掌小説語り~自作つぃのべる集~26

自作つぃのべるのまとめです。 2014年8月分
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リュカ @ryuka511

生まれつき両腕に浮かぶ痣のせいで、異端児と忌み嫌われた。この痣は何なのかとか、異端視されるのは何故なのかとか、考えるのはもう止めた。私の召還したドラゴン達が街を、人々を踏み潰す。存在してはならないのは私ではなく、この世界だという事だけは解った。 #twnovel

2014-08-24 00:00:37
リュカ @ryuka511

僕のたった一人の友達は、屋上で天使になってしまった。僕を救ってくれた君なのに、僕は君を救えなかった。君は何を想ってここに立ったのか。どれだけ考えても解らないなんて、僕はなんと罪深いのか。君を想い同じ場所に立つ。翼を生やした君が微笑んでいて、僕は君へ駆け寄る。 #twnovel

2014-08-24 22:53:51
リュカ @ryuka511

太陽がかげを作ってそこに本当のことを隠すのです。太陽は絶対者ですから誰も太陽が隠し事をしているなんて思いもしません。「光が射せば影が出来るのは当然です」と太陽が笑えば納得してしまいます。キラキラの世界で誰も本当のことを知らないまま、太陽は世界を終わらせるのです。 #twnovel

2014-08-25 23:01:15
リュカ @ryuka511

コンプレックスな僕のタレ目を素敵だって言ってくれたのは君だけで、僕は一瞬で君の虜になったんだ。だから君も僕の虜にしてあげるね。君の血を少しくれるだけでいいんだ、簡単でしょ? 一緒に蝙蝠になって夜の森を飛ぼうか。僕には君がいればいいし、君には僕がいればいいんだよ。 #twnovel

2014-08-26 23:48:50
リュカ @ryuka511

友が遺したヴァイオリンと楽譜を見つめる。彼の丁寧な筆記体で書き込みがされた楽譜からは、今にも彼の声や演奏が聞こえるようで、志半ばで逝ってしまった彼の魂が僕の傍に浮遊しているのではないかと考えてしまう。君がこれを僕に遺した意味を、僕は生きる糧にしてもいいのかな。 #twnovel

2014-08-27 23:19:54
リュカ @ryuka511

青年は主君殺しの濡れ衣を着せられ逃げていた。追手を捲くべく路地裏を右へ左へ駆け抜ける。足音が遠ざかり息を吐く。味方のいない独りきりの逃亡は辛かった。だが、真犯人は解っている。王家乗っ取りを企むあの男。逃げながら真相を明らかにする。主の無念を晴らすまで、死ねない。 #twnovel

2014-08-29 00:34:31
リュカ @ryuka511

君を幸せにしてみせる、それは僕の決意であり拙い祈りのようなものだ。誰よりも君の幸せを願いここへ来た。君を幸せにできるのは僕だけだという自信はある。だけどどうしてこんなにも僕の心は不穏なのか。君の魂の叫びを僕だけが聞いていた。僕の翼は君の為に。さぁ、僕といこうよ。 #twnovel

2014-08-29 23:48:27
リュカ @ryuka511

王子は敗戦し無惨に荒廃した国に呆然となった。王国をお前に託すという父の最期の言葉を思う。「父上、王国はもうありません。」「王子、ご無事でしたか!」王国の兵士が駆け寄る。「仲間も民衆も喜びます。」感涙する兵士に王子は悟る。父が託したのは国土ではなく、彼らなのだと。 #twnovel

2014-08-30 23:56:27