがて二人を中心に巻き起こる竜巻！吹き飛ぶ畳と襖！◇
2016-04-10 23:27:27
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◇「イヤーッ！」「イヤーッ！」忍者スレイヤーの拳を暗黒忍者がそらす！一瞬早いのだ！「貴様のカラテは所詮、私に一歩及ばぬ……グワーッ！？」南無三！拳が届いた！忍者スレイヤーの目が燃える！「一分一秒が俺のカラテ成長期だぜ！」「バカな！」「イヤーッ！」「グワーッ！」◇
2016-04-10 23:31:02
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◇（主題歌）KICK KICK JUMP！素晴らしいFIGHT！夢見るBOYは今日もちょっとSTORM！LETS GET STUCK THE NINJA！忍者スレイヤー！「イヤーッ！」「グワーッ！」「奈落忍法！天魔奈落嵐拳（てんまならくあらしのけん）！イイイイイヤアアーッ！！」◇
2016-04-10 23:32:22
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◇天「ヤ！」魔「ラ！」奈「レ！」落「タ」嵐「ー」拳「ッ」！「！」暗黒忍者は一秒間に2000回転のキリモミ回転で吹き飛び、風魔絶対拒絶天守閣門に衝突！爆発四散した！忍者スレイヤーは残心する間もあらばこそ、忍者ベインと小梅天狗と視線を交わし、破砕された門の奥、天守閣広間に突入した！◇
2016-04-10 23:40:04
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◇「ここまで来るとは思わなんだぞ」風魔外道光線珠に手をかざしていた巨大な鎧兜姿の男は悠然と振り返り、二本の腕と六本の風魔機構複腕、計八本の腕に圧倒的な風魔忍者魂剣（ふうまにんじゃたましいのつるぎ）を構えた。背後には渦巻く天魔空間の闇！彼こそが、風 魔 老 元 大 将 軍 ！◇
2016-04-10 23:44:45
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◇「だがワシは誰よりも強い……最も強い」唸る八本の刀！「それをわからせてくれよう！イヤーッ！」風圧！跳んで危うく躱す三人！「お前が一番強かろうが、三人寄れば文殊の知恵だぜ！」諺！「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「ヌウッ……ヌウウーッ……！？」◇
2016-04-10 23:47:30
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◇やがて天守閣の屋根が戦闘の衝撃波で吹き飛び、瓦屋根が宇宙に舞い散る中で、風魔大将軍のまわりを三人の戦士が飛び回り、決して絶える事のない連続攻撃を繰り出していた。攻撃を終えた者が次の攻撃態勢に入るまで、他の二人が攻撃し、決して隙を作らない仕組みだ。これが長篠の戦いの織田信長だ！◇
2016-04-10 23:49:50