指揮と徴兵制と志願制と集権的指揮と任務指揮と治安戦と非正規戦の徒然話

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名無し整備兵 @seibihei

さて、指揮のお話。「任務指揮(戦術)」はプロイセンの伝統とされる。公式化されたのは、たしかにモルトケだろう。とはいえ、他の国に全くなかったかというとそういうわけでもない。

2016-04-12 00:18:31
名無し整備兵 @seibihei

というのは、貴族がそれぞれ兵隊出して戦っている時代の戦争では、集権指揮などできるわけもなかったからだ。大部隊指揮官にそれなりの自主性を与えるのは当然というか、自主性を奪うことなどできなかった

2016-04-12 00:20:31
名無し整備兵 @seibihei

そういう「俺の部隊は持ち出しなんだから、指揮させろ」という世代の人々と、「いや、俺が命令したんだから従え」という世代の人々が混在していたのがナポレオン時代の前後。やがて時代は変わり、軍隊の成り立ちも変わっていくが、「指揮をどうするか」は各国・地域によりさまざまとなる。

2016-04-12 00:24:29
名無し整備兵 @seibihei

特に高級将校の「自主裁量の余地」は高くするにしても、それをどこまで下に及ぼすかは、今でも議論の種になる。石原莞爾は「やがて個人にまで及ぶ」としていたが、それは決して極端ではない。

2016-04-12 00:28:52
名無し整備兵 @seibihei

ステレオタイプとしては、集権指揮は「自主的な判断よりも命ぜられたことを完全にこなす」ことが要求される。一方、分権するなら「命ぜられたことはきちんとできるが、自主的に判断してそれを中断したり、あるいは全くやらなかったりすることもできる」指揮官を必要とする。

2016-04-12 00:35:28
名無し整備兵 @seibihei

任務指揮(戦術)は分権を進めるが、それは「命ぜられたことをやる必要があるなら完全にできる」能力に加えて「不必要と思うなら別の行動を、それも完全にできる」能力を必要とする。当然のことながら、これには大きなリスクを伴う。

2016-04-12 00:38:14
名無し整備兵 @seibihei

大きなリスクとは「その場において失敗するリスク」もさることながら、「全体の戦略を危うくするリスク」もある。失敗ばかりでなく、その場の成功が全体を危うくする可能性もないとはいえない。

2016-04-12 00:40:50
名無し整備兵 @seibihei

したがって、任務指揮を許して分権するのであれば、「そこでの成功(失敗)を全体の失敗にしない」能力が上級指揮官にも要求される。もちろんそれ以前に「自主的に行動する部下にいきなり介入せず様子を見る」能力とか「部下が失敗することを前提とする」能力とかも要求される。

2016-04-12 00:43:00
名無し整備兵 @seibihei

このように、任務指揮(戦術)を採用する場合でも、上級指揮官の責任は重いし、要求される能力はガチガチの集権指揮よりも高くなるかもしれない。(特に「我慢する」能力は非常に高いものになりそう)

2016-04-12 00:44:50
名無し整備兵 @seibihei

もちろん、任務指揮(戦術)の下級指揮官が楽なわけではない。戦術的なセンスを磨かない限り、上級指揮官の負担となり、やがてはクビにされることだろう。そして市街戦や治安戦など戦闘単位が小部隊になるにつれ、「下級指揮官」は下士官以下になり、彼らにもそういうセンスが要求される

2016-04-12 00:48:47
名無し整備兵 @seibihei

そうなると下級将校にも、「部下の失敗を許容し、リカバーに努める」ような能力が必要とされるようになる。またこの「失敗」とは戦術的なものばかりでなく規律上のものも含まれてくるだろう。

2016-04-12 00:51:13
名無し整備兵 @seibihei

では逆に集権的な指揮ではどうか?上級部隊が必要とする行動を下に命令するため、政略・戦略的な考慮事項を守らせるのは比較的容易だろう。ただ、問題はタイムラグである。

2016-04-12 00:52:47
名無し整備兵 @seibihei

刻一刻と変わりゆく戦場の状況に、上級部隊からの指揮が間に合うのだろうか、ということはよく言われる。それ以上に問題なのは、「指示待ち」の姿勢が常態化することである。

2016-04-12 00:54:53
名無し整備兵 @seibihei

集権的な指揮の場合、責任も上に集まる。そこで下級指揮官が、責任もないのに自主的な判断をして、しかも失敗するのでは目も当てられない。したがって「上にお伺いする」のが当たり前となる。

2016-04-12 00:56:53
名無し整備兵 @seibihei

上にお伺いして、許可を得てから行動する。なるほど、「失敗」する可能性は少ない。しかしそれまでにどれだけの時間がかかるのだろうか。その時間をかけたコストはどの程度なのだろうか。

2016-04-12 00:58:19
名無し整備兵 @seibihei

さらに、「お伺い」された上級指揮官の方はどうなるだろうか。部下は多いが、上級指揮官の目玉は二つ、耳も二つ、口は一つしかない。キーボード使っても、一度に承知して、一度に命令出せる相手には限りがある。どうしても、複数の相手に指示を出すにはタイムラグが出る。

2016-04-12 01:00:32
名無し整備兵 @seibihei

集権的な指揮を維持するならば、司令部の参謀に委任することはできるだろうし、実際に多くの軍隊(や、民間の組織)でもやっていることだろう。それにしても「問い合わせ~回答」のタイムラグはゼロにはできない。

2016-04-12 01:03:40
名無し整備兵 @seibihei

もう一つの回答は「状況変化に対応しない」である。これが非現実的なのは論を待たない。もっとも、そういう組織も世の中にはあることだろう

2016-04-12 01:04:37
名無し整備兵 @seibihei

こうして見てくると、集権的な指揮をする組織は、時間的余裕が比較的ある場合に有利。しかし余裕がないなら任務指揮(戦術)のように分権的な指揮をする組織に有利となりそう。しかし分権的な指揮には、上から下まで高度な能力を要求される。

2016-04-12 01:09:14
名無し整備兵 @seibihei

…ということを、このまとめを見ながら考えていたのでした(台無し) togetter.com/li/959190

2016-04-12 01:11:05
名無し整備兵 @seibihei

現代戦が野戦であれ市街戦であれ治安戦であれ、小部隊のイニシアチブが重要になっているとするならば、分権化は避けられないところではあろう。特に「指示待ちの排除」という意識改革は重要になりそう

2016-04-12 01:26:56
名無し整備兵 @seibihei

そうした分権化が当然となるのであれば、下士官以下も含む小部隊指揮官の能力や、それを高める教育訓練の重要性は高まる。これは戦術能力ばかりではなく、規律の維持や国際人道法の知識も含めて。

2016-04-12 01:29:11
司史生@減量中 @tsukasafumio

近未来には敵も味方もGoogleにお伺いたてながら戦争するのかもしれませんね... twitter.com/seibihei/statu…

2016-04-12 01:30:25
名無し整備兵 @seibihei

教育訓練や練度に関連して、徴兵制について。というか、今までの流れを見ていれば大体結論は見えると思うが。

2016-04-12 01:33:59
司史生@減量中 @tsukasafumio

@seibihei 人材と教育に投入するリソースを案分すると、先進国と後進国の格差は当面は埋まりそうにないですね。部隊が戦闘に勝つことと戦争に勝つことは、別の問題ですが。

2016-04-12 01:38:38