『ラストエンペラー』を分析しよう  坂本龍一の作曲技法その2

前回の分析はここhttp://togetter.com/li/625784  作曲者も意識的に計算していない計算を読み取ります。
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It happens sometimes @ElementaryGard

http://t.co/YXAVSQqYQa 『ラストエンペラー』の分析続けます。2:23~2:29の部分から。

2014-02-06 14:59:43
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例によって移動ドで音名を呼んでいきます。イ短調(つまり白鍵オンリー+例外もあり)に置き換えるのと同じ。旋律は♪シソラレミ、シソラソミ、シドシミソラ♪ この音の組み合わせ、ある音階に属することに気が付くでしょうか。

2014-02-06 15:03:06
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答えを先に言うと、東洋音階です。この音階で一番有名な曲は『猫踏んじゃった』。スピルバーグの初期作品『未知との遭遇』で、宇宙人と交信するとき鼻歌みたいな旋律を鳴らしていました。あれも東洋音階です。人類普遍の音階とも言われています。人間の聴覚神経が反応する始原的な音の組み合わせ。

2014-02-06 15:06:48
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ピアノの白い鍵盤で東洋音階を鳴らすには三つのパターンがあります。 ①ラドレミソ ②レファソラド ③ミソラシレ それぞれのパターン内で音名の順番は変えてもOK。ラドレミソではなくドレミソラであると主張したいひとはそれでもよし。

2014-02-06 15:10:04
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『ラスエン』の♪シソラレミ、シソラソミ、シドシミソラ♪は③です。先日分析した主旋律は①でした。東洋音階①が③に切り替わるわけです。

2014-02-06 15:11:33
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切り替わると同時に転調していると気がつきますか。ベースの音、つまり左手はレが鳴り続ける。なぜレなのか?それは、このパートではイ短調ではなくニ短調だから。ベースがレを鳴らすのは、ニ短調の根幹音(トニックといいます)だからです。「転調したんだよー」とベースが主張しているのです。

2014-02-06 15:14:20
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http://t.co/YXAVSQqYQa 2:29で再び何かが切り替わる。旋律は♪ファーミレラソラー♪。2:31まで。この旋律は東洋音階②。

2014-02-06 15:16:48
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「あれ、②なのになぜミの音も鳴るの?」それは後で説明します。②に切り替わって、同時に転調もしている。ニ短調です。あ、先ほど「ニ短調」と書いたのは「ホ短調」の間違いでした。

2014-02-06 15:18:34
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ベース、つまり左手で鳴らす一番低い音がレ。このレが「このパートはニ短調なんですよー」と自己主張している。ニ短調のトニック音はレだから。

2014-02-06 15:20:43
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ここでおさらい。2:06~2:22が東洋音階①。2:23~2:29が②。2:29~2:31が③。そしてそれぞれイ短調、ホ短調、ニ短調。(ほんとうはホ短調、ロ短調、イ短調ですがここでは分析の便宜上、あえて移調して説明)。

2014-02-06 15:27:11
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東洋音階③では鳴らないはずの「ド」が鳴ったり、②で同じく「ミ」が鳴ったりするのはなぜでしょう。それはですね、この二つが①では鳴る音だから。①なら許される音がこっそり②と③にも挿入されているのです。

2014-02-06 15:30:56
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この技はYMO時代の名曲『東風(トンプー)』でも使われています。http://t.co/6IJy6CbMXD 0:31からの旋律に注目。

2014-02-06 15:33:33
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イ短調にして音を呼ぶと、旋律は♪ラドレミーソレミシソラー♪。ラドレミーソまでは東洋音階①で、その後は東洋音階③。①では「シ」はありえない音なのに実際には鳴るのは③ではありえるから。

2014-02-06 15:37:31
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①→③へのチェンジを超高速で行うのが『東風』で、そうでないのが『ラスエン』。

2014-02-06 15:39:09
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このように、三つの東洋音階を優雅に繋げることで生み出されたのがこの美しい旋律それにベース音だということです。

2014-02-06 15:41:28
It happens sometimes @ElementaryGard

この技法も作曲者本人は自覚していないのでは、と思います。映画公開時のインタビューでもアサッテな解題をしていたから。他の方による分析もどれも✖。

2014-02-06 15:42:57
It happens sometimes @ElementaryGard

このあとさらに面白い旋律と和声が続きます。分析はまた後で。

2014-02-06 15:44:12