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坂本龍一 鉄道員 Poppoya - live'09 ver. youtu.be/2SyDX_OCQXw これ、ちょっと分析してみます。
2016-04-22 07:27:322)もともとは歌です。♪あーいーたーいーひーとーなーらーあーいーにーいーけー♪ 四分音符で切々と歌われる。ここの旋律は♪ミーミ(ここで1オクターヴ高くあがる)ーレーシーソードーシーソーミーラーソーミードー♪ このパートの旋律をとりあえず旋律①と呼んでみます。
2016-04-22 07:32:125)勘のいい方なら、これら①~③の旋律が五音音階(ラドレミソ)を背骨にしていて時々シが混じる作りだと分析するでしょう。
2016-04-22 07:37:306)それ間違いです。この曲はイ短調ですが、旋律は実はホ短調で奏でられているからです。つまり、ミソラシレこそが骨格になっていて、そこにドが混じる作りですこの旋律。
2016-04-22 07:39:418)以下しばらくイ短調でドレミ表記を続けます。ミソラシレにドが混じるつくりだとして、それではこのドはどこから混じるのか?和音の音です。右手はミソラシレしか奏でていない(という建前になっている)けれど、左手が奏でる和音のなかにドがあって、それの倍音として1ないし2オクターヴ高いドが
2016-04-22 07:42:4910)坂本龍一の必殺技です。「戦メリ」も「ラストエンペラー」も「シェルスカ」もこれでできています。たぶんもっといろんな曲でこの技を使っているはずです。NHK大河ドラマのテーマ曲「八重の桜」でこの技で作られていたし。
2016-04-22 07:45:2711)右手と左手が互いに四度違いの調性で音を奏でているのに調性外れに聞こえない。むしろ味わい深さが出る…どうして誰もここを指摘しないのだろう。
2016-04-22 07:48:1013)旋律①について。♪あーいーたーいーひーとーなーらーあーいーにーゆーけー♪ ミで始まっていきなり1オクターヴ高いミに飛び上がって、行きつ戻りつしながらだんだんと元のミに舞い降りていく。
2016-04-22 07:51:1315)♪とーなーらー♪ は ドシソ つまり四度下降のアーチ「ドーソ」を描く。♪いーにーゆー♪ は ラソミ つまり「ラーミ」の四度下降アーチ。
2016-04-22 07:56:0716)四度下降のアーチが連鎖する技は「パロリブル」でも使ってますね。五度ではなく四度の下降はどこか教会の讃美歌の響きがします。
2016-04-22 07:57:4317)五度下降には音響物理学的な結句感がありますが四度下降はそういう力学的なごりごり感はなくて、もっとナチュラルな結句感がある。なぜかというと下方倍音列における[以下理論的な話が続く]。
2016-04-22 08:00:0318)旋律②はラから始まって、1オクターヴ低いラに向かって揺れながら降りていく。♪ラーソーミードーレミーソラー♪
2016-04-22 08:02:5319)旋律③はラから1オクターヴ高いラまで駆け上がりつつもミに戻っていく。♪ラーシドーラーソーミラードーミー♪ ラからミに戻る感じ。
2016-04-22 08:05:2420) 旋律①は低いほうから音を表記するとミソラドレミの音階を下降する。 旋律②はラドレミソラの音階を下降する。 旋律③もラドレミソラの音階が骨格だけど下のラからミに「戻る」のが基本ベクトルなところが②と違う点。
2016-04-22 08:09:2821)①~③の音は、要するにミで始まって一度ドになんちゃって着地するんだけど最終的にはミに帰ってくる、そういう運動をしています。
2016-04-22 08:11:2922)旋律①はドで終わるのですが、左手はサブドミナント和音つまりファラドの音を奏でるため、このドの旋律は着地感が薄い。ふわっと浮いた感じに響く。
2016-04-22 08:13:0523)難しげなことを綴ってしまいましたが、要するにこの曲のこの出だしは、ミソラシレミの音階と、ラドレミソラの音階が入れ替わりあってできているといいたいわけです。
2016-04-22 08:15:5125)朴訥な五音音階(民謡の音階だし)で歌われながらも、こうした数学的にきっちりした構造に支えられているため、繊細だけど強い、りんとした歌になる。
2016-04-22 08:18:08